※高城未来研究所【Future Report】Vol.332(2017年10月27日発行)より
今週は、京都にいます。
エチオピアのジンカ村→アルバミンチ→アディスアベバ→イスタンブール→ロンドン→香港→東京→大阪→京都と乗り継いで来ると、京都は台風直撃で、街はガラガラでした。
京都三大祭りのひとつ「時代祭」も中止になったことから、ホテルのキャンセルも多く、普段は高額な宿屋も、当日15時を過ぎれば、驚くほど安価で宿泊を提供しているのは、不幸中の幸いです。
そんな巨大台風の中、毎年時代祭と同じ日に行われる「鞍馬の火祭」は、決行されました。
「鞍馬の火祭」は、京都三大奇祭のひとつとしても知られており(他ふたつは、「今宮やすらい祭」「太秦の牛祭」)、名前からすると、鞍馬寺の祭事のようですが、実は同じ鞍馬山にある由岐神社の祭事です。
毎年同日日中に京都市内で開催される「時代祭」は、100年強の歴史しかありませんが、「鞍馬の火祭」は、もう1000年近く続いている神事ですので、台風直撃程度で中止するわけにはいきません(とは、地元の人たちの弁)。
はじまりは平安時代の天慶年間(10世紀)。
時の天皇が御所内の由岐明神を鞍馬の地に御遷宮した際、道々にかがり火を焚き、その中を長い行列が進む光景に鞍馬の人々は神々しさを感じ、その姿を祭として後世に残しました。
まず、子どもが小さな松明を、その後に大人が大きな松明を持って「サイレイヤ、サイリョウ」(祭礼や、祭礼の意)のかけ声と共に集落内を練り歩きますが、今年は台風の影響もあって順路が変更になったり、神輿の位置が変わっていたり等、例年にない動き方のようで、毎年来ていると思われるアマチュアカメラマンが、撮影ポジションを悩んでいました。
毎年一万人近くの観光客を集めますが、今年は台風の影響もあって、フィナーレともいうべき山門前に松明が集まる時には、数百人程度しか集まっていません。
強烈な雨と風のなか、大揺れする松明を支える氏子の姿は、ものすごい迫力で、人が少ないこともあり、最高のシャッターチャンスとなりました。
しかし、カメラはずぶ濡れ。
僕をはじめ、アマチュアカメラマンもプロの報道カメラマンも皆、タオルをカメラに巻いたり、雨カバーやコンビニの袋を利用して、それなりに機材を守っている様子でしたが、帰路の電車のなかで「カメラが壊れた!」と口々に言います。
その壊れたカメラをよく見ると、一眼レフばかり。
なぜか、僕を含めたミラーレスカメラを手に持つ人は、壊れた様子がありません。
この理由は、多くのアマチュアカメラマンが、いまも一眼レフを使っている絶対数もあるのでしょうが、一眼レフはカメラ本体が大きく、また構造的に水やショックに弱い機材です。
一方、ミラーレスは小さく、タオル等でカバーしやすく、水や塵に構造的に強く、サバイバル性が高い機材だと、台風最中に実感しました。
火祭の真っ只中、厳しい雨風でも絶対に動かない本気のアマチュアカメラマンとお話ししましたが、どうやらミラーレスを好んでない様子で、あのメカメカしく、シャッターがガシャン!と鳴る感覚がお好きのようです。
カメラポジションをキープして、ずぶ濡れになって待つこと5時間。
本気のアマチュアカメラマンの一枚は、素晴らしい写真でした。
なにしろ、メカメカしいカメラの命と引き換えている一枚なのですから。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.332 2017年10月27日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 未来放談
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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