やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

人は生の瀬戸際までコミュニケーション能力が問われるのだということを心に刻む

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.123<中国のテロ対策法案が完全なる情報スパイの道だという話と、地方創生の議論が実にアレな話を混ぜてお送りする回>2015年3月25日発行より

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メルマガの発行が少し間が開いてしまい恐縮なのですが、かねてから非常に近しい身内が膵臓がんに罹り、家族総出で看病し闘病生活を支えております。当人は非常にまじめで気丈な人間でありますので、私としても何かをしたい、助けになりたいという気持ちでいっぱいでありまして、いろんなものをかなぐり捨ててでもできることはないか探しておりました。

このへんの闘病の話を一般化、普遍化して「難病と戦う家族とは」などと説くつもりは毛頭ありません。同じような環境におかれた多くの患者さんやそのご家族とお話しする機会も多くある中で人が人生を全うすることとは何なのか、生に対する執着と未練、それでも死を直面するときに見せる人の本当の姿といったものを多数身近に見る中で、人間には必ず訪れるであろう死の迎え方というのは心に迫るものがあります。

例えば、同じブランド病院のそれなりの値段の個室に入っていても、末期の病床にあって最高の医療を受けつつ孤独に悩む独身富豪の姿であったり、入れ替わり立ち代わり親族が見舞いに来て病院の廊下で泊り込みの看病をするための布団を個室に搬入する家族会議だったり、その人の死の迎え方はその人の人生の有り様そのものが具現しているようにも思うわけです。

じゃあ仮に自分がまた倒れて、長期の入院をしてしまったときにどういうケアがなされるのだろうかとか、心の安定や拠り所をどこに求めるべきなのかといった自問自答になってしまうのでありますが、独身高齢者の問題と切り捨てるにはそこにある苦悩が深すぎてちょっと正視できないなと感じる次第であります。

私なども、子供を連れて毎日見舞いしたり、身の回りのお手伝いをしておりますと、おぼろげながら長期入院の横の連帯みたいなものを感じるんですよね。人は生の瀬戸際までコミュニケーション能力が問われるのだ、ということを心に刻むこととなりました。

蛇足ながら、非常に苦労している患者さんとご家族のお話を聞く機会があり、「がんの保存療法」なるどうしようもない治療法を試みて治るものも治らなかったという慟哭を目にして悲しい思いをしました。もし周囲に「がんは切らずに治す」とか「現在のがん治療は不要」などと仰っておられる人たちがいらっしゃいましたら、そんなことはないんだよと教えてあげていただければと思っております。

こういう動きも立ち上がっているようです。

腫瘍内科医 勝俣範之のブログ
@Katsumata_Nori
https://twitter.com/Katsumata_Nori/status/577394078024900608
http://nkatsuma.blog.fc2.com/blog-entry-812.html

 

【お知らせ】私の情報グループ『漆黒と灯火』が第2期を募集開始しました

かねてから新規ご参加の相談をいただいていた私のサロン気味な情報グループ『漆黒と灯火』で、第2期のメンバー募集を開始しまして。

経営情報グループ『漆黒と灯火』
https://yakan-hiko.com/meeting/yamamoto.html

15名限定募集のところがあんまり告知をしないうちに10名埋まってしまったとのことで、告知が遅れてしまいすみません…。ご関心のある方はぜひご参加賜れますと幸いです。

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」Vol.123<中国のテロ対策法案が完全なる情報スパイの道だという話と、地方創生の議論が実にアレな話を混ぜてお送りする回

2015年3月25日発行
目次
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【0. 序文】前口上
【1. インシデント1】中国が海外企業に対してソースコード提供・監視用バック
ドア設置・暗号キー引き渡しなどを求めるテロ対策法案を検討中という話
【2. インシデント2】地方創生と増田寛也先生がらみの微妙な話
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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