鏡リュウジ
@Kagami_Ryuji

鏡リュウジのメルマガ『プラネタリー夜話』より

タロット、ルノルマン……人はなぜ「カード占い」にはまるのか

手のひらに世界を収めるというカード占いの魅力

突然ですが、改めて考えてみると、やはりぼくはカード占いが好きなんだなあと思います。今年は、すでに話題になっている「ルノルマンカード」をはじめとして、「プトレマイオス式星座オラクルカード」、そして「魔法の杖」のアプリで描いていただいたタロットを実際にカード化、さらに今もあるタロットのキットを翻訳中で、こちらも年内に出版予定。振り返ってみると、まさにカード祭りな1年になっておりました。

とくに「ルノルマンカード」については、ここ数年の間に欧米でブームとなっていて、著名なタロット研究家による優れた書籍もたくさん刊行されています。ぼくの中のカード占い好きの血が騒ぎ、ぜひ日本でいち早くご紹介したいと思い、『秘密のルノルマン・オラクル』というカードと解説書のセットを先日刊行したわけです。

解説ページ:鏡リュウジ『秘密のルノルマン・オラクル』
http://pr.yakan-hiko.com/lenorman/

※上記サイトでは1枚引きのルノルマン売らないを無料でできます。

 

自分自身を振り返ってみると、こうした怪しき世界に関心をもったのは、子供の頃に手にしたタロットが最初だったんですよね。いつしかタロットのコレクションも増えているし、「占星術のヒト」である以上に「カードのヒト」なのかもしれません。

このようなカード占いの魅力はどこにあるのかなとちょっと考えてみました。

それはカード占いが「コスモスとカオスのちょうど真ん中あたり」にあるからじゃないかと思い至りました。そして、それはぼくたち人間がごく普通にもっている人生観、世界観にフィットしているんじゃないかと。

 

可変性があるけれど、秩序もあるのが現実の世界

ぼくたちは人生をある程度、計画立てて予測します。今、世界にはこんな要素があって、これくらいの時期にこうなりそうだ、だからこうしよう、というようなことです。

でも、確実にそうなるとは考えられない。これかあれかという選択をした結果、大きく未来が変わることもある。また今想定していないような事が起こる可能性も十分あることは知っている。けれど、その一方でこの世界がまったくのデタラメだとも考えにくい。突然、背中に翼が生えて空を飛べるようになるとは普通は考えませんし、世界が一気に終わってしまうというようなことも考えていません。

つまりは、世界はそこそこの可変性をもっているけれどある程度の秩序(コスモス)はあって、むちゃくちゃ(カオス)なこともない、というのが、ごく健やかなぼくたちの世界観だといえるでしょう。いわばぼくたちの世界は「カオスモス」のようなもの。

カード占いもそこに立脚しています。オラクルカードも含め、占い用のカードは大抵の場合、なんらかの世界観をもとにした体系をなしています。

いろはかるたは占いカードではありませんが、そこには50音の「すべて」がそろっている。トランプも4つのスートと10枚の数札、3枚ずつの人物札と綺麗な体系を作っている。ウノもそうだし、タロットもそう。それはひとつのコスモスです。

 

カオスとコスモス、「カオスモス」の出現

で、シャッフルするとそこに可変性や予期不可能性が生まれてくるけれど、突然、新しい札が増えたり、減ったりすることはない。完全なカオスではないのです。

「カオスモス」がそこに出現する。それはぼくたちの人生観とフィットしますよね。ぼくが子供のころに流行ったキャンデイーズの歌で「ハートのエースが出てこない」という歌詞がありましたが、これはハートのエースがカードのセットの中に、つまりは、この世界のなかのチャンスの潜在要因として存在していることを予期していることを意味しています。

愛というハートのエースが自分に「巡ってこない」今だけど、それが巡ってくるかもしれない、という世界観ですよね。ただし、考えてみればこれはカード占いだけではなく、すべての占いにも通じること。

カード占いの場合には、なんといっても自分でそのカードを繰っているということに特徴があります。ひとつのカードセットがひとつの体系であることを考えれば、それはカード一枚一枚は、この世界を構成する各要素です。

いうなれば、カード占いをしているときには、自分の手の中に世界のすべての構成要素を収め、小さな神のようにこの世界の運行に参与しているという感覚をもつことができるのです。

まったくのランダムネスとまったくのオーダー(秩序)の中間にある人生。カードはその人生観を映し出しています。そして、そこに参画しているというのが自分であると儀式的に確認しているのがカード占いの面白さなのではないでしょうか。

 

【ご案内】

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鏡リュウジ
1968年3月2日生まれ。占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学卒業、同大学院修士課程修了(比較文化)。占星術・占いに対する心理学的アプローチを日本に紹介したことで、幅広い層から圧倒的な支持を受け、従来の『占い』のイメージを一新する。英国占星術協会、英国職業占星術協会会員。日本トランスパーソナル学会理事。平安女学院大学客員教授。

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