高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

雨模様が続く札幌で地下街の付加価値について考える

高城未来研究所【Future Report】Vol.368(2018年7月6日発行)より


今週は、札幌にいます。

北海道には梅雨がないと言われますが、今週の札幌は雨模様が続いています。
しかも、日中の気温が13度と例年では考えられない寒さの日もあり、先週滞在しました浜松の日中の気温が34度だったことを考えると数日間に20度以上の開きがあるので、少し前の季節にタイムスリップしたような不思議な感じを受けます。

近年、8月には沖縄の那覇より暑くなる北海道の札幌ですが、このあと一ヶ月で20度近く上昇する気温に、この街の人々はどのように対応しているのか(特に精神的に)気になるところです。

一方、札幌は全天候型都市としても知られています。
地下街の直線距離は日本一を誇り、大手町ー日比谷間や都庁から新宿三丁目より長い地下歩行空間があります。
地下の総面積では、僕が頻繁に利用する日本最大の地下空間新宿地下街(10万平方メートル)には及びませんが(ちなみに世界最大はモントリオール)、雨天対応を考えれば、アーケードで直結する「ドラッグストア通り」狸小路など、都市部の主要ポイントに傘なしで行くことができます。
実際、今週の札幌は日々雨が降っていますが、一度たりとも傘をさしませんでした。
まさに全天候型都市たる所以です。

さて、札幌の地下歩行空間が僕にとって感慨深いのは、手がけていた沖縄観光キャンペーンを終えた15年近く前、当時の札幌市長がわざわざお越しになり、まだつながっていなかったすすきの周辺の地下街と札幌駅前を、いかにしてつなげて活性化し、あたらしい都市空間を作るのか討議を重ねていました。
ビジョンは明確で「真冬に銀座からすすきのまで、同じ服で行ける」というものです。

いうまでもなく、冬の札幌の寒さは厳しく、また、雪で路上は思うように歩けません。
羽田から新千歳空港まで来たのはいいですが、やっとJRで札幌駅まで来ても、タクシーに乗ろうにも外に出て大雪に唖然としてしまうことは頻繁にありました。
このタイミングで、路上で荷物から上着を出さなくてはなりません。
そこで、同じ格好のまま、東京の都心部から札幌中心部のホテルまで行けることが、大観光時代を迎える札幌活性化のなによりもの命題となったのです。

その後、7年ほど前に無事開通し、いまでは札幌でもっとも人通りが多い場所となりましたが、僕がこの地下歩行空間で成し遂げたく、しかし、結局できなかったことのひとつは、地下に良いスピーカを設置し、DJブースを作って(札幌にはいいDJがいっぱいいます!)、天候や気温、曜日や時間によって、アンビエントからミニマルまで異なる楽曲を歩行者に提供することでした。
人の気分は、ちょっとした音楽に左右されるのは明らかで、金曜の夕方に、少しだけアップリフティングな曲を流すと、商店街の売り上げが上がるのは明確なエビデンスがあります。
また、札幌は浜松と並ぶ日本を代表する音楽都市でもあり(この両都市は、本年音楽文化都市交流宣言しました)、四季折々に「よさこいソーラン」から日本最大規模のジャズフェスまで音楽イベントを開催しています。
平行して進めていた札幌市をユネスコの「創造都市ネットワーク」加盟は成就できましたが、僕が欧州に転出してしまったこともあって、細かなボトムアップ型戦略は実施できませんでした。
今週、地下歩行空間を歩いても、いまだ音楽が奏でられている様子がありません。

しかし、このような多くの施策は、冬の雪で閉ざされた時期を想定して考えられていました。
まさか、梅雨同然の日々と、ここまでの猛暑が札幌を襲うとは!

思わぬ形で地下空間の有効性を実感した今週ですが、今後、人間にとって耐え難い気候変動が起きた時、「地下空間直結」は、付加価値としてますます高まるだろうと考える今週です。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.368 2018年7月6日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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