高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

東京丸の内再発見

高城未来研究所【Future Report】Vol.480(2020年8月28日発行)より

今週も、東京にいます。

お盆が明けても丸の内は大変静かで、週末はさながらゴーストタウンの様相です。
成人してから此の方、渋谷、原宿、新宿周辺を東京の拠点にして30年以上経ちますが、丸の内界隈はまったく馴染みがなく、僕のなかでは完全なアウェイな場所でした。
まず、昼間の顔と週末や夜の顔がまったく異なる、「極端な二面性」を持っているストリート感が、大変面白いと感じています。
新型コロナウィルス感染拡大以前の千代田区の平日日中人口は100万人を超え、人口密度70,382人/平方キロメートルと世界有数の密集地でしたが、現在、都心5区内で人口減少幅がもっとも大きく、ピーク時のおよそ70%減となっており、かなり閑散としています。
週末や夜になると、さらに誰もいなくなります。

2019年時点の調査によると、世界有数のオフィス街である丸の内1丁目〜3丁目に住所を置いている人(つまり人口)は、わすか3人だけで、千代田区大手町1丁目と2丁目には、1人しか住んでいません(皇居は、除きます)。

街の佇まいは、ニューヨークのなかでも日中人口がもっとも多いミッドタウンを彷彿させますが(http://manpopex.us)、5番街やマジソンあたりの中心部でも、1万5000人以上の人が暮らしているビジネスと生活のバランスがあるマンハッタン中心部とは様相がかなり異なります。
ロンドン・シティでも1万1000人の人々が暮らしており、そう考えると、東京の丸の内大手町地区は、世界のビジネス街でもっとも昼と夜の人口差がある地域だと考えられます。

また、東京の中心地である皇居は、いまも千代田区の15%を占め、代々木公園の倍以上ある広大な森です。
夜になれば周囲に虫の声が響き、都内では珍しいほどの風が吹き抜けます。
僕は未見ですが、夏の夜には外苑濠にヘイケボタルが現れるとのこと。
都内有数の緑地である皇居は、夏の平均気温が周辺より約2度低いなど、「クールアイランド効果」を都心にもたらしていることが、環境省の調査で明らかになっています。
閑散とした現在、およそ3度は低いと思われるほど、夕暮れ以降は快適です。

かつて江戸城が建てられたこの地は、「仙掌格」(仙人の手のひらの意)という吉相の地で、文明が栄える縁起の良い地形ゆえに選ばれたと言われています。
ここを中心点として、環状と放射線で道を開き、渦巻き型に江戸をマッピング(都市開発)した目的は、富士山と秩父山系の地龍を中心に向かわせるためでした。
陰陽道では、極めて気が高く、文明が栄える「交差明堂形」と呼ばれる「陣」でもあります。

この江戸城一帯を設計したのは、かの天台宗大僧正南海坊天海です。
鬼門(東北)の方角にある上野寛永寺で鬼門封じを行い、裏鬼門(南西)の方角にある増上寺は裏鬼門封じとし、五色不動を配置して、日本最高のパワースポットを人為的に作り上げたのが、現在の皇居の地なのです。

実は、沖縄で養った「野生の気」を持ったまま東京に戻ると、どこにいても落ち着きませんでしたが、そんななか、唯一「気」が休まると感じたのが、皇居周辺でした。

天正18年(1590年)8月、奇問遁甲(陰陽道の金剋木の理)を駆使して割り出したスケジュールに従い、白い服を着て江戸入りした徳川家康に肖って、430年後の同月、僕も白い服を着てこの地に入りました。
江戸時代、吉原の遊女や江戸城大奥の女中衆が8月1日に白衣を着る風習(白は、金気の色)がありましたが、これは常勝だった家康の江戸入りに起源を持つとされています。

いままでアウェイだった丸の内大手町周辺。
この秋、東京の見える中心地と見えない中心地の探索をはじめたいと思います。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.480 2020年8月28日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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