高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

「スターウォーズ」最新作は台北のIMAXシアターで観るべし

高城未来研究所【Future Report】Vol.237(2016年1月1日発行)より



あけましておめでとうございます。
今週は台北にいます。

つい先日まで、那覇で米国人の友人と合流していたのですが、彼は滞在日数の関係で一度出国しなければならないことに気がつき、それだったら皆で台北にスターウォーズを見に行くのはどうか、と急遽決まりまして台北までやってきました。
那覇から1時間半で着く台北は、ホリデーシーズンでも片道5000円前後でLCC航空券が購入できますので、同じフライト時間がかかる福岡より、はるかに安く楽しめます。

さて、台北までわざわざスターウォーズの新作を見に来た理由は、ここにアジア最大のIMAXシアターがあるからです。

あたらしいスターウォーズは、IMAXと呼ばれる巨大カメラで撮影されておりまして、マスターフィルムがほぼ正方形をしています。
それを世界中の劇場が自社のスクリーンに合うように観客に内緒で縮小上映していますので、ミレニアムファルコン号が飛び立つ迫力あるシーンなどが、観客にわからないままに小さくなってしまって上映されている悲しい実情があるのです。

Star Wars The Force Awakens: IMAX vs Standard release
DETAILS EMERGE ABOUT STAR WARS: THE FORCE AWAKENS IN IMAX

そして、このサイズをキチンと上映している劇場は、日本にほとんどありません。
大阪のエキスポシティに新しくできたIMAXが辛うじてマスターサイズに近い状態で上映しておりますが、なぜか、公式のIMAXサイトに表記がありません。
ですので残念ながら、日本にあるほとんどの劇場が、IMAXデジタルと呼ばれる似て非なる上映形式ばかりになってしまっています。
これらの「偽IMAX」は、よく「LIEMAX」などとも英語で言われているほどで、その差は誰が見ても歴然です。

そのスクリーンサイズの差は、小さいものでも4倍、大きいものだと10倍近い差があります。

いわば古い4:3のブラウン管テレビでスターウォーズの新作を見るのと、8Kの曲面ワイドLEDテレビで見るくらいの差があるのです。

それゆえ、長年のスターウォーズ・マニアの間では、新作をどの劇場で見るのか、ここ数ヶ月議論が続いていました。

そこで、わざわざ台北までスターウォーズの新作を見に行こう!ということになりました。

アジアでマスターサイズでスターウォーズを上映しているのは、マニラ、バンコク、中国のいくつかの都市、そして台北しかありません。

なかでも台北のIMAXシアターはスクリーンが巨大で、また、客席がかなりの斜面になっている世界有数のシアターです。

最近は3Dシアターや体感シアターなども増えていますが、この巨大なスクリーンと傾斜角は、なによりも「リアル」を感じます。

さて、肝心のスターウォーズ・エピソード7「フォースの覚醒」は、長年のスターウォーズ・ファンの期待に応えるもので、大満足でした。

思えば12歳の時、銀座一丁目にあった「テアトル東京」で、早朝にスーパーシネラマ画面で見たスターウォーズの虜になって以来40年弱。

また、その間テクノロジーが、まるでスターウォーズの世界に近づくように進化し、家庭のテレビも高精細巨大化しました。

だからこそ劇場へわざわざ足を運ぶ意味は、今日格別なものでなければなりません。

IMAXは、その期待に応えるフォーマットなのです。

また、次作エピソード8は、IMAXで撮影するのではなく、スーパーワイドの古い規格「Ultra Panavision 70」で撮影するとのこと。

タランティーノの新作もこのフォーマットで撮影されており、これも劇場に足を運ぶことの「経験」を観客に提供する懐かしくもあたらしい手段で、この傾向は今後世界中で増えることでしょう。

いまから楽しみです。

劇場をあとにした台北の夜はすっかりスターウォーズ談義に花が咲きまして、赤い光を放つライトセーバーは人工石を使っているからで、天然石を使ったライトセーバーは、青や緑、紫など天然石の素材によって光が異なることや、特撮工房ILMは、特撮なんかに大金かけていることが映画会社にバレたら大変だから、電気工事会社を装うために「インダストリアル・ライト&マジック」と名付けたことなど、ほとんど本編の物語とは関係ない話題で盛り上がりました。

本作は、「業」を引き継ぐ物語で、クリエイターも引き継がれましたので、きっとこのあと「業」もあたらしい監督のJ・J・エイブラムスやディズニーに引き継がれることなるんだと思います。

きっと、苦労が絶えない続編の製作になるでしょう。

311の東日本大震災以降、僕は作られた映像を見ることから、意図的に、そしてなにより心象的に距離を置いていました。

それが、いまゆっくりと溶け始めています。
これもフォースの導きかもしれません。

ちなみに、フォースを台湾では「原力」というんですね。

確か、日本で初公開の時には「理力」と訳されていたと幼いながらに記憶しています。

皆さま、本年もフォースと共にあらんことを!

 

┃高┃城┃未┃来┃研┃究┃所┃【Future Report】

Vol.237
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/ 2016年1月1日発行 /

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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