岩崎夏海
@huckleberry2008

岩崎夏海のメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」より

汚部屋の住人が勘違いしている片づけの3つの常識

heya_atama

※この記事は岩崎夏海さんのメルマガ「ハックルベリーに会いに行く」2014年11月7日号に掲載されたものです。

 

部屋を活かせば頭が良くなる?

昨年の11月に「部屋を活かせば人生が変わる」(通称「ヘヤカツ」)が出てから、ちょうど1年になる。そこで紹介したヘヤカツ(部屋活)は予想以上の好評を博し、本日(11月7日)、第2弾として『部屋を活かせば頭が良くなる』『50からの老いない部屋づくり』の2冊が同時に発売される運びとなった。

そこで今日は、「ヘヤカツ」が出てからの1年間に、テレビの取材で何度か「汚部屋」のヘヤカツをしたのだが、そこで知った「汚部屋の住人が勘違いしている片付けの常識」というものをご紹介したい。

 

その1 汚部屋には「背の低い家具」が多い

まず一つ目は、「汚部屋には背の低い家具が多い」ということだ。

まず、ほとんどの汚部屋に座卓がある。そして座椅子や、座椅子タイプのソファーがある。さらに、寝る場所も布団やマットを床に敷いている。足つきのベッドでは寝ていない。

そういう背の低い家具に囲まれていると、部屋が広く見えてオシャレである――というのは、多くのインテリア本や雑誌に書いてある。だから、それを見習ってそうしている人が多いと思うのだが、しかしそのやり方は、部屋をとても汚しやすいのだ。

なぜかというと、例えば座卓に座っていると、床が「物置」と化していくのである。なぜなら、手を伸ばして丁度いい場所に床があるため、そこを物置にすることが合理的で便利だからだ。

しかしながら、そういうふうに床に物が置いてあると、そこの住人は知らず知らずのうちに「ここには物を置いてもいい」と認識するようになり、やがて床全てを埋め尽くすように物を置くようになるのである。

「割れ窓理論」というものがあって、人は、窓が割れている建物を見ると、知らず知らずのうちに「ここは汚してもいい」と思うようになり、より一層汚したりする。それと一緒で、床も、物が置いてあると「ここは汚してもいいんだ」と思うようになり、どんどんと汚すようになるのだ。

そういう悪循環を断ち切るために、座卓は足つきのテーブルに、敷き布団やマットも足つきのベッドに変えた方がいい。そうして床から離れて生活することで、汚部屋の進行を食い止めることができるのだ。

 

その2 汚部屋には「収納」が多い

続いて二つ目は、「汚部屋の住人は収納が多い」ということである。特に、箪笥やドレッサーなど、部屋に置くタイプの収納が異様に多い。

収納が多いと部屋が片付きそうに思えるのだが、実はそれは大きな誤りだ。汚部屋の住人というのは、収納に物を入れるとなんとなく片付いた気持ちになって安心し、以降、その収納物を見直そうとしないのである。そのため、やがて収納が足りなくなるのだが、するとまた新しい収納を買ってきて、それに物を放り込んで安心するという悪循環をくり返すのだ。

そうして、やがて部屋に収まりきらないくらい箪笥やドレッサーが増える。あるいは、部屋を棚が埋め尽くすような状況となってしまう。

そういうふうに収納は、人に物を捨てさせなくさせる強烈な副作用がある。だから、一定以上の数はむしろ持っていると害悪となるのだ。

そのため、汚部屋から抜け出す第一歩は、物ではなく、まずは「収納」を捨てることから始める必要がある。そうして、部屋の大きさに適した数に戻した上で、整理する。そうしないと、いつまで経っても物が捨てられず、従って汚部屋からも抜け出せなくなるのだ。

 

その3 汚部屋の住人は「機能的」で「合理的」

最後が、汚部屋の住人は「機能的」で「合理的」だということだ。どういうことかというと、少ない移動距離でいろんなことができるのである。

例えば、汚部屋の住人はこたつに座ったまま、テレビも見られればゲームもできる。ノートパソコンやケータイの充電器も近くにあるし、果ては湯沸かし器や冷蔵庫まであったりする。最後は、そのまま寝っ転がればそこがベッドにもなる。

