贈与は合理化できない
平川:つまり、民主主義以前からあったものなんだよ。
内田:市場経済の登場よりもはるか昔から。
平川:市場経済は民主主義でないと成り立たないんだよ。王権の時代はたしかに市場経済らしきものはあったけれども、売りたくない奴には売らないこともたくさんあったんですよ。「金で買えないものは何もない」と堀江(貴文)が言ったけれども、彼はまさに民主主義の代弁者なんだよ。
そしてそれは“アメリカ”なんだよね。民主主義以前は、サービスのする側と受ける側は常に非対称の状態にあって、贈答ということを延々やってきた。でもなぜそんなことやるんだと言えば、その理由はないんですね。たとえば親の子に対する愛情はまさに贈与そのものじゃないですか。でもその贈与には理由がないんですよ。少なくとも僕らの考える民主主義的な理由がない。
内田:合理化できない。
平川:理由はたくさんあるよ。あるんだけれど、商品交換のロジックだけでは説明できない。
内田:ぜんぜん説明できないと思うよ。市場経済では贈与ということはありえないんだから。無償で差し出しているんだから。「無償で差し出したらどんないいことがあるんですか?」、「ないよ」って話だから。
平川:まさに商品交換の歴史なんだよね、近代化は。道路ができたり、技術が発展したり、というのは。
内田:その方が速いんだよね、確かに。贈与経済でずっとやっていても、長い時間をかければ近代化するけれど、資本主義でやれば変化が速い。テクノロジーの進化にしても、贈与経済でやっていたら1000年かかるところが10年でできる。人間が考え出すシステムは、本質的にそんなに違わないと思うけれど、そこに貨幣経済をかませるとすごく動きが速くなるんだよ。
平川:かませなければ、レヴィ=ストロースの「冷たい社会」ですよ(※)。
※人類学者レヴィ=ストロースが『人種と歴史』の中で「熱い社会」とともに用いた概念。激しく変化する近代社会に代表される「熱い社会」と、変化の速度がゼロに近く、自らを不変の伝統に閉じこめようとする「冷たい社会」(未開社会)を対比的に捉えた。
その他の記事
|
本当の知性を育む「問いへの感度を高める読書」(岩崎夏海) |
|
「歳を取ると政治家が馬鹿に見える」はおそらく事実(やまもといちろう) |
|
地域住民の生活が奪われるオーバーツーリズム問題(高城剛) |
|
『悲劇の誕生』ニーチェ著(茂木健一郎) |
|
なぜアップルのユーザーサポートは「絶賛」と「批判」の両極の評価を受けるのか(西田宗千佳) |
|
何でもできる若い時代だから言えていたこと(やまもといちろう) |
|
人生を変えるゲームの話 第2回<一流の戦い方>(山中教子) |
|
「iPhoneの発売日に行列ができました」がトップニュースになる理由(西田宗千佳) |
|
参院選ボロ負け予想の自由民主党、気づいたら全党消費税減税を叫ぶポピュリズム政局に至る(やまもといちろう) |
|
「野良猫」として生きるための哲学(ジョン・キム) |
|
日本が世界に誇るべき観光資源、温泉について(高城剛) |
|
米大統領選に翻弄されるキューバのいま(高城剛) |
|
議論の余地のないガセネタを喧伝され表現の自由と言われたらどうしたら良いか(やまもといちろう) |
|
眼鏡っ子のための心を整えるエクササイズ(名越康文) |
|
「コントラスト」と「ダイナミックレンジ」(高城剛) |










