高城剛メルマガ「高城未来研究所「Future Report」」より

新しい健康食トレンド「レクチンフリー」を日本ならではの形で試みる

高城未来研究所【Future Report】Vol.382(2018年10月12日発行)より

今週は、中部地方を大移動してます。

名古屋ー岐阜ー美濃太田ー関ー金沢ー福井ー岐阜、そして再び名古屋経由で京都に行き、再び名古屋まで戻ってきました。

以前は、日本の秋といえば美食の季節で、地方の名産物を楽しみにしていましたが、近年はすっかり健康食に目覚めたことから、毎年この時期は日本ならではの健康食を追求するシーズンで、今年は「日本式レクチンフリー」を試みています。

著名心臓外科であるガントリー医師が提唱している「レクチンフリー」は、米国ヘルシーフード業界の大きな話題で、いまや米国高級レストランの4人にひとりが申し出るグルテンフリーをもう一歩推し進めた健康食のあり方として、ここ数年、徐々に普及してきました。

毎年三月にアナハイムで行われる世界最大規模の健康食品展示会「Natural Products Expo West」でも、今年、CBDに次ぐ大きな話題となり、十年前が糖質制限、五年前のグルテンフリーが健康食トレンドだとしたら、いまはダイエットも健康食も「レクチンフリー」 が新しいトレンドとして急浮上。
レクチンとは、糖と結びつくことで凝集(ひとまとまりになり固まる)性質のあるたんぱく質の総称で、人や植物ウィルスにいたるまで、ほぼすべての生物、植物に存在する成分ですが、多くの健康問題を引き起こす物質として、いま除去することに注目が集まっています。

この「レクチンフリー」が「いままでの健康食」と大きく異なって興味深いのは、グルテンやカゼインはもとより、「いままでの健康食こそ体に悪い!」と宣言している点にあります。
例えば、全粒粉や十割そばなどの「色のついた食材」や、「オーガニック」トマトにピーマンなどは一切食べない方が身体に良いとしているのです。

僕が主食としている玄米も、そのまま食べるとWGAレクチンリスクが大変高く、たっぷり水に浸けて発芽させ、その後、しっかり圧力で炊いたあと、数日かけて酵素玄米にすることで、レクチンをLowレベルにしなければ「毒」だと言います。
このような食事方法は、ガントリー医師が書いた大ベストセラー「Plant Paradox」(邦題「食のパラドックス」)から、「プラント・パラドックス・プログラム」とも呼ばれていて、米国では病院食に取り入れるところも急速に増えています。

この「プラント・パラドックス・プログラム」の手っ取り早い食材のひとつがナッツ類なのですが、カシューナッツとピーナッツは、実はナッツではなく、実際は「種」であることから、ミックスナッツはNG。マカデミア・ナッツ、ペカン、くるみ、アーモンドはOKなのですが、こちらには高音多湿の日本では「カビ毒」の危険性が高まります。

そこで、僕が選んだ「日本式プラント・パラドックス」食材は、栗です。

季節柄、良い栗が市場に出回っていることから今期の主食とし、さらに青バナナなどを各地で買い求め、牧草牛(1日100gまで)、水銀レベルの低い魚、そして「レクチンフリー」のスープを飲んで、「プラント・パラドックス・プログラム」を実践しています。

こう書くと、7-8年前に米国で流行った原始人食(パレオ食)のようですが、パレオ食は、原始人がバッファローなどの大型動物を常食していたと仮定し、「肉を豊富に食すること」を提唱していました。
ですが、どう考えても、我々の祖先がそんな大型動物を頻繁に手に入れられる食生活だったとは考えにくく、むしろ塊茎、ベリー類、ナッツ類、そして動物性タンパク源として魚、トカゲやカタツムリなどを主に食べていたはずです。

そこで、滅多に獲れることがなかった動物性たんぱく質を制限し、本物の原始食、つまり、いまも昔も変わらない人間の本来のあるべき食に一度戻すのが、「レクチンフリー」の本質なのです。

結果は、まだまだわかりませんが、不思議と運動せずとも体重は落ち、体調も悪くありません。

かつて、原始人は定住せず、移動しながら狩猟採取の生活をしていました。
いま、僕は定住せす、移動しながら行く先々の市場や道端で時期の食材を買い求め、生活しています。

中部地方の山あいに入ると、秋は、徐々に深まっているのを実感し、時折、栗が落ちているのも見かけます。
もしかしたら、「移動&健康食」こそが、「レクチンフリー」の本質にあるのかもしれないな、と想いに耽る今週です。
 

高城未来研究所「Future Report」

Vol.382 2018年10月12日発行

■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 著書のお知らせ

23高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。

高城剛
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。 著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)、『オーガニック革命』(集英社)、『私の名前は高城剛。住所不定、職業不明。』(マガジンハウス)などがある。 自身も数多くのメディアに登場し、NTT、パナソニック、プレイステーション、ヴァージン・アトランティックなどの広告に出演。 総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。 2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。ファッションTVシニア・クリエイティブ・ディレクターも務めている。 最新刊は『時代を生きる力』(マガジンハウス)を発売。

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