※高城未来研究所【Future Report】Vol.416(2019年6月7日発行)より

今週は、バルセロナにいます。
「5月40日まで、コートはしまうな」(Hasta el 40 de mayo no te quites el sayo.)と地元の人たちが口々に言うのは、6月10日までは天気が不安定で、雨が降ったり、突然寒くなったりすることがあるからですが、この一週間、幸いバルセロナでは好天が続いています。
この時期のバルセロナは、日が長くも旅費を抑えながら過ごすことができる「コストパフォーマンスが良いシーズン」でして、7月に入ってしまうと、観光客が続々と訪れ、それが10月いっぱいまで続く「本格的観光シーズン」に突入することから、渡航費や宿泊費が一気に高騰し、どこに入るのも大行列となってしまいます。
もし、この夏バルセロナに渡航予定がある方は、できるだけ予約(レストランから世界遺産まで)を早めにすることをオススメいたします。
さて、いまや世界一の観光都市として名高いバルセロナですが、実は、数年前から市が観光戦略を大きく変更しています。
欧州随一の観光客密度を誇るランブラス通りに面するボケリア市場は、あまりの観光客が訪れるため、市民が買い物できない状態になっており、市場として機能していません。
その上、大半が、見物客のため、各店舗の売り上げが激減。
人口わずか160万人の街に、年間1100万人を超える外国人観光客が訪れているわけですから、当然といえば当然ですが、最近は「観光客排斥」運動も頻繁に見られるようになってきました。
これは、バルセロナに限りません。
欧州の中でも先進として知られるオランダでは、政府観光局が発表した「2030年展望リポート」の中で、「本国を訪れる観光客数が多すぎるため、これ以上観光客の誘致をする必要はない」との明確な考えを大々的に政府が公表しています。
昨年、オランダを訪れた観光客の数は1900万人にのぼり、同国の人口1700万人を上回りました。
今後もこのペースで観光客数が増えると、2030年には2900万人を突破することになり、受け入れ態勢が限界になると予測。
また、政府が国民から集めた税金を使ってまで観光客誘致をする必要はなくなった、と「脱観光立国」姿勢を、改めて打ち出すようになりました。
つまり、今後の観光トレンドは「観光PR」から「観光客数の管理」に移ります。
その施策のひとつが、優良顧客だけを厳選して集めるため、観光客に対する旅行税の増額や市民と異なる観光物価の設定なのです。
現在、バルセロナの目抜き通りランブラスには、1年間になんと延べ1億人が通行しています。
調査によりますと、そのうち21%が地元の住人で、残り79%は観光客であることが判明しました。
耐えられないくらいの観光客が押し寄せる「オーバーツーリズム」。
この波は、日本にも2020年代に確実に押し寄せるでしょう。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.416 2019年6月7日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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