岩崎夏海
@huckleberry2008

岩崎夏海の競争考(その13)

喜怒哀楽を取り戻す意味

※「競争考」はメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」で連載中です!

岩崎夏海の競争考(その13)喜怒哀楽を取り戻す意味

 

「直感に従え」は本当か

競争に勝つためには、喜怒哀楽を取り戻す必要がある。なぜかというと、喜怒哀楽は強力な「センサー」だからだ。

決断を迫られたとき、どちらに進むべきか、喜怒哀楽がセンサーとなって教えてくれる。喜怒哀楽は、あなたに正しい道を教えてくれる道標なのだ。

これは、一般的には「逆」と考えられている。一般的には、喜怒哀楽は判断を狂わせると考えられている。だから、勝負に際しては喜怒哀楽をぬぐい去り、冷静に対処しなければならないとされている。感情的になってはいけないとされている。

それはそれで、ある面では正しい。ただし、それは低いレベルでの話である。それは、一時的な勝利を得るためには有効だ。しかしながら、長期的な勝利――つまり本物の勝利を得るためには、かえって邪魔になるのである。

よく「直感に従え」といったりする。特に、高いレベルにある人ほど、よくこの言葉を口にする。

しかしながら、この言葉は非常に危険だ。なぜなら、それは高いレベルの人には有効だが、低いレベルの人にはかえって足かせとなる考え方だからだ。

競争は、高いレベルになると直感を頼りにしないと勝てなくなる。しかし低いレベルの場合は、直感に従うとかえって間違う。レベルの低い人は、まさにレベルが低いがゆえに、直感力もまた低いのである。だから、そのレベルの低い直感力に従うと、間違うことがかえって多くなってしまうのだ。

直感に従っていいのは、高いレベルの人のみなのである。低いレベルのうちは、むしろ従わない方がいい。

それでも、ここでは高いレベルの話をしているし、目指しているのは本物の勝利なので、たとえ今は低いレベルにあったとしても、直感について――あるいは喜怒哀楽について、知っておいて損はない。

では、直感に従うとは、一体どういうことなのか?
それは、将棋の羽生善治さんを例にお話ししたい。

1 2
岩崎夏海
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。

その他の記事

「現在の体内の状況」が次々と可視化される時代(高城剛)
沖縄の長寿県からの転落で考える日本の未来(高城剛)
旅行者が新天地を探すことができるか試される時代(高城剛)
今年の冬は丹田トレーニングを取り入れました(高城剛)
違憲PTAは変えられるか(小寺信良)
自分にあった食材を探し求める旅(高城剛)
数年後に改めて観光地としての真価が問われる京都(高城剛)
ファッション誌のネットを使った政党広告炎上は本当に“炎上”だったのか(本田雅一)
新型カメラを同時二台買いするための長い言い訳(高城剛)
甲信越の山々を歩いて縄文の時代を想う(高城剛)
子育てへの妙な圧力は呪術じゃなかろうか(若林理砂)
「中華大乱」これは歴史的な事項になるのか(やまもといちろう)
音声入力を使った英語原書の読書法(高城剛)
揺れる情報商材 違法化、摘発への流れが強まる(やまもといちろう)
「人を2種類に分けるとすれば?」という質問に対する高城剛の答え(高城剛)
岩崎夏海のメールマガジン
「ハックルベリーに会いに行く」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 基本的に平日毎日

ページのトップへ