紀里谷和明メールマガジン「PASSENGER」vol.065より
Wikipediaには載っていない、紀里谷和明の本当のhistory。ここでは本人自らそのルーツを語ってもらい、今という時間にどう繋がってきたのか? これは紀里谷の生い立ちを通し、過去・現在、そして未来を灯す、ひとつのストーリーである。
<Previously on History:K>
アメリカでは早速、色々なプロデューサーたちとミーティングが組まれたのですが、ハリウッドでもトップクラスのそうそうたる方々でした。そのなかで様々なオファーがあり、3本の映画契約をして進めることに。ただ、ハリウッドは契約をしたから、すぐに映画が撮れるっていうことじゃないんです。
ハリウッドがどういう仕組みになっているのかというと、まず大量の脚本からスタジオ(映画会社)が選んで、映画化に向けて企画をするわけです。その企画段階の作品がいくつかあり、映画監督にオファーをしていく。オファーするのは、もちろんトップの監督から。例えば、最初にスピルバーグやリドリー・スコットにいき、それで断られた脚本が下の監督たちにおこぼれとしてくるわけです。俺はその当時、1番下の監督。なかなかいい脚本に巡り会えない。でも、そのなかに3つ良いのがあって、「これをやらせてください」と、監督契約をしたわけです。
その契約をした次になにが待っているのかというと、グリーンライトっていう、実際にGOサインが出るまでがあるわけです。脚本を直して、スタジオ側が「これはいける」と思わない限り、いわゆる青信号が点灯しない。何度も脚本家と手直しをするんですが、なかなか上手くいかず、その状態が2~3年続いていました。
そうこうしてるうちに、アメリカの景気がどんどん悪くなって、のちにリーマン・ショックが起こるのですが、大不況に陥るわけです。その影響で担当していたプロデューサーがいなくなったり、配属先が変わったりして、一気に全てがなくなってしまった。その前から「何年もこんなことをやっていたらヤバイ!」と思っていたんですが、それを機にもう1度、日本で映画を撮るしかないと思って帰国することにしたのです。
そのときにあった企画が「GOEMON」です。実はもともとハリウッドで撮るために開発していた脚本でした。その脚本を日本版に作り直して、日本で撮ろうと思ったのです。その話に乗ってくれたのがワーナー・ブラザーズで、自分もプロデューサーとして入り、「GOEMON」の制作がスタートしました。とはいえ、プロデュースするのは初めてなので、キャスティングとかもよく分かってないわけです。例えば、「この人いいな」と思ったら、所属事務所に直接電話しちゃうみたいな感じで(笑)。さらに出資も集めないといけないから、色んなところに話を持っていって。結果的にもう1人プロデューサーが入ったんですが、もう本当に大変でしたね。そう右往左往しながら、なんとかクランクインまでこぎつくことができたのです。
(……この続きは紀里谷和明メールマガジン『PASSENGER』2015年8月28日発行vol.065をご購入ください)
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