※高城未来研究所【Future Report】Vol.362(2018年5月25日発行)より

今週は、香港にいます。
ここ5-6年ほど、僕が欧州に行く際にもわざわざ乗り換えに使うほど利便性が高まっている(および、航空券が安価な)香港国際空港は、現在、急拡大しています。
2024年に第3滑走路がオープンする予定ですが、それまでに、空港全体の処理能力を高めるため、ショッピングモールや飲食店面積を拡大するほか、空港すぐ西には香港とマカオ、珠海を結ぶ港珠澳大橋に税関がオープン予定で、これにより、陸路でマカオや中国本土まで行くことが可能となります。
数年前に開業した第二ターミナル内には、世界初となる空港内IMAXシアターなどがオープンしており(僕も乗り換え時に頻繁に利用します)、2023年〜2027年に、およそ8万平方メートルにも及ぶ商業空間を段階的に完成させる予定で、その中には、インドアのゴーカートのサーキットや学習を中心とした施設「児童天地体験館」を開設する予定です。
こうなると、空港というより複合エンターテイメント施設のようです。
いまでも、7-8時間程度の乗り換えなら「香港なら問題ない」と思ってましたが、今後は、12-3時間程度の乗り換えでも、「香港なら問題ない」と思えるようになるでしょう。
それほど、香港国際空港は「よく出来ている」のです。
この背景には、アジアのメガハブ空港の王座を争う熾烈な戦いがあります。
19世紀が船、20世紀が鉄道、21世紀は飛行機をどのようにマネージメントするかによって、都市力が問われてきました。
20世紀までの世界的大都市を見ると、海に面し(19世紀までの都市力の重要な要素)、そこから鉄道を使って内陸主要都市までのアクセスを容易にしてきましたが(20世紀までの都市力の重要な要素)、21世紀には飛行機が主要交通網になったため、海や川に面するなどの地の利の必要がなくなってきました。
そこで、地の利を生かして優位に立っていた20世紀までのハブ都市、例えば香港やシンガポールは、突如、内陸部に登場するハブ都市、北京やバンコク、クアラルンプールの躍進を念頭にいれ、急速に拡大する必要に迫られました。
インターネットのポータルサイト同様、メガハブ空港を持つメガハブ都市になれば、都市力が高まります。
それを目指し、現在、100兆円を超える投資が世界のハブ空港に投下され、その半分をアジアが占めているのです。
来年2019年、北京には129億ドル規模の巨大空港がいよいよ開港し、中国の首都が世界最大級のハブ空港として開港します。
また、バンコクのスワンナブーム国際空港は、21年末までの整備に1170億バーツ(約3900億円)を費やし、ソウル近郊の仁川国際空港は5兆ウォン(約4900億円)規模の第2ターミナル建設を行うと発表。
どの都市も、世界を主導する「メガハブ空港」となることを目指し、しのぎを削っています。
「20年前なら空港側は航空会社がやって来るのをただ待っていればよかったが、状況は極めて急速に変化している」と各国空港関係者は口々に言い、ついに中国民用航空局が、深センに「世界クラス」の空港を建設する方針を発表しました。
香港国際空港が、急速に複合エンターテイメント空港化を目指し、1415億香港ドル(約2兆円)を投じてニューヨークのセントラルパークより広い3本目の滑走路を造る背景には、すぐそばの深センが、巨大メガハブ化する可能性があるからです。
また、香港は5本の滑走路を運用する計画がある広州と上海との競争も、想定しなければなりません。
「空港大戦争」は、もうアジアではじまっていると実感する今週です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.362 2018年5月25日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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