DVD『究極の卓球理論ARP(アープ)』刊行記念インタビュー

“美しい”は強い――本当に上達したい人のための卓球理論(上)

スポーツすることの美しさ

最初に、私が「卓球はすばらしい“スポーツ”なんですよ」という言い方をあえてしたのは、スポーツの美しさ、洗練された運動の中にある「美」を言いたいからです。卓球というスポーツは本来、すごく美しいスポーツなんだということを言いたいし、それを表現できる人が増えてほしい。

「スポーツの美」というのは、単に「見た目がきれいだね」ということではありません。それは無理なく、無駄なく、バランスの取れた運動を研ぎ澄まし、磨いていくことによって、はじめて生まれるものです。

例えばフィギュアスケートなどの採点競技では、そうした質の高い運動、パフォーマンスに対して高い評価が与えられますよね。卓球は採点競技ではありませんが、フィギュアスケートと同じように、「スポーツの美」を持っています。私は現役時代から、その「スポーツの美」を磨き、あるいは探し求めてきました。

もちろん、卓球には勝ち負けがあり、日本代表として何がなんでも勝たなくちゃいけないということもありました。でも、私が心の中で追求し続けたのは、そういう「無理なく、無駄なく、効率的な運動」であり、「速く、強く、美しい」運動だったんです。

 

フィギュアスケートと卓球はよく似ている

「速さ、強さ」と「美しさ」というのは、ほとんど一体といっていいぐらい、つながっています。一見力強く見えても、バランスが崩れた姿勢では本当の意味で「速く、強い」運動にはなりません。本当の「速さ、強さ」というのは、バランスの取れた、美しく滞りのない、連続的な運動からしか生まれないんです。

私はよく生徒さんに、「フィギュアスケートと卓球はよく似ていますよ」という話をします。例えばカウンタースマッシュは、フィギュアスケートのジャンプの運動とすごく近いと私は感じるんです。

スゥーッと滑ってきて、「ここしかない!」というタイミングでパンッ! と軸に乗る。それがピタッとはまることで、美しいジャンプになる。これは、卓球でもまったく同じです。最高のタイミングで軸に乗ることによって、無理、無駄のない、最高のカウンタースマッシュが生まれるんです。

運動のクオリティをあげていくことで、速さ、強さ、美しさが一体となっていく。それはどんなスポーツでも、共通することではないかと思います。

現役時代、私はカウンタースマッシュが、楽しくて、大好きでした。ちょっとでも身体に力が入っていると、リズムが合わなかったり、軸が崩れてうまくいかない。でも、すべてがピタッと合うと、気持ちがスカッとして、これほどおもしろいものはないと思っていました。

例えば現役選手だと、石川佳純さんなどは、かなり上手にそういうパフォーマンスをされていると思います。先日のロンドンオリンピックでも何度か、いいボールを入れていましたね。もちろんメダルを取ることもすばらしいけれど、スポーツを観る人が「すごいな!」「すばらしいな!」と魅了されるのは、いつの時代もそういう速く、強く、美しい運動だと思うんです。

[caption id="attachment_2395" align="alignnone" width="480"] ジャストのタイミングで軸に乗るのがポイント
DVD『軸・リズム・姿勢で必ず上達する 究極の卓球理論ARP』より[/caption]

1 2 3 4 5

その他の記事

片思いの恋愛感情、相手に伝えるべき?(家入一真)
ソニーが新しい時代に向けて打つ戦略的な第一手(本田雅一)
沖縄の長寿県からの転落で考える日本の未来(高城剛)
季節の変わり目と心身のリセット(高城剛)
僕が今大学生(就活生)だったら何を勉強するか(茂木健一郎)
これからの時代にふさわしい正月らしさとは(高城剛)
可視化されているネットでの珍説や陰謀論に対するエトセトラ(やまもといちろう)
世界百周しても人生観はなにも変わりませんが、知見は広がります(高城剛)
【高城未来研究所】「海外に誇る日本」としてのデパ地下を探求する(高城剛)
親野智可等さんの「左利き論」が語るべきもの(やまもといちろう)
生き残るための選択肢を増やそう(前編)(家入一真)
日経ほかが書き始めた「デジタル庁アカン」話と身近に起きたこと(やまもといちろう)
柊氏との往復書簡(甲野善紀)
ゲームを通じて知る「本当の自分」(山中教子)
ネットは「才能のない人」でも輝けるツールではありません!(宇野常寛)
【DVD】軸・リズム・姿勢で必ず上達する究極の卓球理論ARP
「今のままで上達できますか?」元世界選手権者が教える、新しい卓球理論!

ページのトップへ