日本の第二の都市の座も遥か昔の話し

高城未来研究所【Future Report】Vol.536(2021年9月24日発行)より

今週は、大阪にいます。

いまから三十年ほど前、ほぼ毎週のように仕事で門真に訪れていたことがあります。
大阪在住者には運転免許試験場がある町として有名な門真は、関西を代表する企業パナソニック(松下電器)の城下町で、愛知の挙母市が豊田市に変わったように、門真市も松下市に改名しようと何度も議論されていたほど、市政と企業が一体となった地域でした。

ところがグローバル化と共に工場は次々海外へと移転。近年の「インバウンド一本槍」政策も折れ、現在は空洞化が進み、大阪のなかでも地価の下落が著しい地域になってしまいました。

この様相は、機能しない行政問題から水汚染公害が発生したゼネラルモータースの企業城下町だったミシガン州のフリントの凋落と酷似していることから、現在の日本の状況は、米国に20年程度遅れていると実感せざるを得ません。
1981年にはじまったレーガノミクスと2001年の小泉改革によって新自由主義にさらされた地方および都市周縁は、先行する米国を見る限り、今後日本でもますます地域格差が激しくなるでしょう。

さて、最近の食事法に多くのお問い合わせをいただいておりますので、ここで2021夏の食事についてお話したいと思います。

20年前なら大阪に着くなり阪神デパートでイカ焼きを買って、街中でも散々B級グルメを楽しんだあと、帰りに551蓬莱の肉まんを購入するような食事が恒例でしたが、いまは滅多に外食することもなくなりました。
冷静に考えても、自分自身の変化に驚きます。

自著にも書きましたように、まず、食事の回数を減らしました。
かつては、1日3食プラス(「珍しいアイスを見つけた!」などの言い訳しながら)間食を食べるのが当たり前でしたが、いまでは1日1食+アルファ程度の食生活が定着し、なもに食べない日も定期的に設けています。

これには様々な理由がありまして、識者は内臓を休めるためだと話しますが、僕自身は糖中毒から人間本来のケトンへの代謝スイッチへの切り替えを第一の目的としています。

数日の間、糖質どころかなにも摂取しない、あるいはほとんど摂取しないIntermittent Fasting(断続的断食)を行うことで代謝スイッチを誘発し、あわせて体組成を改善および生理学的機能を最適化するよう心がけています。
このスイッチングのあと、良質な脂質を摂ると「脳のオイル交換」がはじまり、心身のパフォーマンスを向上させ、老化や病気のプロセスを遅らせるシグナル伝達経路を活性化するのです。

そこで、どこでも口に出来て重宝しているのがナッツです。

多くの読者の方々から、いったいどんなナッツを食しているか何度もお尋ねされておりまして、この夏、一番購入したのはフランスの「ラトリエ Lattelier キャラメリゼ(アーモンド)でした(https://sommelier.gift/shop/g/gfood-012/)。
これは、真空状態で瓶詰めて空輸されていることから、カビ毒によるリスクが少なく、糖質もほとんどありません。
同じシリーズのカシューナッツなどは糖質が高いので、製品選びに注意が必要です。
都内であれば、ビオセボンなどでも見かける製品で、この夏に渡航したタンザニアなどにも数瓶持ち込みました。

続いて、都内でよく買いに行くのが老舗のナッツ専門店「Groovy Nuts」です(https://groovynuts.jp)。
オンラインでも購入可能ですが、店舗に出向かなければ購入できない小さなパッケージがありまして、「ベーコンスモークド」や「ソルテッドコンブ」などが好みです。

これに良質な肉を120-150g程度食し、1日60gのカプリル酸とプロテインパウダー、そして血液から判断したサプリメントとミネラルを補充しています。
他は、水分以外滅多に口にしません。

このように、僕の健康法は(に限らないかもしれませんが)極めて極端であり、誰にでもオススメできるものではないかもしれませんが、「健康」から「常識」と言われる物事に至るまで、この時代、5年前と同じ価値観でいるほど危険なことはありません。

大阪を見ても、わずか二年前まで関西全体の不動産を牽引してきた梅田の地価すらも現在は大幅下落。本丸だったグランフロント大阪にあるパナソニックの大規模ショールームも、今月閉館すると発表されました。
時代の価値観はあっという間に変わるもので、長年お話ししているように、インターネットで起きたことが現実社会でも起きるとしたら、すべてが1強とその他へと二分化されていくと予測されます。

昭和前期まで東京を上回る大都市だった大阪。
現在、人口だけ見ても大阪270万人に対し、東京の衛星都市横浜が370万人と、もはや日本の第二の都市の座も遥か昔の話し。

秋の訪れと残暑を同時に感じる不思議な季節感の中、心斎橋を歩きながら時代と自分自身の急速な変化を実感する今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.536 2021年9月24日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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