高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

ビッグマック指数から解き明かす「日本の秘密」

高城未来研究所【Future Report】Vol.450(2020年1月31日発行)より

今週は、東京にいます。

米国から訪れる友人たちは、皆、東京の食事が安くて美味しいことに驚いています。
そこで、彼らもよく知るマクドナルドに入って、紅茶を頼んでティーバッグを入れずに「白湯」を飲みながら、僕なりの「日本の秘密」を話すことにしました。

まず、「ビッグマック指数」を見てみましょう。
イギリスの経済専門誌「エコノミスト」によって1986年9月に考案された「ビッグマック指数」は、マクドナルドで販売されているビッグマック1個の価格を比較することで得られる、各国の本当の経済力を表す指数として知られています。

ビッグマックは、ほぼ全世界でほぼ同一品質(実際には各国で多少異なります)の商品が販売されます。
それゆえ、原材料費や店舗の光熱費、店員の労働賃金など、さまざまな要因を元に単価が決定されるため、「ビッグマック指数」が、各国政府発表の数値とは異なる実体経済を映し出す真の購買力と言われてきました。

昨年夏に発表された世界の「ビッグマック指数」を見ますと、米国624円にたいし日本は390円と、大きな差があります。
世界でもっとも高額なビックマックを提供しているのはスイスの712円ですが、タイ415円、韓国412円、コロンビア401円、スリランカ396円と、現在の日本の実体経済や現在の購買力は、これらの国よりも下に位置し、驚くことに382円のホンジュラスと肩を並べています。

その上、平日10:30-14:00のバリューランチだと、ドリンクがついて400円!
米国人ならずとも、ほとんどの海外渡航者から見ると、驚きの価格となるわけです。

これは、政府と日銀の「異次元の金融緩和」による「日本の投げ売り」が原因なのは明らかで、本当の日本の価値と日本円が見合ってない「一時的なドーピング金融政策」であることが、ビッグマック指数から明確に理解できます。
この背景には、戦後稀に見る親米政権が誕生したことにより、長期政権維持と米国からの「ミッション」をうける形で、様々な「日本の投げ売り」がはじまったことに起因します。
しかも昨年秋には、米国に言われるがままに「改正外為法」を成立させましたが、先週、米国財務省は、日本を「ホワイト国」からついに外し、日米関係は最悪と言える状況なのです(日本の報道では、「内緒」ですけど)。

また、同じビッグマックでも、米国のビッグマックより日本のビッグマックのほうが「体に悪い」ことは、ほとんど知られていません。

「身体に悪いもの」として、この数年よく耳にするようになった「トランス脂肪酸」ですが、2003年には世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)が「総摂取エネルギー量の1%未満」という国際基準を設け、2006年にはアメリカでも商品パッケージへの含有量表示を義務付けられたことにより、アメリカ保存食品製造業者協会(GMA)によれば、加工食品への使用量は86%も減少しました。
当然、米国のスターバックス、マクドナルド、KFCなどのファストフードチェーンは、(顧客から訴えられないように)米国内ではもうトランス脂肪酸を使用していませんが、日本のマクドナルドは、いまだ使用を続けています(減らすようにしている、というのが公式コメント)。

米国では法律と条例により、2021年までにトランス脂肪酸を多く含むマーガリンやショートニング等の油が、食品市場から完全に消えることに決まっていますが、日本では、厚生労働省が規制しておらず、表示義務すらありません。
よって、良心的な製法で作られた商品が差別化できず、低品質・低価格しか競争の軸がないため、特に海外ゲストは「日本の食べ物は、安価でも美味しい!」と、感じます。
言い換えれば、他国では違法となる低品質なものを許容することによって、情報弱者から(金銭および健康を)搾取する安さが、デフレの本質でもあるのです。

ちなみに日本マクドナルドの実態は、不動産事業です。
発表されている決算の貸借対照表を見れば一目瞭然。
資産の8割が固定資産、つまりは不動産で、米国の皮をかぶった別業態であり、極めて日本式経営といえます。

一見、日本のものに見えるものは、実は米国の支配下にあり(代表:日本政府)
一方、米国っぽいものに見えるものは、極めて日本式システムが本質にある(代表:日本マクドナルド)。
このような「見えない構造」(実態は、共産主義と血統主義)が、日本の真の姿なのです、と米国から訪れるゲストに、東京を案内しながら話しました。

デフレの正体から米国との関係まで、今日の日本の問題は、相当根深いと改めて考える今週です(気候は、恐ろしいまでに春のようですが)。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.450 2020年1月31日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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