言葉には射程距離がある
言葉には射程距離があります。
言葉を発する人がそれを意識しているかどうかとは関係なく、言葉にはそれが「届く」距離がある。理屈っぽくいうなら、言葉は辞書的な意味だけではなく、それを発した人が持つ歴史的、心理的、あるいは関係性に基づいた枠組によって規定されるものだということですね。
これは言葉が持っている当たり前の性質なのに、実践的には、しばしば無視されています。そして、それによって失われているものは途方もなく大きいと僕は考えています。
言葉の射程距離は、その言葉を取り巻く枠組みを何となく共有できるかどうかによって決まります。それを共有できなくなった瞬間、言葉はありとあらゆる形で誤読されるようになります。
そして、非常に厄介なことなんですが、この「射程距離」は、発信者の努力だけで広げることはできません。言葉の射程距離は、常にその言葉を受け取る人とともに作りだすしかない。もちろん、それを届かせようという努力とか、力量が発信者に求められるのは当然です。しかしより大切なことは、それが発信され、受信される「場」の力なんですね。それが整っていないことには、言葉は届かない。
それはもう、絶望的に届かないんです。

その他の記事
![]() |
個人情報保護法と越境データ問題 ―鈴木正朝先生に聞く(津田大介) |
![]() |
週刊金融日記 第296号【魑魅魍魎たちが跋扈する暗号通貨市場を生き抜く、多数のイベントが待ち構える12月のビットコイン他】(藤沢数希) |
![]() |
政争と政局と政治(やまもといちろう) |
![]() |
一から作り直した「非バッファロー的なもの」–『新おもいでばこ』の秘密(小寺信良) |
![]() |
ダンスのリズムがあふれる世界遺産トリニダの街(高城剛) |
![]() |
誰かのために献身的になる、ということ(高城剛) |
![]() |
週刊金融日記 第315号【恋愛工学を学んだ者たちが世界中で活躍している、外交工学で金正恩がノーベル平和賞最有力候補へ他】(藤沢数希) |
![]() |
5年すればいまの世界はまったく違う世界に変わっている(高城剛) |
![]() |
古い常識が生み出す新しいデジタルデバイド(本田雅一) |
![]() |
誰がiPodを殺したのか(西田宗千佳) |
![]() |
「データサイエンスと個人情報」の危ない関係(やまもといちろう) |
![]() |
安倍政権「トランプ接待」外交大成功ゆえに、野党に期待したいこと(やまもといちろう) |
![]() |
バイデン政権移行中に中国が仕掛ける海警法の罠(やまもといちろう) |
![]() |
日本人の情報感度の低さはどこからくるのか(やまもといちろう) |
![]() |
フースラーメソード指導者、武田梵声の大阪講演2017開催決定!(武田梵声) |