西田宗千佳×小寺信良対談 その5(最終回)

教育にITを持ち込むということ

今月の対談のお相手は、電気が通るモノ全般を扱うというジャーナリストの、西田宗千佳さんにお願いしている。

いよいよ好評の対談も最終回。今回のお話しは、PCの使い方の流れで、学校教育のIT化、電子教科書の議論や現場のあり方などを語っていく。昨年のMIAUのプロジェクトのひとつとして、教育のIT化について調査・研究を行なってきた。電子教科書導入の議論なども、一通り取材している。

一方西田さんは、ITの利活用という流れから電子教科書の取り組みを取材してまとめた書籍を出されており、僕もその時に保護者の立場から取材されている。
リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ

一時期盛んだった電子教科書の議論も、昨今はあまり聞かれなくなったが、現場は常に走り続けている。

 

パソコンと言えばWord、Excelだった

小寺 PCの使い方という事では、学校にあるパソコンルームのあり方やなんかも、もう変わらないといけないと思うんですよね。

西田 電子教科書の本を作った時にずっといろいろ話を聞いてて思ったのは、昔はやっぱりパソコンと言った時にはWord、Excelだったんですよね。ところが今は、ビジュアルなものを作って人に見せるためのソフト。

だから、圧倒的にパワポのほうがいいってみんな言うわけですよね。そこに人のニーズが移ってて、しかも使う側のモチベーションとしても、そっちは紙じゃできないから高いんですよね。

小寺 なるほど。

西田 小寺さんにも一回見学に行くことをおすすめするんですけど、千葉に袖ヶ浦高校ってあって、そこでは学生にプレゼンの授業をさせるんですよね。で、生徒同士で自分をプレゼンすると。

[caption id="attachment_2040" align="alignnone" width="420"] 某メーカーの超秘密会議に同席した際の西田宗千佳氏[/caption]

その時に、できる限りKeynoteに自分のことを書いて、自分のことをどういう順番で見せると人にわかりやすいか、っていうのを試行錯誤させてんですよ。その時に思ったのは、いわゆる人に見せるものを作る、って環境が、今までって紙一枚だったじゃないですか。そうじゃなくて、流れを作る、っていう感覚を覚えさせる。

小寺 ああ、時間軸でね。

西田 うん、時間軸で。で、それがわかってくると、次からはプレゼンの時じゃなくて、人に説明する時に、時間軸に沿ってしゃべるように変わる。

小寺 話の順序が作れるようになるんだ。

西田 それができると、コミュニケーションの密度とか、精度とかが大きく変わるんですよ。これをiPadを持って見せながらやることによって、要は身体で覚えるわけですよ。それはでかいな、と思いましたね。

1 2 3 4

その他の記事

IT野郎が考える「節電」(小寺信良)
テクノロジーが可能にしたT2アジア太平洋卓球リーグ(T2APAC)(本田雅一)
言葉で言い表せない不思議ななにかが起きるとき(高城剛)
週刊金融日記 第271号 <美術館での素敵な出会い 傾向と対策 他>(藤沢数希)
迷子問答代表質問:生成AIの波に翻弄される映像制作者(やまもといちろう)
「病む田舎」の象徴となるような事件が多いなあという話(やまもといちろう)
美食にサーフィンに映画と三拍子揃ったサンセバスチャンの「美味しさ」(高城剛)
「電気グルーヴ配信停止」に見るデジタル配信と消費者保護(西田宗千佳)
花見で教えられるこの世の唯一の真実(高城剛)
21世紀の民族大移動:大きくリフォーム中にある移民大国の今(高城剛)
部屋は「あなた」である――掃除をするか、旅に出るか(名越康文)
ロシア人が教えてくれた人生を楽しむための世界一具体的な方法――『人生は楽しいかい?』(夜間飛行編集部)
「編集者悪者論」への違和感の正体(西田宗千佳)
41歳の山本さん、30代になりたての自分に3つアドバイスするとしたら何ですか(やまもといちろう)
ナイジェリア政府による誤情報発表とJICA外交政策への影響について(やまもといちろう)

ページのトップへ