高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

児島ジーンズ・ストリートを歩いて考えたこと

高城未来研究所【Future Report】Vol.591(10月14日)より

今週は、児島にいます。

いまでこそ世界的なデニムの生産地と知られる岡山県倉敷市南東部にある児島は、もともと岡山県本土と陸続きではなく、瀬戸内海に浮かぶ小さな島でした。
それが江戸時代の干拓によって陸続きになって本州の一部になります。
ですが、干拓地は海でしたので塩分が多く、稲作には向きません。
そこで、塩分に強い綿花栽培が盛んになりました。

こうして綿花の栽培から繊維産業が発達します。
明治時代には民間初の紡績所ができ、年間1000万足を超える大量の足袋が作られ、日本一の生産量を誇るまでになりました。

ところが、靴が一般化すると共に足袋の生産は斜陽になっていきます。
そこで、特産の厚織地を活用し街を上げて学生服の生産拠点へと方向転換し、国内シェア7割を占めるまで成長しました。

しかし、戦後になると学生服の生地は綿から合成繊維に変化し、徐々に衰退をはじめます。
あわせて1970年代になるとべブーブームが一段落し、学生服産業の先細りが懸念されるようになりました。

ここで、再び街を上げて大胆にも方向転換します。
それが、デニムだったのです。

当時使われていたアメリカのデニム生地は硬くゴワゴワしており、とてもはき心地が良いとは言えませんでした。 
児島の人々はジーンズを日本で拡販する為にはき心地の良さを徹底追求。
そのなかから生地を柔らかくするための「洗い加工の技術」が誕生します。
1973年には、初めて国産のデニム生地の生産をはじめ、ついに輸入に頼ることなくジーンズ作りに必要な「生地・縫製・加工」全ての工程を岡山県内で完結させることが可能になりました。

こうして、稲作に向かなかった土地を綿花の栽培地に変え、日本一だった足袋の生産地から学生服、そしてジーンズへと、児島は次々と基幹産業を変化させ街を発展させてきました。

そして現在、シャッター通りも目立つ児島は、再び変化することができるのでしょうか?
それともこのまま何もせず、「豊かな衰退」へ向かうのか?

答えが出るまでそう遠くないと、実質的に補助金で作られた「児島ジーンズ・ストリート」を歩いて感じる今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.591 10月14日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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