鏡リュウジ
@Kagami_Ryuji

鏡リュウジのメルマガ『プラネタリー夜話』より

「不自由さ」があなたの未来を開く

ガラパゴス化する占星術

近代になって日本に占星術が入ってきたのは、ご多分にもれず大正期。日本で初めてホロスコープの入門書を書いたのは、夏目漱石『坊っちゃん』の山嵐先生のモデルにもなったという、隈本有尚だったという。隈本は英国に留学、アラン・レオら占星術家から占星術を学んだと伝えられている。

そのときには「考星学」などという言葉でアストロロジーを日本語化した。そのあとも、何人かの先駆者が続き、日本語で占星術が普及するようになったのだ。魔法やオカルトにしても同じ。 ただ、その後、しばらくの間、占星術に関して言えば、紹介がとまってしまったように見える時期もあった。そこで日本のなかでの占星術はまさに「ガラパゴス化」してしまっていた感がある。

洋書を個人輸入して読んだ10代

ぼくはといえば、10歳のときにタロットに出会い、そこからすぐに占星術にも手をだした。けれど、当時、子供のぼくが手に入れることができた日本語の本はごくわずかだった。占星術スクールはあったけれど、そうしたスクールに通うのは金銭的にも地域的にも無理だったのだ。 今にしてはこれがかえってよかったのだと思う。結局、洋書を手に入れて読むほかなかったということ。まだネットもなかったので、洋書店を通じて何冊か買ったのだが、これではあまりに高価だった。そこで個人輸入なども始めるようになった。

幸い、英語の得意な家庭教師の先生がいたので、オカルト書をテキストに読んでいくということに。リズ・グリーンやジェイムズ・ヒルマンといった人たちのテキストに巡り合ったのも、この流れであった。 幸か不幸か、占星術やオカルトは少し前までは学問の世界ではとてもマージナルな(あまり重要ではない)ものだったのだ。 その意味ではアジア諸国の人が何かの学問をすることと同じような状況にあったので、せめて英語で読むしかなかったということなのだ。 確かにオカルトなどは非常に大きなブームではあったが、大学などのなかで研究するような雰囲気はなかった。

 

1 2 3
鏡リュウジ
1968年3月2日生まれ。占星術研究家・翻訳家。国際基督教大学卒業、同大学院修士課程修了(比較文化)。占星術・占いに対する心理学的アプローチを日本に紹介したことで、幅広い層から圧倒的な支持を受け、従来の『占い』のイメージを一新する。英国占星術協会、英国職業占星術協会会員。日本トランスパーソナル学会理事。平安女学院大学客員教授。

その他の記事

会社を立ち上げました–家入流「由来を語れる」ネーミングについて(家入一真)
IR誘致に賭ける和歌山の今が象徴する日本の岐路(高城剛)
迷走する吉本興業の問題が“他人ごと”だけでは済まない理由(本田雅一)
週刊金融日記 第310号【教育工学も基本は恋愛工学と同じ、米中貿易戦争勃発、目黒駅の安くて美味しい立ち飲みビストロ他】(藤沢数希)
円で請求される燃油サーチャージに隠されたおかしな仕組み(高城剛)
この冬は「ヒートショック」に注意(小寺信良)
自分の「生き方」を職業から独立させるということ(紀里谷和明)
中央線に「サブカルクソ女人生」の夢ひらく!? 映画『歌ってみた 恋してみた』 上埜すみれ×深琴対談(切通理作)
新「MacBook」を使ってみたらーー「ペタペタ」キーボード礼賛論(西田宗千佳)
教科別の好き嫌いをなくすには?(陰山英男)
グローバリゼーション時代のレンズ日独同盟(高城剛)
「スマートニュース」リストラ報道と報道記者喰えないよ問題(やまもといちろう)
41歳の山本さん、30代になりたての自分に3つアドバイスするとしたら何ですか(やまもといちろう)
働かないのか? 働けないのか? 城繁幸×西田亮介特別対談(後編)(城繁幸)
山岡鉄舟との出会い(甲野善紀)
鏡リュウジのメールマガジン
「プラネタリー夜話」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回発行(第2,第4月曜日配信予定)

ページのトップへ