二等国には二等国なりの苦労や責務も存在する
もっとも、このところの日本国内での議論と言うのは、むしろリージョナルパワー、アジア地域での覇権を中国と争うというよりは、国力に見合った無理のない二等国でいいや的な「座して衰退を認め、受け入れる」論調が強くなってきている部分でもあります。また同時に、必要な政治行政の改革を先送りしたり、政権がなかなか安定しないことによるリーダーシップの不在が日本の衰退を甘受するかのような日本国民の後ろ向きな姿勢をアメリカの知日派からある種叱咤激励されているような雰囲気ですらあるわけです。
それは、発表動画でアーミテージ氏に喝破されている内容、すなわち「日本は一流国であろうとする意欲はあるのか。ないのであれば、この報告書は必要ない」という煽りに繋がってくる部分でもあります。
逆に、日本が二等国でいいよ、身の丈にあった国際的な影響力さえあればそれでいいんだよ、という諦めにも似た感覚を持ちがちな部分については、昨今の中国、韓国の領土問題にも強く見られるように、一等国でなくなった日本に対して中国も韓国も領土問題で配慮や譲歩をしなくなったという点で、一等国の責任を放棄したからと言って二等国には二等国なりの苦労や責務も存在するのだという点を見失いがちなのだということもいえるわけです。
国際関係においては特に、相手の国のプレステージが下がっていくことは、すなわち相対的に積極的な要求を平和的に行っても構わないという行動を取られがちであって、我が国が文字通り安全保障上の武力侵攻をされないのは、軍事費を抑えているとはいえ母体となる経済力が大きいことによる防衛戦力の充実にその根拠を求めることができます。つまり、日本人が考えているほど日本は弱くもなかったし、相応の配慮もされてきたのだとも言えます。
今回のアーミテージ報告書で拭い去りがたいテーマは(幾つもあるけれど)私の立場からするとこの日本の「衰退を受け入れることの潔すぎる態度」であり、同様に日米同盟こそが日本外交や安全保障を考える上で変えられないパラメータのひとつだともいえるのだという点です。
近い将来、私自身がこのアーミテージ報告書の全文和訳や解説注記のところで協力することがあるかもしれないので、その際にはこのメルマガでも随時注釈や考え方の力点について解説していきたいと思います。
問題は「そんな時間が果たしてあるのか!」という点なのですが……。
<やまもといちろうのメルマガ『人間迷路』Vol.22「インシデント」より>


その他の記事
![]() |
冬の間に眠っていた体内の問題が目を覚ます季節(高城剛) |
![]() |
「外からの働きかけで国政が歪められる」ということ(やまもといちろう) |
![]() |
最近笑顔の減った男性は要注意!? 「つられ笑い」は心身の健やかさの指標(名越康文) |
![]() |
ハダカの「自分」を見つめることの難しさ(紀里谷和明) |
![]() |
最近「オタク叩き」の論調がエクストリーム化して理解が非常にむつかしい件(やまもといちろう) |
![]() |
ゲンロンサマリーズ『海賊のジレンマ』マット・メイソン著(東浩紀) |
![]() |
中国製格安EVのダンピング問題と根源的なもの(やまもといちろう) |
![]() |
土建国家の打算に翻弄される南アルプスの美しい山並(高城剛) |
![]() |
「50GBプラン」にして、5G時代のことを考えてみた(西田宗千佳) |
![]() |
季節の変わり目に丹田呼吸で自律神経をコントロールする(高城剛) |
![]() |
週刊金融日記 第297号【世界最大のビットコイン市場であるビットフライヤーのBTC-FXを完全に理解する、法人税率大幅カットのトランプ大統領公約実現へ他】(藤沢数希) |
![]() |
人々が集まる場に必要なみっつの領域(高城剛) |
![]() |
日本のものづくりはなぜダサいのか–美意識なき「美しい日本」(高城剛) |
![]() |
「試着はAR」の時代は来るか(西田宗千佳) |
![]() |
近年の大ヒット映画に見る「作り方」の発明(岩崎夏海) |