※高城未来研究所【Future Report】Vol.263(2016年7月1日発行)より
今週は、福岡にいます。
アフリカに行かねばならないので、少しでも近づこうとしていますが、残務に追われ、やっと福岡までやって来ました。
目的地はまだまだ遠方ですが、ここから北京を経由して東アフリカに向かおうと思っていまして、考えてみれば、7年前にハブ空港として使っていたのは韓国の仁川で、5年前はシンガポール、3年前はバンコクで、2年前はクアラルンプール、昨年は香港をよく使っていましたが、気がつくと、今年は北京を使うことが多くなりました。
その理由は、北京発の国際線の本数が多く安価で、空港の利便性が急速に高まっているからです。
と申しますのも、1年ほど前の昨年4月まで、北京では国際線から国際線の乗り継ぎでも、一度入国する必要がありましたが(国際線乗継専用トランスファー審査)、乗り継ぎ時間が24時間を超えない範囲において、入国審査をせずに第三国への出発が可能になったのです。
また、北京国際空港は超巨大で、香港国際空港などを手がけたノーマン・フォスターの設計のなかでも最大の建造物と言われています。
ゲートの端から端まで3キロ以上あり、案内板にも「ここから55分」などと他では見ない搭乗ゲートまでの移動時間が書かれているほど巨大です。
ちなみに、福岡空港と博多駅を直線で結ぶと2.5キロですから、北京国際空港がいかに巨大か理解できます。
このような距離感を考えると、現在の福岡空港は駅や街に隣接しているのが最大の特徴で、その利便性もあって乗降人数も、羽田、成田に次ぐ国内第三位を誇ります。
年間利用者数は、およそ2000万人ほどで(うち国内線1600万人)、この数字は、25年前のシンガポール・チャンギ空港と同等です。
その後チャンギはターミナルを増やし、現在7000万人の年間利用者を誇るアジアを代表するハブ空港に成長。
来年開業予定のターミナル4、そして計画されているターミナル5ができれば、年間利用者は1億人を超えるものとみられています。
近年は、空港の年間利用客数と都市力は比例するものと考えられており、人やモノが集まれば、必然とお金も集まるわけで、それゆえ、人口500万人のシンガポールが1億人規模の空港の完成を目指すことになるのです。
ということは、都市圏人口250万人の福岡であれば、現在の倍から3倍の規模の空港利用者を増やせば、東アジアのハブ空港に成長できる可能性を秘めていることになります。
しかも、北九州福岡大都市圏としてみれば、シンガポールとほぼ人口は同じですので、今後25年計画で、年間利用者1億人を目指す壮大なビジョンを立てることも可能になります。
福岡新空港の話は、いつも現れて消えていくのを繰り返しており、しかし、25年前に計画され、当時は絶対にうまくいかないと日本から揶揄されていた韓国の仁川は、開業15年経ったいま、利用者が4500万人を超えるほどに大きく成長しました。
また、驚異的なのは福岡と同程度の人口を持つドバイです。
2005年に国際旅客数世界11位だったのですが、わずか10年で世界1位の巨大空港へ大躍進。
2020年までに年間利用客1億人まで拡大し、さらに近隣に2億人規模の新国際空港も建設する計画も発表しています。
「空港力」とは、僕がよく使う言葉で一般的ではないと思いますが 、21世紀にそれは都市力を意味していると考えて間違いありません。
現在、仁川は空港を中心とした自由貿易地区構想を発表し、早くも2020年に開業予定で、いよいよ「空港都市」を目指すように見えます。
福岡の未来は、「空港力」にかかっているのは間違いなく、はたして25年後の空港をどのように描けるのかが、都市の未来ビジョンそのものになるでしょう。
地域トップのセンスが、試される時です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.263 2016年7月1日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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