やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

本当に大切な仕事は一人にならなければできない

「あなたにしかできない仕事」は、一人にならなければできない

ひとつは、優先順位を決めて、自分ですぐやるべき仕事は何なのかはっきり固めておくこと。そして、集中できる環境を自分なりに構築することです。

前者は良くある仕事術本でよく出てくるので本稿では割愛しますが、後者の集中できる環境づくりは意外と皆さん関心なさそうです。会社で働いて、いろんなコミュニケーションを取りながら昼間の時間を過ごされるケースが多いからかと思うのですが、実際のところ、本当に価値のある「その人しか出来ない仕事」というのは一人でやるべきものです。つまり、電話を取ったり打ち合わせしたりというのは、仕事ではなく誰かに代替の利く作業に過ぎないんだと思います。

本当に貴殿なりの仕事をしたければ、誰とも話をせず、ネットにも繋がらず、自分の頭の中に蓄えられた問題意識や情報や哲学といった貴殿だけのものを集中してアウトプットすることしか方法がないのです。そのためには、心を穏やかにし、そのこと以外に何の感情が湧かないようにしないと品質の高い仕事をすることはできません。

心を切り替える儀式

集中力を高めて仕事に向かうには、心の切り替えというか、集中のサイン、儀式、スイッチを入れるというようなセットが必要になると思います。

私は速読を昔からやるのですが、がやがやしていて集中できない環境だと人並みぐらいの速さでしか目を通すことが出来ないのを知っています。ヘッドフォンをし、姿勢と呼吸を正して集中のスイッチが入って初めて、視界が狭くなり自分の世界に入って素早く本を読むことが出来る。同じように、相場を見ていたり、価値のある仕事に取り組んだりするときの集中をするには、充実感の裏づけのあるマインドセットと環境づくりが必要なんだと思います。

私の場合、集中するときの儀式は、目を閉じて、残像を追って、絞り込むように視点を集めてから息を吐いて、ディスプレイなり紙なりにフォーカスするようにしています。そして、昔もいまも、一度入った集中力が持続するのは2時間半ほどです。そのあいだに、その時間割の中でなすべきことを一気に上からこなしていくスタイルでずっとやってきました。たぶん、これからもそういう仕事の仕方をすると思います。

1 2 3
やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

その他の記事

古代から続くと言われるハロウィンの起源から人類の行く末を考える(高城剛)
今週の動画「顔面へのジャブへの対応」(甲野善紀)
「わからない」という断念から新しい生き方を生み出していく(甲野善紀)
映画『ミリキタニの猫』と『ミリキタニの記憶』を観て(ロバート・ハリス)
2020年の超私的なベストアルバム・ベストブック・ベストデジタル関連アクセサリー(高城剛)
レシート買い取りサービスONEと提携したDMMオートの思惑(本田雅一)
リベラルの自家撞着と立憲民主党の相克(やまもといちろう)
人生における「老後」には意味があるのでしょうか?(石田衣良)
トレーニングとしてのウォーキング(高城剛)
「たぶん起きない」けど「万が一がある」ときにどう備えるか(やまもといちろう)
年末年始、若い人の年上への関わり方の変化で興味深いこと(やまもといちろう)
「テレビに出ている若手ロシア専門家」が古典派ロシア研究者にDISられる件(やまもといちろう)
なぜ、僕らは「当然起こるバッドエンド」を予測できないのか?(岩崎夏海)
桜の花が散るように都市の形は常に変化し続ける(高城剛)
手習いとしてのオンライン・エデュケーションのすすめ(高城剛)
やまもといちろうのメールマガジン
「人間迷路」

[料金(税込)] 770円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回前後+号外

ページのトップへ