そういうふうに、一つところで動かずに、そこで何でも事が済む。つまり、その部屋は機能的で、しかも合理的なのだ。

しかし、そういう機能的で合理的な部屋こそ、汚部屋と化す。なぜなら、部屋のその一角「以外」が活かされず、どんどんと腐っていくからだ。

それは、たとえるならレギュラー選手が固定化したスポーツチームのようなものだろう。試合に出る選手はいつも決まっていて、そこに競争はない。

すると、控えの選手は腐ってしまって、練習に身が入らなくなる。たまに試合に出ても、使い物にならなくなるのだ。

部屋もそれと一緒で、ある一ヶ所が快適だと、それ以外の場所がどんどんと「不快」になっていく。使いづらく、汚くなっていくのである。

そういう機能的な部屋は、たいてい部屋の四隅が汚れている。なぜかというと、部屋の四隅に行かないからだ。それで、どんどんと腐ってしまうのである。

 

そのため、汚部屋から抜け出すためには、部屋を機能的、合理的とは逆の、「非機能的」「非合理的」にさせる必要がある。例えば、必要なものを四隅に分配したりするのである。

すると、必然的に部屋の中を動き回らなければならなくなり、その分移動距離や時間がかかるのだが、しかしそれに伴って、部屋全体がきれいになる。腐った場所がなくなり、至る所が活かされるようになるからだ。

そういうふうに、汚部屋の住人は間違った常識に縛られ、自分でも気づかないうちに汚部屋となってしまっているケースがほとんどだった。

その悪循環を断ち切るためには、上記の方法を実践したり、あるいは今度新しく出る「部屋を活かせば頭が良くなる」や「50からの老いない部屋づくり」を見ていただければと思う。

 

【ヘヤカツ新刊続々登場!】

heya_atama部屋を活かせば頭が良くなる

夜間飛行、2014年11月

人の才能に大差なし。
脳力は環境が育てます!

いくらモノを捨てて掃除をしても、すぐに散らかり元通り…そんな自分に嫌気がさしている人は多いのではないでしょうか。努力なしできれいな部屋をキープできる画期的な方法「ヘヤカツ」なら、部屋がきれいになるだけでなく、あなたの記憶力、発想力、プレゼン力もアップします!

前著『部屋を活かせば人生が変わる』から、さらに人の「脳力アップ」に焦点をあてたヘヤカツ本第二弾、ここに登場!
heya_kadokawa50からの 老いない部屋づくり

KADOKAWA/メディアファクトリー、2014年11月

50代向けヘヤカツ本登場!

自分の人生の棚卸しをしたい方、実家の片づけで困っている方のために。まずは「部屋」から見直してみませんか?

 

 

413ISPOvcgL._SL500_AA300_『部屋を活かせば人生が変わる』

夜間飛行、2014年11月

部屋を考える会 著

あなたのやる気の99%は、部屋の「流れ」が決めている!!

あなたではなく、部屋が変われば、あなたの意思は自然に強くなり、眠っていた能力が引き出されます。

amazonで購入する

岩崎夏海
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。

その他の記事

粉ミルク規制問題から見えた「中国vs香港」の図式(ふるまいよしこ)
「レゴとは、現実よりもリアルなブロックである」(宇野常寛)
飲食業はその国の社会の縮図(高城剛)
本当の才能は「何かに没頭した時間」が育ててくれる(名越康文)
【号外】安倍官邸『緊急事態宣言』経済と医療を巡る争い(やまもといちろう)
「代替」ではなく「補完」することで「統合」する医療の時代(高城剛)
コロナで変わる観光客とビジネス客の流れ(高城剛)
週刊金融日記 第285号<暗号通貨トレーディング失敗記録もぜんぶメルマガ読者にお見せします、株式市場は日米の政策期待に期待他>(藤沢数希)
私の武術探究史の中でも記憶に残る技法ーーDVD『甲野善紀 技と術理2016―飇拳との出会い』(甲野善紀)
泣き止まない赤ん坊に疲れ果てているあなたへ(若林理砂)
話題のスマホ「NuAns NEO」の完成度をチェック(西田宗千佳)
「まだ統一教会で消耗しているの?」とは揶揄できない現実的な各種事情(やまもといちろう)
トレーニングとしてのウォーキング(高城剛)
夏の終わりに不老不死の可能性を考える(高城剛)
人間は「道具を使う霊長類」(甲野善紀)
岩崎夏海のメールマガジン
「ハックルベリーに会いに行く」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 基本的に平日毎日

ページのトップへ