家入一真メールマガジン『家入学級』Vol.56より
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多くの専門家が言語を研究して、プログラミングをしたり、すごく難しい数式を考え出したりしている。僕には数式の意味はわからないけど、彼らが生み出したツールやライブラリを使うことはできるので、いろいろ実験して「本当だぁ」「楽しいな」みたいなのをやっています。
そういう、研究をコツコツやっている人たちって、すごく尊いと思う。哲学を研究している人もそうだし、自然言語処理とか、人工知能とか、ビッグデータといった専門分野で研究を続けている人、大学院で勉強している人たちを馬鹿にできないなって、最近は思う。いや、別にこれまで馬鹿にしていたわけではないけど、数年前まで僕は「大学院に行くくらいなら起業しなよ」とよく言っていたので。今は「そのまま大学に残って研究を続けた方がいいよ」と言いたいですもん。
投資家の仲間にも、「もっと大学の研究室に投資した方がいい」と話しています。今、大きな流れとして「反知性主義」がきていますよね。知性に対して反発する気運がある。例えばライザップの流行とか、EDMというクラブイベントが流行っているのもその流れで、フィジカルなものへの回帰がすごい勢いで進んでいるからなんだと思う。
※「ライザップ」
パーソナルトレーニングジム。厳しい管理でダイエットの結果を出すことで注目されている。
http://www.rizap.jp
※「EDM」
エレクトロ・ダンス・ミュージックの略。高揚感をもたらす電子音が特徴。EDMのヒット曲「Calvin Harris - Summer」
https://www.youtube.com/watch?v=ebXbLfLACGM
そう考えると、「学んでも無駄だから起業しようぜ」っていうのも、反知性主義の一つだったんじゃないかなと感じています。学んでも何にもなんないじゃん。就職しても無駄じゃん。じゃあ起業してイチかバチかで賭けてみて、儲かったらそれでいいじゃん。そういう態度って、ライザップやEDMの流れの一貫だったんじゃないかと。
そう考えれば考えるほど、大学などで地道な研究を続けている人たちに対して、リスペクトが生まれてきました。
自分で言うのも変ですが、僕には、「これからどういう人たちがマイノリティーになっていくか」を、見ぬく力があるんですよ。だから、僕が大学のそういう人たちのことをいいなと思っているということは、彼らがこれから虐げられる可能性がある。数も減ってきて、かつては知性と権威が一緒だったけどそれも崩れてきて、実利主義みたいなものが浸透して、研究者が追いやられていくんじゃないかな。
でも研究者や専門家の存在って本当はすごい大事で、イノベーションもそういう人たちがつくり出したものから生まれたりする。彼らの取り組みの弱いところは、結果がすぐに出ないこと。今は、すぐに結果が出るものばかりが追い求められていて、起業なんてまさにそうですよね。だから、「起業しようぜ」というメッセージは、もうあんまり発信したくないですね。
(本記事は家入一真メールマガジン「家入学級」Vol.56(2015年2月26日発行)より一部抜粋しています)
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