※「競争考」はメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」で連載中です!
岩崎夏海の競争考(その13)喜怒哀楽を取り戻す意味
「直感に従え」は本当か
競争に勝つためには、喜怒哀楽を取り戻す必要がある。なぜかというと、喜怒哀楽は強力な「センサー」だからだ。
決断を迫られたとき、どちらに進むべきか、喜怒哀楽がセンサーとなって教えてくれる。喜怒哀楽は、あなたに正しい道を教えてくれる道標なのだ。
これは、一般的には「逆」と考えられている。一般的には、喜怒哀楽は判断を狂わせると考えられている。だから、勝負に際しては喜怒哀楽をぬぐい去り、冷静に対処しなければならないとされている。感情的になってはいけないとされている。
それはそれで、ある面では正しい。ただし、それは低いレベルでの話である。それは、一時的な勝利を得るためには有効だ。しかしながら、長期的な勝利――つまり本物の勝利を得るためには、かえって邪魔になるのである。
よく「直感に従え」といったりする。特に、高いレベルにある人ほど、よくこの言葉を口にする。
しかしながら、この言葉は非常に危険だ。なぜなら、それは高いレベルの人には有効だが、低いレベルの人にはかえって足かせとなる考え方だからだ。
競争は、高いレベルになると直感を頼りにしないと勝てなくなる。しかし低いレベルの場合は、直感に従うとかえって間違う。レベルの低い人は、まさにレベルが低いがゆえに、直感力もまた低いのである。だから、そのレベルの低い直感力に従うと、間違うことがかえって多くなってしまうのだ。
直感に従っていいのは、高いレベルの人のみなのである。低いレベルのうちは、むしろ従わない方がいい。
それでも、ここでは高いレベルの話をしているし、目指しているのは本物の勝利なので、たとえ今は低いレベルにあったとしても、直感について――あるいは喜怒哀楽について、知っておいて損はない。
では、直感に従うとは、一体どういうことなのか?
それは、将棋の羽生善治さんを例にお話ししたい。
その他の記事
言葉と、ある相続(やまもといちろう) | |
「消費者安調査全委員会」発足、暮らしの事故の原因究明は進むのか?(津田大介) | |
先行投資か無謀な挑戦か ネット動画事業に関する是非と簡単な考察(やまもといちろう) | |
ビジネスマンのための時間の心理学――できる人は時間を「伸び縮み」させている(名越康文) | |
「もしトラ」の現実味と本当にこれどうすんの問題(やまもといちろう) | |
ヒットの秘訣は「時代の変化」を読み解く力(岩崎夏海) | |
なぜ「もしドラ」の続編を書いたのか(岩崎夏海) | |
悪い習慣を変えるための5つのコツ(名越康文) | |
(4)視野を広げる(山中教子) | |
液体レンズの登場:1000年続いたレンズの歴史を変える可能性(高城剛) | |
いわゆる「パパ活」と非モテ成功者の女性への復讐の話について(やまもといちろう) | |
宇野常寛が考える”社会と個人”を繋ぐ新しい回路とは(宇野常寛) | |
レシート買い取りサービスONEと提携したDMMオートの思惑(本田雅一) | |
50歳食いしん坊大酒飲みでも成功できるダイエット —— “筋肉を増やすトレーニング”と“身体を引き締めるトレーニング”の違い(本田雅一) | |
「外からの働きかけで国政が歪められる」ということ(やまもといちろう) |