また少しメルマガの発刊が遅れてしまいました。申し訳ありません。このクリスマスシーズン、みなさんはいかがお過ごしですか。
インフルエンザや風邪も流行っているので、お気をつけくださいね。さて、今年の冬至は新月と重なって新しいことを始める暗示がありました。みなさんのなかでも何かが起こりそうなことはありましたか?
クリスマスを過ぎると、一気に街はお正月ムードになります。この飾りつけの変化の早さには本当に毎回驚かされます。切り替えがすごいですよね。
1月は英語ではジャニュアリーといいます。ローマの神さまの名前であるヤヌスにちなんでいます。ヤヌスには二つの顔がありました。
一つは、過去を、もう一つは未来を見据えているとされます。もともとは、辻などの神だったようですが、行く年と来る年の境界にちょうどいるということになります。このときには自分の過去を振り返り、また未来に希望を繋げる時だと考えられます。
この間、マッサージを受けたときに担当してくれた若い方が面白い事を言っていました。毎年のように、年越しのときには友人たちと初日の出を見に行くのだそうです。施術中の会話をつなげようと一生懸命話してくれているのでしょう、「お客さんはどこかに行かれるんですか」と聞いてきてくれました。
「うーん、もう寒いからうちでテレビ見てるか、おそば食べて寝ちゃうかもね」なんていうと、話をなんとかつなげようとしたのか、「そうですよね、日の出なんていつも一緒ですからねえ、わざわざ行かなくてもいいですよね」というので、あ、しまったと思い、「あ、学生のころなんかはもちろん、行っていたよ」と返事をすると「そうでしたか、そうですよね。日の出は日の出で一緒なんだけれど、初日の出はやっぱり何か特別なかんじがしますものね」と嬉しそうに返してくれました。
そうなのです。これは不思議です。「お正月」などというのは単に人間の都合で決められた形式的な日付であって、とくに意味はありません。しかし、それが意味を持ち始める。
お正月の日の出は、やっぱり特別だと感じられて、それを見に行こうと華やいだ気持ちで出かける人がいるということです。
これには、時間と空間に対する人間的な感覚がかかわっています。一種の宗教性といってもいいでしょう。宗教学者のエリアーデは、こうした現象を、単に時間が過ぎ去るのではなく、「世界そのものが更新される」と人は感じるからだと説明しています。
つまり、ある節目において、時間を示す数字だけではなく、世界そのものが刷新され、若返り、新しいスタートが起こるというふうに感じられるのです。それはサイクル的な時間の捉え方です。
占星術ではこのような周期的な時間の捉え方をベースにしています。1年は太陽のサイクルを、1ヶ月は月のサイクルを、また木星のように12年のサイクルなどなどを複雑に組み合わせていくのです。
初日の出を心待ちにする心性と、星の動きを見つめる占星術の心性は、共通のベースを持っています。彼の言う「初日の出は特別」というつぶやきの裏には、数万年にもわたる人間の心の動きの一端が表れています。
鏡リュウジメールマガジン「プラネタリー夜話」
01:オカルト歳時記<元旦。初日の出が特別な理由>
02:今回の夜話1<沖縄の健康スローガンを見て思ったこと>
03:今回の夜話2<古書資料から2『黄道12宮の象徴学』>
04:生きるためのユング13<ペルソナを付け替えるとき>
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