やまもといちろうメルマガ「人間迷路」より

「一人負け」韓国を叩き過ぎてはいけない


 このメルマガでもかねて米中対立、貿易紛争から新たな冷戦構造へと移り変わっていく令和時代について考察を重ねてきているわけですが、ここにきて抜き差しならない問題になっているのが隣国・韓国の苦境です。

 もともと私も若いころからあまり韓国には良い印象を持っておらず、実家周辺で韓国人が数多く移り住み行儀の悪いコミュニティで騒ぎを彼らが起こすたびにイライラしていたのですが、歳を取り、実際に仕事の輪が広がって韓国企業ともある程度の付き合いをするようになってからは、意外と彼らの持つメンタリティというのは「大国の間で揺れ動く社会で生き抜くために必要な気質なのではないか」と気づくことが多くなりました。もちろん、それは単なる私の肌感覚に過ぎないのですが、それでも多くの韓国人とのトラブルも実績も挙げていくなかで親しくしてくれる韓国人家族や、また彼らが正直に吐露する未来に対する不安や韓国社会・政治経済に関する不満を耳にすると「なるほど、そういうことなのか」と膝打ちすることも増えるわけであります。

 そして、昨今の朝鮮半島の統一機運からくる北朝鮮美化、そして北朝鮮とアメリカの交渉不調で座礁する文政権の外交、そして極めて厳しい韓国経済の実情と、数多くの韓国人一家が祖国を捨ててアメリカやオーストラリア、カナダなどへ移住してく状況は、日本以上の閉塞感と物悲しさを抱かせます。好むと好まざるとにかかわらず、合計特殊出生率が0.98と1.0をついに割った(18年)韓国の、亡国的な悲哀です。悪い言い方をすると、自尊心が強く自分たちが国を切り盛りしていけば営々たる偉大な祖国を建設できるという気宇に対し、いかんせん人口が少なく猛烈で真面目な気質であるがゆえに社会や政治に「あそび」が少なくちょっとしたことですぐ大問題となり政権が右往左往しては失墜しリーダーシップを失うあたりは、残念としか言いようがありません。

 そこへきて、韓国ウォンの変調からもはや韓国経済の全面的な崩壊もあり得るという展開になってきてしまいました。サムスン電子ほか韓国が胸を張れる多国籍企業はあるのですが、実際にはその株式の半分以上を実質的にアメリカ資本に握られている状況でフリーハンドを維持することは困難になっています。

 米中対立はそういう韓国経済のむつかしさを際立たせることになってしまいました。

焦点:窮地の韓国、ファーウェイ排除で再び「米中の板挟み」

 日本のように、どーんとアベちゃんがトランプ大統領とゴルフや相撲観戦でにこやかな外交を繰り広げているのに対し、韓国はもはや米韓同盟の維持すら厳しいのではないかという観測が出るほどデカップリング先として中国と一緒に切り離される恐怖を味わっている状況です。日本以上の少子化と、米中対立で独自の権益さえも存在しない韓国の未来はどこにあるのか、外にいる人間にも分からないぐらいに酷い。

 確かに、慰安婦問題から徴用工、レーダー照射に日本海呼称問題から、農産品から製鋼技術まで言いがかりと泥棒が繰り返されてうんざりするような韓国系の情報が乱舞するなか、それでも隣国として信頼関係を保ちどうにかしてやらなければまた通貨危機でも起こされて足を引っ張られる恐れもあるという、どうにもならない二国間関係が日韓関係になってしまっています。未来志向と一口で言うけれど、日本人から見て韓国のどこを信頼しろというのかというのはごもっともなわけですよ。

 しまいには、韓国産の海産物も輸入しないと我が国の外務省が言い始めましたが、落としどころをどこにするのか、そろそろ真面目に考えなければならない季節が来たと思います。安倍晋三政権が進めてきた韓国に対する戦略的無視を超えて、次なる関係を韓国にどう提示し、同飲んでもらうのか、はそろそろ考えたほうがいいかもしれません。

 

やまもといちろうメールマガジン「人間迷路」

Vol.263 苦境にある韓国に思うこと、そしてこれから日本が直面することになる社会保障問題と国際問題を考える回
2019年5月31日発行号 目次
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【0. 序文】「一人負け」韓国を叩き過ぎてはいけない
【1. インシデント1】アラサー世代に響いた「人生100年時代」というキーワードの苦み
【2. インシデント2】ネット分断の次にやってくるのはテクノロジーの分断か
【3. 迷子問答】迷路で迷っている者同士のQ&A

 
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やまもといちろう
個人投資家、作家。1973年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒。サイバーインテリジェンス研究所統計技術主幹など歴任。IT技術関連のコンサルティングや知的財産権管理、コンテンツの企画・制作に携わる一方、高齢社会研究や時事問題の状況調査も。日経ビジネス、文春オンライン、みんなの介護、こどものミライなど多くの媒体に執筆し「ネットビジネスの終わり(Voice select)」、「情報革命バブルの崩壊 (文春新書)」など著書多数。

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