※高城未来研究所【Future Report】Vol.459(2020年4月3日発行)より
今週も、那覇にいます。
数日間東京に戻り、仕事道具を整え、オンラインでは難しいご年配の方々との打ち合わせを終え、再び沖縄に戻りました。
気がつくと、この1ヶ月近く、大半の時間を那覇を中心に過ごしています。
沖縄は、この二週間ほどで季節がガラリと移り変わり、都市部を離れると大地に咲く花模様や風が変わったことに気がつきます。
若葉が一斉に芽を吹き、草花は彩りを増して、大地を潤していく。
沖縄では、この美しい時期を「うりずん」と呼びます。
「うりずん」は、3月から4月(旧暦の2〜3月)にかけ、冬が終わり、大地に潤いが増してくる時期のことで、その語源は「潤い初め(うるおいぞめ)」から来てると言われますが、いわゆる春とも違い、南国ならではの季節感を実感しています。
しかし、5月頭にはもう梅雨入りしてしまうこともあって、爽快な「うりずん」を楽しめるのは、そう長い期間ではありません。
それゆえ、いつもなら短い「うりずん」の時期を沖縄の人々はたっぷり楽しむのですが、新型コロナの影響、というより、観光バブル崩壊に直面するいま、気分は爽快とは言えない様子がうかがえます。
思い起こせば、僕が沖縄観光振興プロジェクトのため、年間100回を超えるほど訪れたのは、2003年に小泉内閣が訪日外国人1000万人を目指すと高らかに声を上げた年でしたが、当時、その目標は果てしない夢のように感じていたのを記憶しています。
ところが2013年、第二次安倍内閣の金融緩和と円安政策により、日本中がバーゲンプライスになって土地も株も土産物も外国人に叩き売られ、訪日外国人も1000万人を超えるようになりました。
結果、ホテルが濫造され、民泊もなし崩し的に解禁。
こうして観光バブルだけならず、株価や不動産、そしてストリートファッションまで、日本中が「外国人依存」になってしまったのです。
しかし、実際はなにかを生み出したわけではなく、いままであったものを単にバーゲンプライス(もしくは「店じまい価格)」で提供していただけに過ぎず、為替や外交に左右される極めて脆弱なビジネスが、近年のバブルの正体でした。
現在、沖縄中部から北部にかけてできた新興ホテルのなかには、この4月5月全館休館にするところも少なくありません。
本来は「うりずん」の過ごしやすいシーズンをめがけ、春休みからGWの稼ぎどきでもあったはずですが、観光ハブで受け入れのボトルネックだった那覇が閑散としていれば、中部や北部に人が押し寄せるわけがありません。
テレワークにより、本来必要な人とそうでない人の差が浮き出ているように、新型コロナウィルスは、まるで鏡のように「外国人依存」だった浮き足だったビジネスを映し出しているように見えます。
今後、バーゲンプライスが正価に戻った時、再び海外ゲストはこの地を訪れ、多くの商品を購入するものなのでしょうか?
真価が問われるまで、そう遠くないと感じる、「うりずん」の沖縄です。
高城未来研究所「Future Report」
Vol.459 2020年4月3日発行
■目次
1. 近況
2. 世界の俯瞰図
3. デュアルライフ、ハイパーノマドのススメ
4. 「病」との対話
5. 身体と意識
6. Q&Aコーナー
7. 連載のお知らせ
高城未来研究所は、近未来を読み解く総合研究所です。実際に海外を飛び回って現場を見てまわる僕を中心に、世界情勢や経済だけではなく、移住や海外就職のプロフェッショナルなど、多岐にわたる多くの研究員が、企業と個人を顧客に未来を個別にコンサルティングをしていきます。毎週お届けする「FutureReport」は、この研究所の定期レポートで、今後世界はどのように変わっていくのか、そして、何に気をつけ、何をしなくてはいけないのか、をマスでは発言できない私見と俯瞰的視座をあわせてお届けします。


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