※名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」 Vol.101(2015年6月1日)より
「論理的に正しい言葉」は、人を勢いづかせることはあっても、決して心の奥底に届く波紋にはなりえません。論理に依存した虚勢は、攻撃する対象を失えばそれでおしまいです。
依存とは、自分以外の誰かの攻撃性に乗っかることです。無意識の依存から解き放たれ、これまでの自分の数倍の力を活用すること。それだけが、未来を開くカギなのです。
まずは毎日、自分を十分に応援してください。誰かの手助けや肩入れは、その余力でやればよいのです。
自分を応援するコツはひとつだけ。心に浪費されるエネルギーを半減させること。人の心が成長しないかぎり、社会革命のほとんどは失敗する運命にありますが、自分の心の中の革命は、心と自分とを切り離すたびに、起こすことができるのです。
人間は絶えず、無意識のうちに事実誤認をし、しかもそれに対して知ったかぶりを決め込んで生きています。そのことを繰り返し認めましょう。それが分かった上で、目の前の出来事に対して、落ち着いて頭と手を動かしましょう。いかにも他の誰かが言いそうな尻軽な正しい言葉を口にしそうになったときには、一度、言葉を飲み込み、心と自分とを切り離すことに務めましょう。
それは本来の意味での「祈り」と言い換えてもいいでしょう。往々にして、私たちは過去や未来に向けて祈ろうとします。しかし、少なくとも心理学的な意味での「祈り」の王道は、「今」を祈りの集注で満たすことなのです。
別の言い方をすれば、祈りとは、自分自身をしっかりと背負いつつ、その瞬間に、自分の中身をそっくり入れ替えてしまうことなのです。
名越康文メールマガジン「生きるための対話(dialogue)」
2015年6月1日 Vol.101
目次
00【イントロダクション】依存から祈りへ
01【近況】住民投票とドローン少年に見る前思春期性問題について
02カウンセリングルーム
[Q1]「明るい怒り」なんてあるんでしょうか?
[Q2]空気が読めてない自分を何とかしたい
03精神科医の備忘録 Key of Life
・具体的な対象から学ぶ
04読むこころカフェ(33)
・人は心の奥底では無限に成長したいと願っている
05講座情報・メディア出演予定
【引用・転載規定】
※購読開始から1か月無料! まずはお試しから。
※kindle、epub版同時配信対応!
名越康文メルマガ「生きるための対話」のご購読はこちらから
その他の記事
フェイクと本物の自然を足早に行き来する(高城剛) | |
中国人にとって、「村上春樹」は日本人ではない!?(中島恵) | |
『「赤毛のアン」で英語づけ』(1) つらい現実を超える〝想像〟の力(茂木健一郎) | |
『無伴奏』矢崎仁司監督インタビュー(切通理作) | |
冬の間に眠っていた体内の問題が目を覚ます季節(高城剛) | |
連合前会長神津里季生さんとの対談を終え参院選を目前に控えて(やまもといちろう) | |
「生涯未婚」の風潮は変わるか? 20代の行動変化を読む(やまもといちろう) | |
山口組分裂を人事制度的に考察する(城繁幸) | |
「支持政党なし」の急増が示す政治不信の本質(やまもといちろう) | |
今だからこそすすめたい「カンヅメ」暮らし(高城剛) | |
長崎県の政界汚職でハンターさんが巻き込まれた件(やまもといちろう) | |
映画『ミリキタニの猫』と『ミリキタニの記憶』を観て(ロバート・ハリス) | |
「甘い誘惑」が多い街、東京(高城剛) | |
古都には似つかわしくない最先端の「現代日本語」講座(高城剛) | |
地域住民の生活が奪われるオーバーツーリズム問題(高城剛) |