紀里谷和明
@kazuaki_kiriya

紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER」より

「GOEMON」クランクインに至るまでの話

紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER」vol.065より

a0027_000055_m

Wikipediaには載っていない、紀里谷和明の本当のhistory。ここでは本人自らそのルーツを語ってもらい、今という時間にどう繋がってきたのか? これは紀里谷の生い立ちを通し、過去・現在、そして未来を灯す、ひとつのストーリーである。

<Previously on History:K>

アメリカでは早速、色々なプロデューサーたちとミーティングが組まれたのですが、ハリウッドでもトップクラスのそうそうたる方々でした。そのなかで様々なオファーがあり、3本の映画契約をして進めることに。ただ、ハリウッドは契約をしたから、すぐに映画が撮れるっていうことじゃないんです。

ハリウッドがどういう仕組みになっているのかというと、まず大量の脚本からスタジオ(映画会社)が選んで、映画化に向けて企画をするわけです。その企画段階の作品がいくつかあり、映画監督にオファーをしていく。オファーするのは、もちろんトップの監督から。例えば、最初にスピルバーグやリドリー・スコットにいき、それで断られた脚本が下の監督たちにおこぼれとしてくるわけです。俺はその当時、1番下の監督。なかなかいい脚本に巡り会えない。でも、そのなかに3つ良いのがあって、「これをやらせてください」と、監督契約をしたわけです。

その契約をした次になにが待っているのかというと、グリーンライトっていう、実際にGOサインが出るまでがあるわけです。脚本を直して、スタジオ側が「これはいける」と思わない限り、いわゆる青信号が点灯しない。何度も脚本家と手直しをするんですが、なかなか上手くいかず、その状態が2~3年続いていました。

そうこうしてるうちに、アメリカの景気がどんどん悪くなって、のちにリーマン・ショックが起こるのですが、大不況に陥るわけです。その影響で担当していたプロデューサーがいなくなったり、配属先が変わったりして、一気に全てがなくなってしまった。その前から「何年もこんなことをやっていたらヤバイ!」と思っていたんですが、それを機にもう1度、日本で映画を撮るしかないと思って帰国することにしたのです。




そのときにあった企画が「GOEMON」です。実はもともとハリウッドで撮るために開発していた脚本でした。その脚本を日本版に作り直して、日本で撮ろうと思ったのです。その話に乗ってくれたのがワーナー・ブラザーズで、自分もプロデューサーとして入り、「GOEMON」の制作がスタートしました。とはいえ、プロデュースするのは初めてなので、キャスティングとかもよく分かってないわけです。例えば、「この人いいな」と思ったら、所属事務所に直接電話しちゃうみたいな感じで(笑)。さらに出資も集めないといけないから、色んなところに話を持っていって。結果的にもう1人プロデューサーが入ったんですが、もう本当に大変でしたね。そう右往左往しながら、なんとかクランクインまでこぎつくことができたのです。

(……この続きは紀里谷和明メールマガジン『PASSENGER』2015年8月28日発行vol.065をご購入ください)

 

紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER

36

※購読開始から1か月無料! まずはお試しから。
※kindle、epub版同時配信対応!

映画監督紀里谷和明によって立ち上げられた会員制クリエイティブメディア『PASSENGER』。PASSENGERと連動して配信されるメルマガでは、映像、クリエイティブ業界のビジネストレンドや紀里谷和明の素顔、本質に迫るトークなど、盛り沢山のコンテンツをお届けします。

紀里谷和明メルマガ「PASSENGER」のご購読はこちらから

紀里谷和明
映画監督・写真家紀里谷和明。生まれ育った熊本から15歳で単身渡米、全米屈指のアートスクールで建築・デザイン・音楽・絵画・写真などを学ぶ。世界中を旅しながら、PVやCMなど表現の場を広げ、2016年には初のハリウッド長編映画を公開予定。 紀里谷和明公式サイト:Kiriya.com/クリエーターSNSサイト:freeworld.tv

その他の記事

百貨店、アパレル、航空会社… コロナで死ぬ業種をどこまでゾンビ化させるべきか(やまもといちろう)
ヒットの秘訣は「時代の変化」を読み解く力(岩崎夏海)
週刊金融日記 第275号 <いまさら人に聞けないビットコインとブロックチェーン・テクノロジー他>(藤沢数希)
ブロッキング議論の本戦が始まりそうなので、簡単に概略と推移を予想する(やまもといちろう)
かつて都市の隆盛を象徴した駅や空港の「行列」「混雑」は古くさい20世紀の思い出に過ぎない(高城剛)
山岡鉄舟との出会い(甲野善紀)
片思いの恋愛感情、相手に伝えるべき?(家入一真)
なかなか技あり、行列を緩和する「イベントアプリ」(西田宗千佳)
波照間島への旅のコツ(高城剛)
死をどのように受け止めるか(甲野善紀)
川端裕人×松本朱実さん 「動物園教育」をめぐる対談 第2回(川端裕人)
スウェーデンがキャッシュレス社会を実現した大前提としてのプライバシーレス社会(高城剛)
戸田真琴の青春を黒い雨で染める~『コクウ』(『ほくろの女は夜濡れる』)監督榊英雄&主演戸田真琴ロング座談会(切通理作)
「すぐやる自分」になるために必要なこと(名越康文)
お盆とスターウォーズ(高城剛)
紀里谷和明のメールマガジン
「PASSENGER」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回(金曜日配信予定)

ページのトップへ