やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

4月4日自民党党内処分云々の是非と今後


 連日政治ネタをトップに持ってきて申し訳ないのですが、裏金議員の党内処分にあたっては39名のリストが公開になりました。良く分かりませんけど500万円以上の裏金ごっちゃんについては問題視するよという謎の線引きがあった一方、派閥の責任ではなく個人の問題に対する処分なのだという筋道になっているからか、岸田文雄さんや茂木敏充さんについては本件では不問となっております。

 リストそのものについても、500万円の線引きであれば超えてたんじゃないかという懸念のある4名の議員についてはなぜかリストから外れており、追加で処分対象になることはあるのかもしれません。

 で、どないやねんというのがあるんですが、例えば林幹雄先生に関して言えば次期衆院選において千葉選挙区からの出馬は見送ることがほぼ既定路線であったことを考えれば、二階俊博さんと同じく党内処分の対象にしない(処分しても意味がない)という話になるのも無理はありません。選挙出ないのが決まってる人に対して党員資格停止しても意味がありませんから。

 ただ、実際にはあまりメディアでは騒がれませんが、この処分の期日はどうなんだってのは割と語られていないことですし、また、党籍についても党籍停止されたら自民党に居られないじゃないかって話にもなります。重い処分が予定されている塩谷立さん、西村康稔さん、下村博文さん、世耕弘成さんについては、おのおの処分が下される意味合いが同じ離党勧告でも違ってくるんじゃないかと思うんですよ。

 西村康稔さんについては、離党勧告を受けて潔く自民党から離れて無所属となり、今秋の選挙に出てもまあ通るんじゃないかなという位置付けです。同時に、兵庫9区という土地柄も含めて考えれば、当選後に自民党復党の道筋で握ることができれば浮かぶ瀬もあれで先に責任取って議員辞職しますよという禊の切り方ができれば完璧です。

 他方、今回問題となるのは東京11区下村博文さんのほうで、これもう自民党公認があろうが無所属だろうがどっちにしても落選待ったなしと言えます。そのまま派閥の主になることも重要閣僚や党要職に返り咲くこともできないまま政界引退に追い込まれる可能性は否定できません。

 また、悲願であった参議院和歌山で次回改選2025前に衆議院選挙鞍替えを企図していた世耕弘成さんは、先に二階俊博さんが責任取って次回出馬せず政界引退を表明してしまったのでその後継に世耕さんが名乗り出られる状況でなくなってしまって面倒くさいことになっています。筋論として、総理大臣を目指したい世耕さんからすれば林芳正さんのようにスムーズに衆議院に鞍替えできていればいまごろは、と思うところもあったでしょうが、残念ながら、そのような展開にはならなさそうです。

 塩谷立さんはまあどうでもいいとして、メルマガでも何度も書いている通り東京選挙区の清和研究会所属議員は総崩れになる恐れがあり、私なんかは聞かれたら「どうせ処分されたら選挙的に不利になりますし、いまやめても5か月後に解散総選挙になる可能性もあるのだから、処分よりも先に責任を取ると称して議員辞職しちゃって次回選挙に出られるよう(党籍停止を避ける)ほうが再選の目が高いし生き残れると思いますよ」と答えてたんですが、なかなか人間自分から責任を(形として然るべき方法で)取ることのむつかしさってのはあるのかなってぼんやり思います。

 また、党務という観点からするならば、都道府県連や地元組織の仕切り直しはどうしても必要で、これは単に地元の有権者に対するお詫びをどうするかというレベルではなく、もしも党内処分が出た後でうっかり検察審査会で起訴相当や不起訴不当となり略式起訴喰らって有罪判決が出てしまう菅原一秀パターンは想定しておくべきだと思うんですよ。その場合、朝日新聞にもある通り次の次まで引っ張ってもらわないといけないんですよね。

菅原一秀前経産相、なぜいま辞職 「次の次」を意識?

