高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

心身や人生の不調対策は自分を知ることから

高城未来研究所【Future Report】Vol.656(1月12日)より

今週も南インドのケララにいます。

引き続きケララにあるアーユルヴェーダ大学病院に宿泊、というか入院しておりまして、日々トリートメントと講義を受けています。

先週お伝えしましたように、人にはドーシャと呼ばれる風、火、水が組み合わさった体質があり、このバランスを整えることで、疾病を未然に防ぎ、また自己免疫力を高めることで病を克服できると考えます。
アーユルヴェーダでは、エネルギーのバランスがとれた健康な状態から、病気が進展し慢性化するまでの過程を7段階に分類しており、1.健康→2.蓄積→3.増悪→4.播種→5.局在化→6.発症→7.慢性化の順番に症状が悪化しますが、現代医学で「病気」として捉えられるのは、6段階目の「発症」以降のことで、それまでに医療機関に出向いても、「問題ない」と追い返されてしまうのが一般的です。

しかし、その前段階にあるすべての人が、けっして健康的だとは言えません。
検査をすれば正常値の範囲内であったとしても、どこか不調を感じていたり、不定愁訴を訴える方が後を断たないのが現状です。
事故でもない限り、病気は前触れもなく突発的に出現するものではありません。
問題が徐々に蓄積し、いつか芽を吹くように表面化するものです。

そこで日頃からドーシャのバランスを整えるため、個々によって異なる食べ物から生き方まで、各人に適したライフスタイルを探らねばなりません。
このアプローチは、いわば5000年前の遺伝子検査とも言うべき概念なのです。

アーユルヴェーダでは、通常3つのドーシャとその組み合わせによって人の体質は7種類に大別していますが、単一のドーシャが優勢であることはほとんどなく、大半の人は複合体質だと言われています。

まず、「風」を表すヴァータ体質の特徴は、機敏で活発かつ気まぐれで、風のように軽やかに行動する力や型にはまらない柔軟さを持ち合わせている人です。
体格はやせ気味で、一旦ヴァータのバランスが崩れると、手足が冷たくなったり、お腹にガスがたまりやすくなったりします。
頭痛や腰痛などの体の痛みも起こり、不眠にも陥りやすくなります。

メンタル面では、ヴァータのバランスがとれているときには活発さが際立ち、新しい物や変化を好み順応性が高く、また早口な人が多く、想像力が豊かで理解力が高く、記憶力にも優れています。
しかし、バランスが崩れると不安感が強くなり、気分が変動します。衝動的になる、集中力が落ちる、緊張しやすくなる、忘れっぽくなるなどで、恐れの気持ちが出やすくなって心配症になってしまいます。
率先して行動することが多いものの、信念が変わりやすくて長続きしなかったり、住所や仕事をすぐに変えたり浪費をしたりする傾向もあります。

次に「火」を表すピッタ体質は、知的で情熱的ですが、ときに怒りっぽくなるのが特徴です。
体は中肉中背で日焼けしやすく、体内に熱のエネルギーを多く持っているため、寒さに強いものの暑さには弱く、汗をかきやすい体質で、下痢をすることも多々あります。
ピッタのバランスが崩れると汗っかきになり、目が充血しやすく、口臭や体臭、若はげ、白髪が目立ちやすい傾向がみられます。

メンタル面では、ピッタのバランスがとれているときは知的で情熱的で、勇敢で機転がきいています。チャレンジ精神が旺盛で、集中力も高く、行動や話に無駄がありません。
ところが、ピッタがバランスを崩すと、短気で怒りっぽい性格になり、見栄や嫉妬が強くなることもあります。
なにかと批判的になったり、完璧主義がいきすぎて敵をつくりやすいという傾向が見られます。

最後にカパ体質は、穏やかで寛大、ときに大雑把です。
カパの心身の特徴は、安定と重さ、滑らかさにあり、大地のようにどっしりと構えた安定感が見られます。
体格はがっしりとしており、体力や持久力に優れていますが、カパのバランスを崩すと、だるさや眠気が起こります。
太りやすくなるのも特徴的です。湿気に弱く、アレルギー性鼻炎や鼻水・鼻づまりに悩まされ、気管支炎や喘息など気管支疾患にかかりやすくなります。

メンタル面では、バランスがとれているときには慈愛深く献身的で、穏やかさと寛大さに溢れ、情にもろく、波風が立たないことを好む傾向があります。
心がゆったりと落ち着いており、辛抱強く着実に物事をやり遂げることができます。
物覚えがよくはないもののいったん覚えると忘れにくく、何事も最後までやり通すタイプです。
また、蓄積する性質を備えていますので、お金などを貯めるのが上手ですが、整理が苦手です。
ただし、カパがアンバランスになると、物事へのこだわりが強くなり、執念深くなります。
思考が鈍くなって大雑把になり、活動する意欲がなくなってしまいます。
愛欲に溺れたり、独善的な面や保守的な面が出てしまうこともあります。

通常、これらみっつのドーシャが組み合わさった複合体質を多くの人は持ちますが、それゆえ、複雑かつアンバランスになりやすくなるものです。
そこで、あわせもったドーシャのうち、優勢になりやすい季節や時間帯、年齢などの法則を知り、食事や生活スタイルを変えることが大切なのです。

よく各体質を表すたとえで、怒りっぽい上司を「火」のピッタだと捉え、それを聞いてすぐに転職を考える部下を「風」のヴァータ、萎縮しながらもどうにか踏ん張る別の部下を「水」のカパの体質だと考えるのですが、実は日本人は「水」体質が多いと言われています。
それゆえ、なかなか社会変化が起きづらく、一方、ヴァータやピッタが優勢の人は、日本社会はどこか窮屈だと感じることでしょう。

アーユルヴェーダに限りませんが、いつもお伝えしておりますように、心身や人生の不調は、まずは自分を知ること=自分の現在地を割り出すことからはじまります。
もし、ご興味あれば、一度アーユルヴェーダ的ご自分の体質を探り出してみてはいかがでしょうか。

ちなみに僕は「ヴァータ・ピッタ」体質です!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.656 1月12日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 大ビジュアルコミュニケーション時代を生き抜く方法
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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