家入一真
@hbkr

家入一真メールマガジン『家入学級』より

これから「研究者」がマイノリティになっていく?

家入一真メールマガジン『家入学級』Vol.56より

08b53aa416ee31976cf83515c22e52eb_s


 
【おすすめ記事】
プログラミング言語「Python」が面白い
「暮らし」をシェアする時代がくる? 注目のシェアリングエコノミー
20代のうちは「借金してでも自分に先行投資する」ほうがいい?
人生に「目的」なんてない–自分の「物語」を見つめるということ
東大卒のポーカープロに聞く「場を支配する力」

多くの専門家が言語を研究して、プログラミングをしたり、すごく難しい数式を考え出したりしている。僕には数式の意味はわからないけど、彼らが生み出したツールやライブラリを使うことはできるので、いろいろ実験して「本当だぁ」「楽しいな」みたいなのをやっています。

そういう、研究をコツコツやっている人たちって、すごく尊いと思う。哲学を研究している人もそうだし、自然言語処理とか、人工知能とか、ビッグデータといった専門分野で研究を続けている人、大学院で勉強している人たちを馬鹿にできないなって、最近は思う。いや、別にこれまで馬鹿にしていたわけではないけど、数年前まで僕は「大学院に行くくらいなら起業しなよ」とよく言っていたので。今は「そのまま大学に残って研究を続けた方がいいよ」と言いたいですもん。

投資家の仲間にも、「もっと大学の研究室に投資した方がいい」と話しています。今、大きな流れとして「反知性主義」がきていますよね。知性に対して反発する気運がある。例えばライザップの流行とか、EDMというクラブイベントが流行っているのもその流れで、フィジカルなものへの回帰がすごい勢いで進んでいるからなんだと思う。

※「ライザップ」
パーソナルトレーニングジム。厳しい管理でダイエットの結果を出すことで注目されている。
http://www.rizap.jp

※「EDM」
エレクトロ・ダンス・ミュージックの略。高揚感をもたらす電子音が特徴。EDMのヒット曲「Calvin Harris - Summer」
https://www.youtube.com/watch?v=ebXbLfLACGM

そう考えると、「学んでも無駄だから起業しようぜ」っていうのも、反知性主義の一つだったんじゃないかなと感じています。学んでも何にもなんないじゃん。就職しても無駄じゃん。じゃあ起業してイチかバチかで賭けてみて、儲かったらそれでいいじゃん。そういう態度って、ライザップやEDMの流れの一貫だったんじゃないかと。

そう考えれば考えるほど、大学などで地道な研究を続けている人たちに対して、リスペクトが生まれてきました。

自分で言うのも変ですが、僕には、「これからどういう人たちがマイノリティーになっていくか」を、見ぬく力があるんですよ。だから、僕が大学のそういう人たちのことをいいなと思っているということは、彼らがこれから虐げられる可能性がある。数も減ってきて、かつては知性と権威が一緒だったけどそれも崩れてきて、実利主義みたいなものが浸透して、研究者が追いやられていくんじゃないかな。

でも研究者や専門家の存在って本当はすごい大事で、イノベーションもそういう人たちがつくり出したものから生まれたりする。彼らの取り組みの弱いところは、結果がすぐに出ないこと。今は、すぐに結果が出るものばかりが追い求められていて、起業なんてまさにそうですよね。だから、「起業しようぜ」というメッセージは、もうあんまり発信したくないですね。

(本記事は家入一真メールマガジン「家入学級」Vol.56(2015年2月26日発行)より一部抜粋しています)

最新号はこちらから。

 

家入一真メールマガジン「家入学級

30

【料金(税込)】 648円 / 月
<初回購読時、1ヶ月間無料!!>
【発行周期】 月2回配信(第1,第3火曜日配信予定)

進化し続ける起業家・家入一真のリアルタイムドキュメンタリー&メッセージ。学校嫌いだった著者が「学校では教えてくれない、この世を生きる術」について、ときにマジメに、ときにはゆるく語ります。現代社会を生き抜くための優しいヒントが詰まってます。メルマガならではの購読者特典も。自分の夢に向かって頑張っている人も、世の中にちょっと生きづらさを感じている人も。日本一自由な学び場メルマガ、「家入学級」に来たれ!

ご購読のお申し込みはこちら

ieiri

家入一真
1978年生まれ。起業家/投資家/クリエイター。悪ふざけをしながら、リアル・ネットを問わず、カフェやWEBサービスや会社など、遊び場を作りまくっている。JASDAQ最年少上場社長。40社程の若手ITベンチャーにも投資している。解放集団Liverty代表、JASDAQ上場企業paperboy&co.創業者、カフェ運営企業partycompany Inc.代表取締役、ベンチャー投資企業partyfactory Inc.代表取締役、クラウドファンディングCAMPFIRE運営企業ハイパーインターネッツ代表取締役。個人名義でも多数のウェブサービスの立ち上げを行うクリエイターでもある。

その他の記事

人事制度で解く「明智光秀謀反の謎」(城繁幸)
睡眠時間を削ってまで散歩がしたくなる、位置情報ゲームIngress(イングレス)って何?(宇野常寛)
韓国情勢「再評価」で、問題知識人が炙り出されるリトマス試験紙大会と化す(やまもといちろう)
いま、東シナ海で何が起きているのか(小川和久)
本当に必要なものを見抜くためのひとつの方法(高城剛)
パラリンピック「中止」の現実味と、五輪中止運動のこぶしの下ろし先(やまもといちろう)
ソフトバンク・Pepperの価格設定から見る「売り切り時代」の終わり(西田宗千佳)
ひとりで「意識のレベル」を測る方法(高城剛)
花粉症に効く漢方薬と食養生(若林理砂)
女子高生に改正児童ポルノ法の話をした理由(小寺信良)
『声の文化と文字の文化』ウォルター・オング著(森田真生)
「狂信」と「深い信仰」を分ける境界(甲野善紀)
“迷惑系”が成立する、ぼくらが知らないYouTubeの世界(本田雅一)
週刊金融日記 第275号 <いまさら人に聞けないビットコインとブロックチェーン・テクノロジー他>(藤沢数希)
オワコン化が進む、メタバース、NFT、Web3、AIスピーカー… 真打は生成AIか(やまもといちろう)
家入一真のメールマガジン
「家入学級」

[料金(税込)] 660円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回配信(第1,第3火曜日配信予定)

ページのトップへ