※高城未来研究所【Future Report】Vol.593(10月28日)より
今週は、東京にいます。
毎年春から秋まで北半球を巡っていますが、今年の撮影シーズンもほぼ終わり、撮ってきた写真や動画の編集、そして来シーズンのための準備がはじまりました。
都内を歩くと入国を緩和したこともあってインバウンド客が目立ち、秋葉原に出向けば円安を利用し爆買いする人が多く、言葉を聞く限りタイ人やインドネシア人もが増えているように感じています。
この爆買いには、不動産も含まれます。
近年、京都の不動産が外国人投資家と個人によって爆買いされたことで価格が高騰。
現在、京都の「簡易宿泊所」のおよそ6割が外国人オーナーで、その大半が中国人なのが実態です。
土地の購入は、持ち出しが厳しい中国からの送金ではなく、すでに海外に持ち出した資産をケイマンなどのオフショアを通じて日本の不動産に投資するか、ビットコインなどの仮想通貨に替えて、京都の不動産に投資していました。
こうした中国の規制によってビットコインは全世界的に高騰し、あちこちでクリーニングされながら、流れ着いた先のひとつが京都だったのです。
中国人に京都が人気なのは、日本を代表する観光地という理由だけでなく、もともと京都は唐の都を模したまちづくりで、一方、現代の中国の都市部には、当時の建物がそこまで残っていません。
このため、中国人には哀愁を感じる場所として映っています。
また、不動産大手恒大集団の実質的破綻に伴った総量規制を受けての余剰資金が日本の不動産投資に流れ、2025年の大阪万博や2029年のIR予定地へのアクセスの良さなども含め、今後も当面京都の人気は落ちることがないという判断から投資熱が加速しています。
あわせて、中国では国内に不動産を所有できないこともあって、資産を分散する上でも子供に資産を残す上でも、京都の不動産は魅力的に映ります。
さらに、習近平が向かおうとする「あたらしい社会主義」政策が富裕層にとってマイナスになると判断し、資産を逃すことを急ぎました。
こうして、コロナ禍でもオンラインで購入する人が絶えなかったことから、京都の不動産も高騰し続け、地下銀行も増えているのが現状です。
しかし、京都市による外国人による不動産購入規制が数年後から行われると考えられており、現在、その資金は大阪中央区に向かい、その次に物色されはじめているのが、浅草や蔵前などの「東京の下町」です。
一般的には、東京駅に三菱地所が開発した「東京トーチ」などのあたらしい物件に目が行きがちですが、円安のいま、投資利回りから考えると「東京の下町」には良い物件が多数あります。
表には出ていませんが、下町の鮨屋がそのまま買われることも多々あり、今週、僕が目にしたのは、爆買い帰りに不動産売買情報に目を見張るタイ人やインドネシア人でした。
高層ビルの建築と違い、表層的にはまったく変わらないように見える東京の下町。
誰もが知っている街並みは、気がつくと外国資本になっているのかもしれません。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.593 10月28日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。
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