若林理砂
@asilliza

若林理砂メールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法」より

あなたが「運動嫌い」になった理由

※この記事は若林理砂のメールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法」2015年3月23日Vol.094からの抜粋・再構成です。

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たぶんこのメルマガ読んでくださっている方々の中にも、運動大嫌いな方はたくさんいらっしゃると思うんだな。「運動してくださいね」って言われた瞬間にその場から立ち去りたくなるか、もしくはニコニコ笑って聞き流すか。ほんと、臨床でも多いです。

長年、どうやったら「運動」してもらえるんだろうなあと、ベッドサイドで患者さんをなだめたりすかしたり叱ったりしつつ。結局運動してもらえるところまではもっていけず。

みなさん、どのあたりで運動嫌いになりました?? 私、幼稚園ですでに嫌いになったです。鉄棒、運動会、マット運動。カラダは大きかったけど、運動能力は最低。走ればビリ、飛べばコケる、逆上がりは豚の丸焼き方面。水泳だけがとりえでした。

とにかくきつかった。できないからやらない、やりたくない。小学校に入って。体育の時間はもっとイヤでした。出来るまでやらされる逆上がり。手のひらの皮が剥けてもやらないといけない。飛べない跳び箱。気管支が痛くなる長距離走。運動会は憂鬱。やっぱり夏のプールだけが大好きでした。

……なんであんなに、つらいことばっかりやらされたんでしょうね。

ある時、何かのコツがつかめたんですね。これが小学校3年生の時。急に跳び箱が飛べるようになり、逆上がりも出来るようになり、ドッジボールでボコボコにされることもなくなり。たぶん、体の大きさと筋力が釣り合ったんでしょうね、小学校3年生で。

そうはいっても運動大好きってわけではなく。特に長距離走。寒い季節に肺が痛くなりながら走るアレ。大嫌いでした、いや、今でも嫌いです。たぶん、長距離走のコツが未だにつかめていないからなのでしょうね。短距離走は掴めているから、赤ん坊背負ってでも走れるのですが……。

スポーツテストってあったでしょ。体力測定っていってたっけ。ソフトボール投げってやらされたけど、アレ、普段からボールを投げ慣れてないと筋力あろうがなかろうが、その辺にポテって転がすみたいになっちゃうのよ。斜め上方向に投げなきゃ遠くへは飛ばないんだけど、前に向かって投げちゃうの。そうすると、下に落ちるだけ。でも、ボールの投げ方って、体育で教わった覚えはないんだよね。これ、教わればそれであっという間に飛距離は二倍では利かないくらい伸びます……しかも、楽に投げられるようになる。

何らコツも教えてもらえず、どうやったらうまくいくかも論理的に指導されず、ただ、「走れ」「飛べ」「回れ」「泳げ」って、全部自分で解決せよ……ってされて、その上評価や競争にさらされたから、みんな運動嫌いなんじゃないのかなあ……と思います。

そりゃ、つまんないよ。最初から出来る子しか、上達できないもの。時間をかけて回数を重ねてやれば、まあ出来るようになることもあるけど、ほぼ全くダメな場合は、それこそ何年かかってもダメなまま。

立位体前屈だって、コツを教えてもらえば相当曲がるようになるんだよ。次の写真を見てみて。バックがごちゃごちゃしてるのはごめんよ。治療室でババっと空き時間に撮ったからさー。

まず、鼠径部に手を置いて。

そこを押しこんでやって、おしりが後ろに下がるようにして。

背中が水平になるまで曲げること。

その後、手を引きぬいてゆっくり床に向けて手を差し出す様に背中を曲げて。

たいてい、曲がらない人は、背骨から曲げてるのね。

本当は、股関節から曲げないとならないの。床に手がつかない人は、しっかり屈曲できるところじゃない脊椎から曲げてたりする。これ、私も教わってから目から鱗でね。自分が、本来曲げるべきところじゃないところを曲げていることに、指摘されて初めて気づいたのよ。

股関節から体を曲げる場合は、おしりは後ろに下がっていくの。そうすると、上手に上体を倒すことができて、最終的に手が床につくようになるの。この動作ができるようになると、劇的に腰痛が減るんだよ。

曲げるべきところじゃないところを曲げていて、必要ないところにいらない力を入れている。結果、普通に生きてるだけでやたらに疲れる・体が痛い・マッサージしてもらってもすぐもとに戻っちゃう……という現象が発生するわけだ。で、そんな体の使い方で運動したら、楽しいワケないのよ。あっちこっち痛くなるし、すっきりしないもの。

こういう、すっごく細かい体の動きのコツが積み重なると、日常生活が楽になっていくんだけどな……。ホントにたいしたことじゃないの。ただ、指摘されないと多分一生わからないの。そして、こういう細かいことを日常生活の動作に全部組み込んでいくと、恐ろしく早く、効率よく動けるようになっていくのね。で、そうやって日常を過ごしてやれば、別に「キツイ運動」をしなくても、カラダは結構いい状態に保てるようになります。

 

 

若林理砂のメールマガジン「鍼灸師が教える一人でできる養生法

92015年3月23日Vol.094もくじ

01:養生予報:自律神経失調が多い春…漢方、食材、散歩等での対処法
02:鍼灸師の養生メシ日記
03:Q&A:読者からの質問、食事指導:今回はお休みです。
04:わかりたいあなたへ。りさちゃん先生の東洋医学:断食は東洋医学か?(5)
05:臨床家の眼から:「運動」っていうとみんな顔をしかめる(1)
06:てらじん×りさの漢方雑談:風邪!?花粉症!?かかりつけの専門家を持とう
07:奥様が魔女:風邪なんだか花粉症なんだか
08:りさせんせーんちの家事&子育てお役立ちコーナー:家族の健康管理には舌診を

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若林理砂
1976年生まれ。鍼灸師・アシル治療室院長。高校卒業後に、鍼灸免許を取得し、エステサロンの併設鍼灸院で、技術を磨く。早稲田大学第二文学部卒。2004年、アシル治療室開院。現在3ヵ月先まで予約が埋まるほどの人気を集めている。

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