高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

「脳ログ」で見えてきたフィットネスとメディカルの交差点

高城未来研究所【Future Report】Vol.283(2016年11月18日発行)より


今週は東京にいます。

好天が続くこの時期は、毎年絶好のトレーニングのタイミングです。

今年は、例年通りのウェイト・トレーニングやジョギングのほか、ヨガ、ピラティス、パワーウォーキングなど組み合わせながら、ゆっくりと追い込んでいます。

また、この時期には毎年あたらしい身体への試みを行っていまして、今年は脳波チェックをはじめました。
ヨガの前後や瞑想時に、自分の脳波がどのように変化しているのかログを取り、日々己を客観的に見ることを続けています。
これもEGGと呼ばれる脳波を調べるディバイスが、近年高性能で安価、そして軽量になったことで、誰でも日常的に「脳ログ」を取ることが可能になった「五年前とは別世界」ならではの試みだと思います。

例えば、いままで5キロジョギングすれば、その時間や速度、そして消費カロリーは、どこでも同じ値として考えられてきました。
しかし、同じ5キロのジョギングでも、晴れた日中の公園と深夜の街中を走るのでは、なにかが違うのは間違いありません。
そこで、役立つのが「脳ログ」です。
まだ、専門チームと分析中なので明確な回答は出ていないのですが、なにより、この人体実験をする上で、新宿は最適な街だと思います。

日中の新宿御苑から深夜の歌舞伎町、雨の日の地下街や週末の二丁目など、新宿には実に多彩な顔があります。
清々しい秋の好天下でのランと、24時の歌舞伎町のランでは、脳波は明らかに違います。
朝の柔かい陽射しと紅葉のなかのランは、時折瞑想に近い状態になるのに対し、ホストの煌びやかな看板の下で罵声が飛び交い、泥酔客と客引きをかき分ける、零時過ぎの都会のジャングルランは、常に興奮状態にあります。

現代のスポーツ科学では、このふたつの5キロのランが身体に及ぼす効果はほぼ同じだと言われていますが、僕には到底同じだと思えません。
確かに消費カロリーや心拍数だけみれば、たいした違いはないのかもしれません。
しかし、ランナーズハイとまでいかなくとも、体を動かすことによって得られる心地よさは、心に大きな影響を与えます。
ですが、この心の定点観測ともいうべきものが、これだけ活況なフィットネス市場でも、ほぼ数値が見当たらないのが現実です。
考え方によっては、この十年大きなムーブメントになり、大きく成熟したランニングやヨガ市場は、やっと、次の時代の入り口に立ったとも言えます。

まるで、自動車の運転席に座って、スピードメーターや燃料メーターを見るように、自分のボディとマインドの現在の状態を客観視でき、その上、心身ともにチューニングしてスピードアップすることが可能な時代。

いま、フィットネスとメディカルの交差点にやっと立ったと、深夜の歌舞伎町を走りながら考える秋の夜長です。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.283 2016年11月18日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

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高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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