
このところ、再びソーシャルゲーム業界がややこしくなりそうで、いろんなところにお呼ばれしたり、勉強会でお話をするケースが増えているのですけれども、そのソーシャルゲームと消費者行政の枠組みとは異なるところで問題になりつつあるのが格安スマホ、MVNO業界です。
問題の入り口の部分だけでもと思ってヤフーニュースに記事を書いたわけなのですが、やはり業界内でもトラブルの火種になりそうだということで警戒モードになりつつあるのが分かります。
記事にも書きましたが、やはり大事なのは「安いサービスにはそれなりの理由がある」ということです。それは新築マンションだろうが格安航空機だろうが安くするためのアプローチにはエッセンスがあります。今回の格安スマホがなぜ格安かという話で言えば、回線が細くサービスが限定されているということに他なりません。駅前や辻々に実店舗を構えることはなく、テレビ広告は投下するけどユーザーの募集はネットか量販店の店頭であるということを考えれば、この格安サービスは「ほとんどデータ量を使わないユーザー」か「少ないサポートでも自力で解決できる、知見のあるユーザー」だということになります。
ところが、いまの格安スマホのセールス状況をみると、単純に値段に惹かれてやってきた高齢者や高校生、大学生に圧倒的な支持を得ていて、学生は特に「Wi-Fiが繋がるところでしかネットの帯域を使うようなスマホの使い方をしないから」と見込んで契約するケースが多くあります。一方、これらの格安スマホのトラブルの主体となっているのは通信費を節約したいと考える高齢者です。それまでは、文字通り至れり尽くせりのキャリア系サービスを使っていたものの、半額以下の月額費用でスマートフォンが持てるということであれば、やはりそちらに乗り換えたいと思うのも心情として分かります。
先日も、FREETELの「縛りなし月額999円」広告が、実際には非常に厳しい利用制限を完全に満たした一年間だけ月額999円であり、翌年からは2,500円となるうえ、端末料金が36回払い(つまり3年縛り)の市販価格の倍値で買わされることが分かっています。
「縛り一切なし」をうたうFREETELの999円プラン、端末価格で3年間の“実質縛り”
FREETELを運営するプラスワン・マーケティングが悪質な不当表示を前提に事業展開をしていたと批判するつもりはありませんが、月額千円以下でスマホが持てると勘違いした消費者がからくりに気付かず契約してしまい、後からクレームをつけても解約手数料も含めてすでに契約は成立していると言われてしまうとどうにもならないわけであります。
この問題一つを取って総務省の通信行政は失敗だったと揶揄するわけにもいかないのは、既存の大手キャリアも過去に複雑な料金体系、法的に微妙な2年縛り、MNP新規ユーザー獲得のために既存の長期利用者をないがしろにし続けてきたことも含めて、何をもって健全な競争というべきかは議論の俎上にはなかなか上がらなかった経緯があります。販売奨励金の問題や、帯域の件ひとつとっても長らくすったもんだし続けてきた界隈でもあるだけに、やはり何らかの販売に関する方針がMVNO方面でもガイドラインを設置し、消費者を守るための仕組みは構築しなければならないでしょう。
何しろ、MVNOも単なる通信事業者ですから、卸してきた回線は利用しているユーザー数で分割される以上、多数の利用者がいるMVNO事業者の端末はほとんどデータが落ちてこないなどのトラブルに見舞われやすい部分がないでもありません。この問題は以前よりだいぶ解消方向に向かっているとはいえども、本当に悩ましいところですね。
やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」
Vol.186 昨今注目が集まる話題のビジネスのあれやこれやにツッコミを入れつつ、政治家の悩みに意見させていただく回
2017年4月18日発行号 目次

【0. 序文】格安スマホは叩かれるべきか? サービス内容と適正価格を巡る攻防
【1. インシデント1】アジア方面からのインバウンドを狙う企業がアレすぎて
【2. インシデント2】WindowsがAndroidにその座を譲り渡す時代がやって来るのはそう遠くないのかもしれません
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A
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