名越康文
@nakoshiyasufumi

名越康文のメルマガ『生きるための対話(dialogue)』より

身近な人に耳の痛いアドバイスをするときには「世界一愛情深い家政婦」になろう

 

好評発売中!

驚く力―さえない毎日から抜け出す64のヒント surprised_cover

現代人が失ってきた「驚く力」を取り戻すことによって、私たちは、自分の中に秘められた力、さらには世界の可能性に気づくことができる。それは一瞬で人生を変えてしまうかもしれない。

自分と世界との関係を根底からとらえ直し、さえない毎日から抜け出すヒントを与えてくれる、精神科医・名越康文の実践心理学!

amazonで購入する

 

 

【質問】身近な人に注意をするのが難しい

名越先生のメルマガを参考に、自分のなかの小さな怒りや勝手な思い込みを観察し、できるかぎりそれを払うようにしています。以前よりも自分自身、怒りに囚われなくなったような気もしますし、他人が怒っていても、それはその人の本質ではなく、たまたまいまそういう状態なのだと思えるようになりました。

ただ、身近な人が相手になると、どうしても「そんなことでいつまでも怒らないほうがいいよ」「いつまで怒ってるんだよ」と注意したい気持ちになることがあります。しかし、注意すること自体は悪いことではないかもしれませんが、そこに相手に対する「見下し」「軽視」が含まれているようで、あまり気持ちよくはありませんし、言い方を間違えると、余計に相手を怒らせてしまうことにもなりかねないと思います。

身近な人に注意したり、忠告したりするときに、注意すべきことは何でしょうか。

 

 

身近な人間関係は心理学的には「ハイレベル」な課題

 

感情的になっている人を見ると「いつまで怒ってるんだろう」とがっかりしたり、操作したくなったり、見下したりしてしまうことがあります。特にそれが家族や友人など、身近な人であればなおさらです。相手に対する「軽視」や「見下し」の怒りにとらわれ、こだわってしまうことになりがちです。

家族や同僚のように、いやおうなく毎日顔を合わせなければならない相手が怒りに囚われていると、どうしても、こちらも影響を受けてしまいます。また「どうしてそんなに怒ってるんだろう?」とイライラしてしまうことにもなりやすい。そういう体験をしたことのある人も少なくないでしょう。

そういう中で、相手に注意する、忠告するというときには、自分の感情を明るく、安定させておくことに気を配っておく必要があります。そうじゃないと、せっかくの忠告が相手を怒らせ、またあなた自身の心をさらに乱すことにもなってしまいます。

こうした「いやおうなく何度も顔を合わさなければならない人」への感情をコントロールしながら関わるということは、心理学的にもなかなかハイレベルな課題といえます。赤の他人や、職場の同僚ぐらいの距離感であれば仲良く日々を過ごすことができている人でも、正月に実家に帰って良心と3日間過ごすだけで、イライラがつのって、ストレスでヘトヘトになってしまうという人も多いはずです。

「身近な人間関係」がもたらすストレスというのは、それだけ強いものなのです。

1 2 3
名越康文
1960年、奈良県生まれ。精神科医。相愛大学、高野山大学、龍谷大学客員教授。 専門は思春期精神医学、精神療法。近畿大学医学部卒業後、大阪府立中宮病院(現:現:大阪精神医療センター)にて、精神科救急病棟の設立、責任者を経て、1999年に同病院を退職。引き続き臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。 著書に『「鬼滅の刃」が教えてくれた 傷ついたまま生きるためのヒント』(宝島社)、『SOLOTIME~ひとりぼっちこそが最強の生存戦略である』(夜間飛行)『【新版】自分を支える心の技法』(小学館新書)『驚く力』(夜間飛行)ほか多数。 「THE BIRDIC BAND」として音楽活動にも精力的に活動中。YouTubeチャンネル「名越康文シークレットトークYouTube分室」も好評。チャンネル登録12万人。https://www.youtube.com/c/nakoshiyasufumiTVsecrettalk 夜間飛行より、通信講座「名越式性格分類ゼミ(通信講座版)」配信中。 名越康文公式サイト「精神科医・名越康文の研究室」 http://nakoshiyasufumi.net/

その他の記事

村上春樹を読む:世界的な評価を受ける作家の共通点(内田樹&平川克美)
AIの呪縛から解き放たれ、なにかに偶然出会う可能性を求めて(高城剛)
「脳内の呪い」を断ち切るには(西條剛央)
日本のものづくりはなぜダサいのか–美意識なき「美しい日本」(高城剛)
手習いとしてのオンライン・エデュケーションのすすめ(高城剛)
夏至にまつわる話(高城剛)
恥ずかしげもなくつまみをめいっぱい回せ! Roland「JC-01」(小寺信良)
録音がそのままテキストに?!「Recoco」はライターの福音となるか(西田宗千佳)
AV女優だからって、特別な生き方じゃない 『名前のない女たち~うそつき女』サトウトシキ監督インタビュー(切通理作)
世界は本当に美しいのだろうか 〜 小林晋平×福岡要対談から(甲野善紀)
ウクライナ問題、そして左派メディアは静かになった(やまもといちろう)
「データサイエンスと個人情報」の危ない関係(やまもといちろう)
今村文昭さんに聞く「査読」をめぐる問題・前編(川端裕人)
冬になるとうつっぽくなる人は今のうちに日光浴を!(若林理砂)
ようこそ、あたらしい体験「サウンドメディテーション」へ(高城剛)
名越康文のメールマガジン
「生きるための対話(dialogue)」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回発行(第1,第3月曜日配信予定)

ページのトップへ