 菅原一秀さんの場合、経産大臣など重要閣僚も経験したそこそこ大物政治家であっても次回衆議院選挙では自民党都連でも本部でも「9区支部長に」と推す声も少なく、また無所属で出るのかなあと思った相手は9区が立憲・山岸一生さんであり、前回山岸さんに負けた安藤高夫さんがなぜか同じ練馬の新区28区に国替え、したと思ったら次期参院選で日本医師連盟の組織議員候補になる話が出て、それも流れてどうすんのって感じになってますし、なんだろうこの仕切れなさ具合。書いてて腹が立ってきた。そのぐらい、滅茶苦茶なのも事実なんですよ。

 で、そういう菅原一秀さんのようにお勤めを終えて立候補できる状況になっても出すに出されない状況になっていることを鑑みれば、それと同じようなことが少なくとも今回の処分で15人ないし18人ぐらいは「自民党公認では出馬できず無所属で戦うことになるそこそこ有力議員」が野に放たれることになります。これほんとどうすんのよということで…。

 もしも岸田文雄さんがバリバリの権力闘争であったならば、清和研は党として責任を取って二度と公認しないとかいって悪役に仕立てて刺客を立てて解散を打つぐらいのことはやると思うんですが、郵政選挙と今回の裏金選挙の大きな違いは「刺客で立てられるほどの人間が自民党の候補者選び人物プールの中にいない」ってのがあります。小泉純一郎さんのころは、それこそ兵庫から東京へ小池百合子さんが国替えしてみたり、飛び技だけど自民党らしい剛腕さで選挙を乗り切っていくエネルギーがあったのですが、いまの岸田政権は支持率の低迷もあって岸田さんなら頑張って担ぐって言ってくれる人がいないのもまた問題です。

 また、岸田さんは筋を通しすぎる面があって、今回森喜朗さんが関与していないはずがないのに切っ先鈍く対応を遅らせている理由は明らかに岸田さん支持率低迷で悩んでるときに森さんが出てきて「岸田文雄を清和研は支えるべき」と繰り返し発破をかけた御恩だと思うんですよ。あの森さんの発言こそ岸田さんからすれば干天の慈雨だったのであって、あれで救われたと思う面も強いから、義理堅く森喜朗さんを守ろうとしている面はあるわけですよね。

 ただ、今回裏金議員とされているのは橋本聖子さん以下森喜朗さんが愛着ある手駒として活用してきた人たちも沢山入っていて、清和研が終わる日のことを考えてストレスを溜めてるとされる森さん死んじゃうんじゃないかと思うぐらい意気消沈しているという話も伝え聞きます。

 なので、本来ならばこの事件をきっかけに岸田流政治改革を断行し、血の入れ替えを行うぞ、禊はしっかりやるぞ、再発は防ぐぞと叫ぶなりして、処分される議員を放り投げた後に二度と復党できないよう刺客立てる人選やるぐらいにしないと駄目じゃないのかと思うんですよね。だって、ほっといたら30議席以上裏金議員は落選するわけですよ。そうであるならば、地元議員や有力秘書を立候補させたり、党本部が空きになる支部に手を入れて公募をやったりとか、そういう突き詰め方をしないといけないんだろうなあと思います。

 最後に、これで「選挙どうするの」ってのがあります。今日もまた、6月解散あったらどうしようと言われておりまして、まああったらあったで頑張ってやる以外に方法は無いのでしょうが、いくら口では常在戦場やら兵は拙速を貴ぶといったって物事には限度ってものがあるんですよ。ゼロからやるわけには、いかないじゃないですか。

 あんまり先を見て手当てをしてないまま、激情や嫉妬で物事を動かすと、最終的には「こんなはずじゃなかった」という残念な結論に至りかねないと思うので、そこはまあどうにかしてねと凄く強く思うんですが、どうでしょう。
 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.436 自民党党内処分の行方をあれこれ考えつつ、日本人女性海外買春問題やマイナンバーカード不正利用事案などについて触れる回
2024年4月1日発行号 目次
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【0. 序文】4月4日自民党党内処分云々の是非と今後
【1. インシデント1】頂き女子りりちゃんと一緒に摘発されたホストクラブが組織対策扱いになった件で
【2. インシデント2】マイナンバーカードの運用は大丈夫なんでしょうか
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。東京大学政策ビジョン研究センター客員研究員を経て、情報法制研究所・事務局次長、上席研究員として、社会調査や統計分析にも従事。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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