高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

スマートフォンの時代には旅行スタイルもスマートフォンのような進化が求められる

高城未来研究所【Future Report】Vol.261(2016年6月17日発行)より


今週は、京都にいます。

この1週間で、シドニー、マニラ、香港、東京、福岡、東京と移動し、京都までやってきました。

南半球のシドニーは真冬も近く、年間でもっとも最低気温になる時期ですが、マニラは灼熱の真夏で、香港は初夏、東京や福岡、そして京都は梅雨に入ったか、と思えるような気候でして、このような高速移動生活を続けていると、移動距離や時間はまったく苦にならなくなってきますが、気候の違いは、より一層敏感に感じるようになりました。
たぶんですが、感覚が鋭敏になっているんだと思いますし、本当に進化の過程に差し掛かっているのかもしれません。

現在、数年前に出しました自著「Life Packing」の続編を書いておりまして、考えてみれば、世界最大の消費タウン「東京」をやめ、モノが溢れる生活を脱却してから、もうじき10年目を迎えようとしています。
三年半前に出版した「Life Packing」リリース時から、さらにモノを削減し、持っていた不動産もすべて売却し、家に住むという当たり前のアイデアもやめた結果、移動距離が飛躍的に伸びることになったのは、今週の移動量を見ても明らかです。

現在は、いく先々のホテル等に住み、拠点すらありません。
考えてみれば、大荷物を抱えたままの移動は、肉体的にも精神的にも大変ですが、ほとんど荷物を持たずに出かけることができれば、遠くに、そして早く移動することは、現代社会において、さほど難しいことではありません。
LCCの普及により、日本からタイまで1万円代で行くことが可能で、タイからドイツまで100ユーロ台で渡航することが出来るようになった現代です。
いうまでも無く、こんな大移動が可能になった時代は、人類史上一度もなかったワケです。
本メールマガジンをお読みいただいている方々はご存知のように、この半年だけを振り返っても、すでに30カ国以上訪れるような「高速移動生活」に突入しています。

一方、こんな時代に、どこにも動かずに、モノに囲まれた日々を選ぶことも可能です。
モノ、カネ、ヒトが移動するグローバル化と情報化社会は表裏ですから、クリックひとつで世界中のモノが家までやってきます。

しかし、このような時代に最強だと僕が考えるのは、移動しながら情報化社会の利得を享受する日々を送ることではないでしょうか。
それによって、旅のスタイルも大きく変わるはずです。
それは、旅行先でインターネットを駆使するようなことだけを指しているのではなく、例えばここ数年、僕は小型ハードディスクを持ち歩くことをやめました。
クラウドの一般化などにより、小型ハードディスクを持ち歩く必要が、もうなくなったからです。

コンピュータを駆逐したスマートフォンやタブレットにはハードディスクというものがありません。
クラウドと小さなメモリーだけで動いているわけですが、そんな時代に前時代的なハードディスクは必要なく、それだったら、こちらの生活や旅行スタイルも変化してしかるべきだと考えます。
コンピュータがなかった時代の旅行スタイルと、コンピュータが一般化してからの旅行スタイルが変わったように、スマートフォンの時代には、スマートフォンのような旅行スタイルを追求すべきだと思うのです。
そのひとつが、小型ハードディスクを持ち歩かなくなったことです。

これを物理的旅行スタイルに置き換えると、三年半前に大きな情報を入れる中心がハードディスクだったとしたら、モノを入れる中心はキャリーバッグだったのですが、現在はその両方を使用するのをやめています。
いまは、ハードディスク同様、キャリーバッグの使用もやめたのです。

情報化時代が成熟化し、スマートフォンに「進化」したとすれば、旅行スタイルも「進化」する必要があるはずです。
それなりのサイズがあったコンピュータが、タブレットやスマートフォンに「進化」したように、僕のキャリーバッグも10リットルのバックパックへと「進化」しました。
そして旅行スタイルの「進化」は、移動距離を驚くほどに伸ばし、多くの経験と知見と知恵を与え、人生のバージョンアップにつながるのです。
少なくとも、感覚は大きく変わり、もしかしたら、これを「進化」と呼ぶのかもしれません。

持ち物をさらに圧縮し、人生を拡大中!

いよいよ旅行シーズン、間近。
この夏、ぜひ皆様も「進化」した旅行スタイルを、ご追求くださいませ。

「Life Packing2.1」は、7月末頃にリリースできる予定です(たぶん)。

 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.261 2016年6月17日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. マクロビオティックのはじめかた
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

詳細・ご購読はこちらから
http://yakan-hiko.com/takashiro.html

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

その他の記事

2016年米国大統領選候補、スコット・ウォーカー氏が思い描く「強いアメリカ」像(高城剛)
「高倉健の死」で日本が失ったもの(平川克美×小田嶋隆)
毎朝、名言にふれる習慣を作ることで新たな自分が目覚める! 『日めくり ニーチェ』(夜間飛行編集部)
「反日デモ」はメディアでどう報じられ、伝わったか(津田大介)
【高城未来研究所】「海外に誇る日本」としてのデパ地下を探求する(高城剛)
中進国の罠に陥って変わりゆくタイ(高城剛)
フジテレビ系『新報道2001』での微妙報道など(やまもといちろう)
キャリア女性のみなさん、その結婚、本当に大丈夫?(藤沢数希)
「苦しまずに死にたい」あなたが知っておくべき3つのこと(若林理砂)
今週の動画「陰の影抜」(甲野善紀)
東京の広大な全天候型地下街で今後予測される激しい気候変動について考える(高城剛)
幻冬舎、ユーザベース「NewsPicks」に見切られたでござるの巻(やまもといちろう)
インタラクションデザイン時代の到来ーー Appleの新製品にみる「オレンジよりオレンジ味」の革命(西田宗千佳)
「表現」を体の中で感じる時代(高城剛)
高城剛のメルマガ『高城未来研究所「Future Report」』紹介動画(高城剛)
高城剛のメールマガジン
「高城未来研究所「Future Report」」

[料金(税込)] 880円(税込)/ 月
[発行周期] 月4回配信(第1~4金曜日配信予定。12月,1月は3回になる可能性あり)

ページのトップへ