高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

パッキングの軽量化について

高城未来研究所【Future Report】Vol.615(3月31日)より

今週は、栃木(那須)、東京、ニューヨーク、マイアミ、パナマと移動しています。

渡航シーズンも近づいてきたこともありまして、最近、お問合せも多いパッキングですが、今年はさらに大幅削減。
一ヶ月ほどの旅路で仕事道具である撮影機材とコンピュータを除いたパックウェイトを、およそ2.6kgまで落としました。
ここには下着含む衣類、およそ一ヶ月分の主食となるアミノ酸などの各種パウダーやサプリメントと緊急医薬品、湯沸かし器やコップ、カラトリー、念の為のビビィサックなどが含まれ、これにMacbook Pro14(M2)、iPad mini、カメラとレンズ(中判をハッセルブラッドH6D-100CからX2D-100Cに変えました!)、そしてヘッドフォンや充電器等のアクセサリー一式を含む仕事道具が別途でおよそ3.6kg。
これらを背負って、この先一ヶ月間に40度近い赤道直下から氷点下のマウント・シャスタまで、世界各地へと出向きます。

こうした軽量装備をアウトドア業界ではUL=ウルトラライト・パッキングと呼んでおりまして、軽量かつ最小限の装備を重視するバックパッキングのスタイルとして、近年定着するようになりました。

米国では、「ライト」「ウルトラライト」(UL)という言葉は、それぞれ15ポンド(6.8kg)、10ポンド(4.5kg)以下の基本重量の装備を携行するバックパッカーのことを指し、対局に位置するコンベンショナル(トラディショナル)・バックパッカーの基本装備は30ポンド(14kg)以上、場合によっては(冬季や長期旅行、写真撮影、釣り、登山などの追加装備を必要とする多目的旅行)、軽量だと言っても55ポンド(25kg)以上となることが多々あります。

このULをさらに突き詰めたのが、「サブ・ウルトラライト」です。
このカテゴリーでは、パックウェイトが3kg以下が目安となり、中判カメラなど大きな仕事道具を持ち出さない僕の旅行スタイルの基本もここにあります。

歴史的にウルトラライト・バックパッキングを振り返ると、アメリカのロッククライマー、レイ・ジャーディンの書籍「Beyond Backpacking」に今日のウルトラライト・バックパッカーの基礎が公開され、数百キロ、数千キロにわたって歩く米国のスルーハイカーたちが道中で消費したものを補給しながら、軽量だからこそ楽しめる多くのコツが紹介されました。
そして、行動中に消費&補給されるアイテム、水、食料、燃料、虫除け、日焼け止め、トイレタリー用品等を除外して、いかに自己装備を軽量化し比較するのが、一大ムーブメントになります。

そしてこの十年、ダイニーマなどの素材を使ったHyperlite Mountain Gear社などのツールを用いたマルチスポーツ、オフトレイルへULが拡散。
さらにはトラベラーにも多大な影響を与え、超軽量で世界一周を試みる人たちが急増しました。

こうした軽量ムーブメントが先鋭化し、この数年はFKT(Fastest Known Time)=最速踏破記録を突き詰める動きが登場。
しかも、ハイカーや長距離トレイルランナーに限らず、こちらもトラベラーにも伝播し、超軽量で世界をハイスピードで巡る人たちが続出しているのが現在です。

軽量に徹したハイカーやトラベラーの利点は、

・快適になる
・自然との結びつきが豊かになる
・移動が早くなり、移動距離が伸びる
・発想が豊かになる

など、多くの「福音」がもたらされます。

ただし、ただ単に軽量だけを目指してしまうと、行く先や気候によっては不快どころか、命の危険性が高まります。

これから行く予定の山間部は、まだ氷点下ですのでそれなりの装備が必要ですが、それでもパックウェイトは2.6kg。
ULトラベラーと自負するだけあって、徹底的に軽量化し、移動速度と距離をもっと伸ばしたいと考えています。

いよいよ本格的な移動シーズンがはじまりました。
人類がパンデミック克服したのを祝すよう、今年こそ素晴らしい旅路に向かいましょう!
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.615 3月31日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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