名越康文
@nakoshiyasufumi

自分の人生に「小さな革命」を起こす

『心がスーッと晴れ渡る「感覚の心理学」』著者インタビュー

『自分を支える心の技法』(医学書院、2012)を刊行したとき、「自分の心理学的方法論をこれ以上コンパクトにまとめた本は、当分出せないな」と思いました。今回の本はいわばそれをステップにして、「その先」に向かうための方法をまとめた、我ながらユニークな内容になったと思っています。

 

生きづらいと思っている人ほどチャンスがある

いまの自分の生き方に疑問を感じている方、そこにプラスアルファを加えたい方、自分の人生に「小さな革命」を起こしたい方にはぜひ読んでもらいたい。

「人生に革命を起こす」というと、すごくポジティヴというか、前向きな人のための本かと言うと、そうじゃない。僕の考えではむしろ、いま、人生をすごく生きづらいと思っている人こそが、実は人生を大きく変えるチャンスを持っている人なんです。

また、まったく逆に、何をやっても成功してしまう人、挫折を知らない人も、実は心のどこかで「人生を変えたい」と思っていることは思いのほか多い。そこにはおそらく、「これほど成功しているにもかかわらず、生きる実感が得られない」という思いがあるんですね。

なぜなら、生きる実感というのは、必ずしも社会的成功によって得られるものではないからです。僕らは常に予測、常識の枠のなかで生きています。社会的成功を積み重ねるということは、その「予測の檻」を自らの手で頑強に構築してしまうことにほかなりません。

成功という檻に囚われている人は案外、多い。そういう人もぜひ一度、読んでみてもらったらいいかな、と思っています。

人間はそれぞれが、それぞれの作った檻の中で生きています。社会的な成功者だって、人生がうまくいかなくてくじけている人だって、そのことについては、似たようなものです。

人生のどこかで、その檻からちょっと抜け出せるかどうか。それは、社会的成功とはまったく別の軸で、人生を豊かなものにできるかどうかの分かれ目だと僕は思うんです。

そして今回の本では、その「檻から抜け出たさわやかな状態」をいかにして持続させていくか、そのことに焦点を置いています。それは結局、自己イメージ、あるいはアイデンティティをどこに置くかということに集約されていきます。

どんな人でも、明るい自己イメージと、暗い自己イメージを持っている。そのどちらにアイデンティティを置くのか、そして、変革した自己イメージをどのように維持していけばいいのか。そういう問いに答えるべく展開した、名越心理学最新バージョンです。ご笑覧いただければ幸いです。

名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学、龍谷大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:現:大阪精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『「鬼滅の刃」が教えてくれた 傷ついたまま生きるためのヒント』(宝島社)、『SOLOTIME~ひとりぼっちこそが最強の生存戦略である』(夜間飛行)『【新版】自分を支える心の技法』(小学館新書)『驚く力』(夜間飛行)ほか多数。 「THE BIRDIC BAND」として音楽活動にも精力的に活動中。YouTubeチャンネル「名越康文シークレットトークYouTube分室」も好評。チャンネル登録12万人。https://www.youtube.com/c/nakoshiyasufumiTVsecrettalk 夜間飛行より、通信講座「名越式性格分類ゼミ(通信講座版)」配信中。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

その他の記事

大国の世相変化に翻弄される香港の今(高城剛)
「50歳、食いしん坊、大酒飲み」の僕が40キロ以上の減量ができた理由(本田雅一)
なぜ「もしドラ」の続編を書いたのか(岩崎夏海)
今週の動画「顔面へのジャブへの対応」(甲野善紀)
映像製作とカンナビス・ビジネスが熱いロサンゼルス(高城剛)
エッセンシャル・マネジメント(本質行動学)とは何か(西條剛央)
画一化するネットの世界に「ズレ」を生み出すということ(西田宗千佳)
ウクライナ問題、そして左派メディアは静かになった(やまもといちろう)
普遍的無意識を目指すあたらしい旅路(高城剛)
レジームの反撃を受けるベンチャー界隈と生産性の今後(やまもといちろう)
コンデンサーブームが来る? Shureの新イヤホン「KSE1500」(小寺信良)
そんなに「変」じゃなかった「変なホテル」(西田宗千佳)
本当に大切な仕事は一人にならなければできない(やまもといちろう)
付き合ってるのに身体にも触れてこない彼氏(25歳)はいったい何を考えているのでしょう(石田衣良)
本気でスゴイ!手書きアプリ2つをご紹介(西田宗千佳)
名越康文のメールマガジン
「生きるための対話(dialogue)」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回発行(第1,第3月曜日配信予定)

ページのトップへ