紀里谷和明
@kazuaki_kiriya

紀里谷和明のメールマガジン「PASSENGER」より

俺たちにとって重要なニュースって、なんなんでしょうね

※この記事は紀里谷和明のメールマガジン「PASSENGER」vol.025(2014年8月22日発行)からの抜粋です。

 

沖縄知事選、衆議院の解散。政治では大きなニュースが飛び交っているけど、正直なところ、俺には何が起こってるのか、まったくわかりません。

熱心に語ってるマスコミの人たちも、「小難しいことを言っているけど、何が起こってるのか本当にわかってるのかな」と思ってしまうんですよ。「わかっているふりをしているけど、本当は誰ひとりわかってないんじゃないか」と。

消費税を上げたらこうなる、下げたらこうなる、延期したらこうなるとか、そういう解説はたくさんあるんだけど、俺からすると、それは枝葉の話で。「そもそも、なんで上げなければいけないのか、その前に無駄使いはしていないのか」という話にさかのぼらないといけないと思うんだけど、そこの議論はすっとばされる。何が本質の議論なのかわからないまま、枝葉の議論がずっと続いているように見えてしまうんです。

皮肉なことに、俺が重要だと思うことは社会では重要とされていなくて、社会が重要だと思うものが俺には重要だと思えない。

日々の給料のため、ご飯を食べるために船を漕いでいる人がいっぱいいる。

でも、何を追いかけているのか、何を目指してるのかわからない。それが氷山に衝突しようが、滝に落っこちようが、わからないけど、とりあえず漕ぐ。でも、「一体その先に何があるんだろう」と、やっぱり思ってしまいます。

テレビでニュースが流れていても「一体、何やってんだろうな」という感じ。関係性が持てないというか。もう、引きこもりの気持ちに近い。彼らの気持ちも、わかるんですよ。要は「やってらんねーよ」ということですよね。そういう人たちって、いつの時代も、どこの国にも結構いたんじゃないでしょうか。たとえば、中世ヨーロッパではキリスト教を守るという名のもとに、魔女狩りや天動説の弾圧をやったわけでしょう。そういうのを見て「こんなバカな世界、やってらんねーよ」と思っていた人たちは、じつはたくさんいたと思う。でも、全体からすると少数派なんでしょうね。

マスコミを見ていて思うのは、重大な政治ニュースがあっても、そこに台風が来たりすると、あっという間になかったことになる。原発問題も、選挙も政治も、結局「AKBのセンターの子が変わった」みたいなニュースとなんら変わりはなくて、しばらくすれば「ああ、そんなこともあったよね」で終わってしまう。重要なことなんて、じつは何ひとつないんじゃないかと思ってしまう。

俺たちにとって重要なニュースって、なんなんでしょうね。

少なくとも、テレビやネットにたくさん流れている中には、ほとんどないんじゃないかと思います。

(参考)

安倍首相、21日の衆院解散表明 消費増税は先送り
http://www.asahi.com/articles/ASGCL5TPMGCLUTFK00W.html

解散総選挙、「過半維持なら続投」の落とし穴
http://toyokeizai.net/articles/-/53799

 

 

紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER」

362014年11月21日発行vol.025目次

1.最近のキリヤ
2.自分の人生の“終わり”はハッピーに迎えたい
3.『ラスト・ナイツ』 ができるまで
4.今週のおすすめ映画
5.Q&A
6.お蔵出しフォト
7.メディア掲載・作品など

 

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紀里谷和明
映画監督・写真家紀里谷和明。生まれ育った熊本から15歳で単身渡米、全米屈指のアートスクールで建築・デザイン・音楽・絵画・写真などを学ぶ。世界中を旅しながら、PVやCMなど表現の場を広げ、2016年には初のハリウッド長編映画を公開予定。 紀里谷和明公式サイト:Kiriya.com/クリエーターSNSサイト:freeworld.tv

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