数学の公式が覚えられず、毎回計算をしていた
家入:さっきの話に戻りますけど、今のっているとか運がいいとか、もう考えたってわからないし、むしろそれはノイズになるし、将来を不安視してもしょうがない。みたいな話がご著書に書かれていて、「諸行無常」という言葉が浮かびました。
木原:自分は、そういう考えはすごく持っていますね。
家入:プロのポーカープレーヤーって、突き詰めると哲学者というか、諸行無常感がすごい。その場その場でツイていたりツイていなかったり、勝ったり負けたりしていくなかで、人ってどうしてもその後のプレイに影響が出るような、感情の乱れが起きてしまうもの。大きく負けて怒ったりして。そういうことから一切独立して、感情に影響を受けないような形で、ただ淡々とプレーを重ねていくスタンスというか。
木原:それができるのが理想です。人間、なんだかんだ感情に影響を受けてしまうものだけど、それができるにこしたことはない。
家入:ポーカーをし始めた頃と、感情の揺れはだいぶ変わりました?
木原:昔からそんなに感情の揺れはないんです。でも、今でも大きい金額で負けると、それは凹みますよ。ブチキレるようなことは、昔から全くないですけど、さすがに凹みます。ただ、昔と今だと、「大きい金額」の定義が変わってきた。昔は10万円で凹んでいたけど、今は全然、なんとも思わなくなった。
家入:すごいですよね、本当(笑)。キャッシュでやるときのポット(賭け金)とか想像できないです。
木原:今年のキャッシュゲームで負けた最大のポットは100/200PLO(ポットリミットオマハ)での46000ドルポットですね
※ポットリミットオマハ:ポーカーのゲームの種類。
家入:日本だと?
木原:約550万円。
家入:・・・しかも一回のゲームで、ですよね?
木原:1ハンド(手札)ですね。270万円ずつ。しかも勝率が65%だったんですよ。
家入:金額の大きさで気持ちが揺れたりとかは?
木原:それなりに揺れますよ(笑)。しょうがないです。凹むけど、だからといってそれを引きずってプレーしてはいけないし、取り返そうと思っちゃいけない。
家入:取り返そうと思うと、プレイに影響が?
木原:自分のプレイに影響が出ていると思ったらやめた方がいい。その日は休憩するとか。別に影響してないなら、続行していい。
家入:客観的に自分を見る?
木原:客観的に自分を見るのは得意です。
家入:それも昔から?
木原:実は昔のことはあまり覚えていないんですよ。記憶力がものすごく悪くて。
家入:著書にもそう書いてあった(笑)。
木原:物事を覚えられないんです。数学の公式とかも覚えられなくて、その場で毎回導くんですよ。中学校の教科書に三平方の定理とか、解の公式とかあったじゃないですか。あれも、もともとの式から計算していって、最終的に公式というものを作る。
導き方自体はそんなに難しくありません。覚えるのではなく、理解するだけなので、簡単なんですね。でも、二次方程式とか、式の形自体が、10回とかのレベルじゃなくて何度やっても覚えられなくて、テストのたびに最初に導いてました。
家入:そっからやるんだ。時間間に合うんですか?
木原:時間は全然間に合います。処理速度は毎回計算しているので、早くなるじゃないですか。三角関数の公式とかも、何度も何度も導いて。
家入:ポーカーも、プレーしながらそういう風に計算してるんですか?
木原:まぁそうですね。何回も見直したりとか。数をこなすなかでなんとなく感覚もついてきて、「これって何%くらいかな」とわかるようになる。基本的に覚えられないので、数をこなすことが自分の元にあります。
<この後、話題は木原さんの生活習慣、ポーカーにおける「よいプレーヤー」とは何か? と展開します。続きは、家入一真メールマガジン「家入学級」Vol.45(2015年9月1日発行)をご覧ください!>
家入一真メールマガジン「家入学級」
Vol.45(2015年9月1日発行)目次
1時間目:今日の授業「自分の会社なのに行きづらい/僕のポーカースタイル」
2時間目:【Q&A】彼氏の浮気を問いつめられない
3時間目:【対談】ポーカープロ 木原直哉さん 〜前編〜
4時間目:メディア情報・活動予定/学級日誌/次号予告