※この記事は本田雅一さんのメールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」 Vol.042「Netgeek訴訟が示す問題の本質」(2019年4月13日)からの抜粋です。
友人が「Netgeek」という口コミ炎上を狙って記事の閲覧数を稼ぐ“バイラルサイト”と呼ばれる情報サイト(フェイク情報だらけなので、情報サイトという言葉も本来は使いたくないのですが)を訴えました。
このいわゆる「Netgeek訴訟」はテレビ・新聞など主だったメディアでニュースになったため、すでにご存知の方も多いと思います。僕はNetgeekから直接の被害を受けていないため原告団に入っていませんが、もし彼らから直接的な被害を被っていれば、この原告団に加わっていたと思います。
単に“被害”に対する保証を求めるというよりも、こうしたバイラルサイトそのものが社会悪になっていると思うからです。では、なぜ社会悪だと思うのでしょうか?
Netgeekに限らず、事実であるかどうか、あやふやな情報を発信しているサイトは多数あります。それどころか、他人の著作をそのまま“コピペ(コピー&ペースト)”して掲載するだけで広告収入を得ようとしているサイトなど、世の中にはたくさんあります。
しかし、あまりに多すぎて「ネットのいい加減な情報を信じるほうがバカげている」などという声も聞こえます。でも考えてみてください。Netgeekのようなサイトが増えていけば、いつしか人々は“そんなサイト”が当たり前だと思うようになるでしょう。
また、Netgeekは情報発信を“口伝のように責任回避しながら伝える”のではなく、あたかも一時報道のように見せかけた断言口調の記事も多数発信しています。その一方で、発信されている情報の真偽はまったく確認していません。
なぜこのようなことができるかと言えば、“発信者が特定されない”工夫を施しながら、複数のライターを使って“腹ブラック”という、あたかも一人の特定の筆者が書いているかのように擬装した記事で発信を続けているからです。
しかも、Netgeekが炎上させている相手は、公人や企業ではなく、訴訟する資金を個人的に用立てることも難しいような名も無い個人が多いことも悪質さを高めている理由です。いわばネット上で一方的にリンチを行い、炎上を誘導し、反撃の機会も与えず、次々に標的を変えていきます。
Netgeek訴訟は、こうした無責任な情報発信による被害者が増えないよう、Netgeekの情報発信構造と“誰が発信者であるか”を特定し、裁判の場に引きずり出すことが主目的だと考えられます(考えられるというよりも、原告団の代表者でもある永江氏がそのように話していました)。
この訴訟については、私が何かを書くよりもクラウドファンディングで訴訟費用を集めているこちらのページを参照してもらうほうがいいでしょう。
僕はもう少し“引いた目線”から、Netgeekについて書き進めていきたいと思います。
(この続きは、本田雅一メールマガジン 「本田雅一の IT・ネット直球リポート」で)
本田雅一メールマガジン「本田雅一の IT・ネット直球リポート」
2014年よりお届けしていたメルマガ「続・モバイル通信リターンズ」 を、2017年7月にリニューアル。IT、AV、カメラなどの深い知識とユーザー体験、評論家としての画、音へのこだわりをベースに、開発の現場、経営の最前線から、ハリウッド関係者など幅広いネットワークを生かして取材。市場の今と次を読み解く本田雅一による活動レポート。
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