「殻を破る」ことが自信になる
「殻を破る」とはどういうことか。別に、普段人付き合いをしない人が、いきなりホームパーティをやったり、合コンに行ったりしろ、というわけではありません。ポイントは「ちょっとだけ無理をする」ということです。
例えば、運動不足気味の人であれば、週に1-2回、スポーツクラブに通ってみるということです。あるいは、読書習慣のない人が、1時間、じっくり本を読むということでもいいでしょう。別にあえて「リア充的な生活」をする必要はありません。いまの自分の生活習慣にない何か、自分がこれまでなぜか手を出してこなかったものに、あえて手を出してみる。それだけでも十分、「殻を破る」ことになります。
こういう時間を積み重ねると、だんだんと、「リア充」の人を相手にしたときでも、あまり気後れしなくなってくるんですね。
リア充相手に気後れしないために必要なことは、「リア充」に近づく努力ではありません。今の自分の枠組みを超えること、「殻を破る」という体験なんです。
中二病は大事
なぜ「殻を破る」ことが、リア充に対して気後れしないことにつながるのか。これは僕が経験的に感じていることなんですけれど、中学生や高校生の思春期の頃にちょっと「間違った努力」をした経験のある人って、意外とリア充に対する劣等感を持ちにくいようなんですね。
これは特に男性に多いケースですが、思春期の頃って「間違った努力」をしがちですよね。例えば「女の子にモテたい」と思っているくせに、ジャズみたいなマニアックな音楽に手を出したり、やたらと身体を鍛えてマッチョになろうとしたりする。
本当ならファッションにお金を使ったり、女の子と共通の話題にアンテナを張ったりしたほうがいい。でも、多くの男子中学生は、どういうわけか「そんなのじゃダメだ」と思ってしまう。その結果、モテるためには何の役にも立たないような(というよりも、むしろ逆効果になるような)趣味に心血を注いでしまう。
ところが、です。こういう思春期特有の「間違った趣味」「行き過ぎた努力」みたいなものが、往々にして、その人が生きていく上での「芯の部分」を太く、形作ってくれることがあるんです。
これは女性でも同じです。最近、「こじらせ女子」という言葉もありますが、自分の欲求をストレートに追求できずに、ちょっとオタク的な趣味に走ってしまった経験というのは一見、「リア充」とは真逆の方向のようですけど、意外に「リア充」に対して気後れしないための、支えになってくれたりするんです。
リア充との出会いは「チャンス」
「リア充への気後れ」を解消してくれるのは、「リア充的な経験」の積み重ねではなく、むしろ「非リア充的な努力」によって自分の殻を突き破った経験なのだと僕は思います。そういう意味では、もしもあなたがリア充に心を揺さぶられ、不安を覚えているとすれば、それは「殻を破る」チャンスだと捉えてみるのはいかがでしょうか。
何も「エベレストに登る」とか「トライアスロンに挑戦する」といった高いハードルを超える必要はありません。本当に些細なことであっても、それまでの自分の人生の殻を破る体験は、あなたの心の芯に、自信を植え付けてくれます。
あなたの本棚には、買ったまま一度も開いたことがない本が、一冊はあるはずです。あなたはなぜ、その本を開かなかったのでしょうか? 忙しかったから? 時間がなかったから? いろいろ理由をつけることはできると思いますが、心理的に考えれば、答えはひとつです。あなたの身体が、心が、無意識のうちに「殻を破る」ことを拒否しているのです。
リア充に触れたとき、もしあなたが「自分は人生の楽しみから疎外されているのではないか」と不安になったとしたら、それはチャンスだと思ってください。「気後れ」を生むのは、あなたの心の中に無意識のうちに設定されてしまった「限界」が刺激されたからです。
必要なのは、ほんの少しの勇気です。自分の殻を破るチャンスを逃さないように、何か一歩、自分の枠組みの外に足を踏み出してみてください。
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