城繁幸
@joshigeyuki

メルマガ『サラリーマン・キャリアナビ』より

ワタミ的企業との付き合い方

過重労働企業は日本中にゴロゴロしている

女性従業員の過労自殺問題によって、大手居酒屋チェーン・ワタミの労働環境に注目が集まっている。月100時間超残業の常態化や、15時間ほぼ連続労働など、かなり過酷な環境と言わざるを得ない。こうなると、メディアに出たがりなトップに批判が集中するのも仕方ないだろう。教育に口を出す暇があったら社内の労務管理くらいきっちりやれということだ。

ただ、この手の過重労働企業はワタミの専売特許ではなく、業種問わず日本中にゴロゴロしている。たとえば2008、2009年と2年連続で「社長が選ぶNo1経営者」にトップが選ばれ、学生の就職人気でも上位に位置するファーストリティリング(以下ユニクロ)が典型だ。

最近「POSSE vol14」の特集でも取り上げられ話題となっているが、日に14時間を越える拘束に加え、各種試験、休日出勤対応による過酷な労働環境は、ワタミと遜色ないレベルだろう。採用段階でかなり人材を絞り込んでいるにもかかわらず、2年で半数が離職するという状況は、ワタミ以上という気もする。※

フォローしておくが、ワタミやユニクロのような企業は、けして悪い会社ではないということだ。上手く付き合えば、そこでしか得られない貴重な経験がキャリアとしてつめる場にもなりうる。また、今後の国内市場縮小が確実で、かつ労働条件の柔軟な切り下げが認められていない日本においては、今後もこういった問題は増え続けるだろう。そこで、今回は、あえてこの種の「ワタミ的企業」との付き合い方を考えてみたい。

1 2 3 4
城繁幸
人事コンサルティング「Joe's Labo」代表取締役。1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通入社。2004年独立。人事制度、採用等の各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各種メディアで発信中。代表作『若者はなぜ3年で辞めるのか?』『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか-アウトサイダーの時代』『7割は課長にさえなれません 終身雇用の幻想』等。

その他の記事

週刊金融日記 第310号【教育工学も基本は恋愛工学と同じ、米中貿易戦争勃発、目黒駅の安くて美味しい立ち飲みビストロ他】(藤沢数希)
「分からなさ」が与えてくれる力(北川貴英)
働かないのか? 働けないのか? 城繁幸×西田亮介特別対談(後編)(城繁幸)
すべてをデジタル、すべてをオンライン。成功と失敗と挑戦(本田雅一)
自己セラピーダイエットのすすめ:酒好き、食いしん坊のスーパーメタボなアラフィフでも健康と若さを取り戻せた理由(本田雅一)
アジアの安全保障で、いま以上に日本の立場を明確にし、コミットし、宣伝しなければならなくなりました(やまもといちろう)
年末企画:2019年度の「私的なベストガジェット」(高城剛)
「小池百合子の野望」と都民ファーストの会国政進出の(まあまあ)衝撃(やまもといちろう)
日本でも騒がれるNPOとマネーロンダリングの話(やまもといちろう)
ポスト・パンデミックのキューバはどこに向かうのか(高城剛)
クリエイターとして成功したければ本を捨てろ(岩崎夏海)
このイカが意外に便利、スマホ三脚「SQUIDDY」(小寺信良)
『マッドマックス 怒りのデスロード』監督ジョージ・ミラーのもとで働いた時のこと(ロバート・ハリス)
イビサで夕日のインフレを考える(高城剛)
ソニー復活の秘密(本田雅一)
城繁幸のメールマガジン
「『サラリーマン・キャリアナビ』★出世と喧嘩の正しい作法」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回配信(第2第4金曜日配信予定)

ページのトップへ