女子高生に改正児童ポルノ法の話をした理由

※小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」2014年11月7日 Vol.009 <うごめく仕掛け号>より

 

先日、東京は高円寺にある光塩女子学院というところに呼ばれて、高校1年生向けのネットリテラシー講座を1時間やってきた。ここは幼稚園から高校まであるカトリック系の学校で、MIAUの事務所から徒歩5分ぐらいのところにある。生徒達のあいさつが「ごきげんよう」なので、こちらも「お、おう、ごきげんよう」って感じになる。

 

前回は茨城県立水戸桜ノ牧高等学校常北校にて、やはり高校1年生向けの講座をやったのだが、内容が少し易しすぎたようだったので、今回は大人向けのネット依存講座の資料を子供バージョンに作り替えて、講演を行なった。

 

今ネット依存の判定基準は、東大大学院情報学環の橋元先生がお作りになった8項目が政府調査でもよく使われている。ただこれは、米キンバリー・ヤング博士のギャンブル依存の判定基準を元に作ったものなので、橋元先生自身がこれだと判定結果が正確ではないとして、新しい基準を作ろうとしている。MIAUはそこにも参画しているので、そこの判定基準の最新情報などをお伝えしつつ、反応を見た。

 

講演のハイライトは、いわゆるターゲティングの話である。詳しくは下記のリンクを見ていただくとああこの手の話かとご理解いただけると思うが、要するに各個人のネット上の活動履歴が解析され、自分に必要な情報が最適化されていく中で、本来ならば知っておくべき情報に触れることができなくなるという懸念を示したものだ。

 

・イーライ・パリザー:危険なインターネット上の「フィルターに囲まれた世界」
http://www.ted.com/talks/eli_pariser_beware_online_filter_bubbles?language=ja

以前情報科の授業でも、Googleの検索結果がみんな順序が違うのは何でだろうという経験があったそうで、多くの生徒にとって新しい気づきがあったようだ。この項目は元々僕の講演資料にはなく、事務局長の香月君が差し込んだものだったが、高校生に向けての問題提起としてはいい内容であった。

 

最後は安心ネットづくり促進協議会でホットな話題となっている、改正児童ポルノ法について解説した。このたびの改正で単純所持が違法化されたのは記憶に新しいところが、施行には1年間の猶予があるため、まだ違法化はされていない。

 

その猶予期間を利用して、高校生が自分やクラスメートの裸の写真をいたずらで撮ったりしたら、児童ポルノ製造にあたるのか、あるいは単純所持に当たるのかといった法解釈が議論の焦点となっており、そのあたりの話もした。

 

おそらく共学校だと、その話題で面白おかしく茶化す子も出てくるところだが、そこは女子校ということもあり、自分たちの姿態が児童ポルノとして取り引きされる可能性に気づいただけでも、プラスになったのではないだろうか。ミッション系の学校で話すことかよ、というご指摘もあろうかと思うが、おそらくこれは先生方では手に負えない類の話であり、外部の講師だから言えることだろう。

 

終了後に数名の先生方と、生徒達のネット利用の実態について、情報交換させていただいた。私立校では他に、北区の東京聖徳大学中学校・高等学校や、板橋区の帝京中学校・高等学校の先生と情報交換させていただいているが、私立の場合は本当に状況がバラバラだ。国の調査では国公立校しか対象にしないので、全国平均から大きく逸脱している状況を誰も把握していない。高校では私立校が比率として3割近くを占めるわけだから、無視できない数である。

 

私立の情報リテラシー教育は、多くの施策からこぼれ落ちているところは大きな課題だ。そういうところをMIAUのリテラシー教育プロジェクトでカバーしていければと思っている。

 

小寺・西田の「金曜ランチビュッフェ」

2014年11月7日 Vol.009 <うごめく仕掛け号>目次

01 論壇(小寺
  レールはすでに敷かれてる? 第7回文化庁クラウド小委員会
02 余談(西田)
  「ワープロ」ってなんだろうか
03 対談(小寺
  アキバ発のベンチャーを仕掛けるDMM.make AKIBA(第1回)
04 過去記事アーカイブズ(小寺
  一眼「レフ」ではなくなる一眼の世界
05 ニュースクリップ(小寺・西田)
06 今週のおたより(小寺・西田)

 

12コラムニスト小寺信良と、ジャーナリスト西田宗千佳がお送りする、業界俯瞰型メールマガジン。 家電、ガジェット、通信、放送、映像、オーディオ、IT教育など、2人が興味関心のおもむくまま縦横無尽に駆け巡り、「普通そんなこと知らないよね」という情報をお届けします。毎週金曜日12時丁度にお届け。1週ごとにメインパーソナリティを交代。

 

ご購読・詳細はこちらから!

その他の記事

週刊金融日記 第314号【簡単な身体動作で驚くほどマインドが改善する、日米首脳会談は福田財務事務次官「おっぱい触らせて」発言でかき消される他】(藤沢数希)
岸田文雄さんは「6月14日解散・7月23日投開票本線」を決断できるのか(やまもといちろう)
何でもできる若い時代だから言えていたこと(やまもといちろう)
乙武洋匡さんの問題が投げかけたもの(やまもといちろう)
「残らない文化」の大切さ(西田宗千佳)
週刊金融日記 第304号【楽しいのはパーティーか読書か、世界の株式市場が大暴落、新大久保で美味しいネパール料理他】(藤沢数希)
「他人のタスク」に気を取られるな–自分を変える人のほうが得をする(名越康文)
「ふたつの暦」を持って生きることの楽しみ(高城剛)
「身の丈」萩生田光一文部科学相の失言が文科行政に問いかけるもの(やまもといちろう)
ネットニュース界隈が公正取引委員会の槍玉に上がっていること(やまもといちろう)
人間の運命は完璧に決まっていて、同時に完璧に自由である(甲野善紀)
古都には似つかわしくない最先端の「現代日本語」講座(高城剛)
ゲームと物語のスイッチ(宇野常寛)
「見て見て!」ではいずれ通用しなくなる–クリエイターの理想としての「高倉健」(紀里谷和明)
「日本の労働生産性がG7中で最下位」から日本の労働行政で起きる不思議なこと(やまもといちろう)

ページのトップへ