やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

「ストレスを溜め込まない」って、意味あります?


 良く生き方本や自己啓発などで、ストレス解消法のような内容が多数出てくるわけですけど、みんなそんなに日々をストレスいっぱいで生きているのか不思議な気分になります。

 もちろん、身体的に、あるいは精神的に不具合もありつつ何かモヤモヤし続けているとか、お前早く病院に行けという事案であれば仕方がないのかもしれませんが、外と内とのミスマッチで起きるストレスは、どうやったって絶対感じるものだと思うんですよ。

 私なんかも精神的に余裕のない時間帯はあり、いちいちムカついたり毒づいたりするわけですけど、ストレスのいなし方がある程度身についていると対処もしやすいわけです。対人関係で何かをしろとプレッシャーをかけられれば、たとえ発注者であろうとそういうものの伝え方はないんじゃないですかという返し方を覚えていればストレスを感じずに物事に対処できるだけのプロセスを苦労なく踏むことはできます。

 とはいえ、私は絶対服従を強いる面倒な上司もいなければ理不尽なことを言うクライアントもないので、組織の中に一定数いる困った権力者対応に奔走することやグッと我慢して物事に取り組まなければならない環境に陥るということは無縁なのでストレスを感じないだけなのかもしれません。その意味では、人間関係や働き方でストレスを受けないような仕組みを長年かけて作ってきたという部分はあるかもしれず。

 逆に、久しぶりに仕事でご一緒するクライアントから今回呼び戻されてコンサルをすることになったのですが、オリエンテーションで3時間ぐらいディスカッションして「山本さんも随分丸くなりましたね」と複数の方から言われてしまいました。体格が丸くなったのかと一瞬ムカついたわけですが、どうも昔であれば理不尽な内容を聞くとその場で会議を止めてそれはどういうことなのかと糺すようなコミュニケーションの人だったようです。そうだったっけな。

 今回に関しては随分と取り組むべきプロジェクトが多岐に渡っていたのでこりゃまた途方もないことを思いついて予算化したもんだと半分呆れ、半分面白そうだなと思っていたところだったので静かにしていただけです。ただ、私がそういう人間であると認識してもらえているからこそ、ある程度は柔らかい座布団が敷かれた座組が用意され、思うことを思うように述べられるポジションに置いてくれているのだという気持ちも無くはありません。

 むしろ、私がいま感じるストレスというのは言うことを聞かない子どもたちを一刻も早く寝かせることであり、病院に検査に行く日取りを理由つけて行かないよう駄々をこねる老親への説得であったり、要するに理不尽なことで生産的な行動を妨害する損得勘定抜きの人間関係ばかりであるとも言えます。くだらないことばかり言ってないで早く歯を磨いて着替えて寝てほしいし、待合室で待たされるのがヒマで嫌だ家にいたいというヒマな老人はさっさと定期検診に行ってほしいのです。

 また、酒を随分減らし、ゲームもあまりしなくなり、短い時間にする読書がメインで、それまでストレス解消に役立っていたTwitterもアカウント凍結とともに完全撤退するつもりなので、逆にストレスを感じて、ストレスに対処をしようとすると、それによって自分の人生が突き動かされて新しい行動に変わっていく… というのが、正しいストレスの利用法なんだろうなあと思うわけであります。いまいる環境がストレスフルだから逃げるのも選択肢ですし、それをやり過ごせる方法を編み出したり、何か生産的な方向に繋げられるとより良いのかなと思いますし、無理にマインドフルネスだ何だと別のスピリチュアルに走る前に上手く自分の精神の乗りこなし方を覚えるといろんな幸せに巡り合えるのではないかな、と思います。

 まあ、私自身も比較的頻繁にムカついてますし、なかなか簡単なことではないのですが。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.257 ストレスってどうよという話から、岡口基一さん問題を通じて知った裁判所という世界、Apple発表から感じるプラットフォーマー界隈の動向など
2019年3月31日発行号 目次
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【0. 序文】「ストレスを溜め込まない」って、意味あります?
【1. インシデント1】高裁判事・岡口基一さん関連でいろいろ知って驚いたこと
【2. インシデント2】 Apple新サービス発表から考えるプラットフォーマー界隈の今後
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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