茂木健一郎
@kenichiromogi

茂木健一郎メルマガ『樹下の微睡み』号外より

上杉隆さんのこと、日本のメディアのこと

上杉さんへのお願い、日本のみなさんへのお願い

私が申し上げたかったことをまとめます。二つあります。ひとつは、日本の皆さんに、上杉隆という個人の表現のスタイルや様々な癖(人によってはそれはジャーナリストとして失格であると考える方もいらっしゃるかもしれませんが)の問題と、上杉さんが指摘されている日本のメディアはもっと開かれなければいけないという問題は、分けて考える必要があるということです。そこを分けないと、日本にとって本当に必要な変化が遅れてしまうし、このことについて社会の中で注目を集めた功績が上杉さんにあるということも、僕はフェアに評価しなければいけないと思います。もちろん批判をすることは、当然、表現の自由なので構わないと思いますが。

もうひとつ、僕は、上杉隆さん個人にお願いというか知らせたいことがあります。上杉さん、 危うさも上杉さんの個人的な魅力だと思うのですが、ここはぜひ筋を通して、指摘されているような記事の参照、引用について、不適切なことがあったのかどうか、まず事実に基づいてちゃんと検証していただきたい。そして、上杉さんがせっかく指摘してきた日本のメディアがもっと開かれるべきだということについて、不必要な饒舌を避け、不必要な炎上を避け、本質だけを骨太の言葉で語っていただければ、と思います。そうすれば、もっと上杉さんの言いたいことが日本の皆さんに伝わるのではないかと思うんです。

私は、今ニューオリンズにおりますが、日本のことについていろいろ考え、心配しています。上杉さん、ぜひ日本の為にこれからもがんばってください。それから、日本の皆さんも、個人の至らないところとか、ダメなところをみんなで指摘することも必要なことがあるかもしれないですけれど、それと同時に、大きな目で、日本のメディア、日本の社会にとって何が必要なことなのかをぜひ一緒に見ていきませんか。

動画で見たい方はこちらから→http://www.ustream.tv/recorded/26190947

茂木健一郎のメルマガ『樹下の微睡み』号外より>

1 2 3 4
茂木健一郎
脳科学者。1962年東京生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究するとともに、文藝評論、美術評論などにも取り組む。2006年1月~2010年3月、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』キャスター。『脳と仮想』(小林秀雄賞)、『今、ここからすべての場所へ』(桑原武夫学芸賞)、『脳とクオリア』、『生きて死ぬ私』など著書多数。

その他の記事

今週の動画「太刀奪り」(甲野善紀)
「コンテンツで町おこし」のハードル(小寺信良)
本当の才能は「何かに没頭した時間」が育ててくれる(名越康文)
身近な人に耳の痛いアドバイスをするときには「世界一愛情深い家政婦」になろう(名越康文)
健康的な耳を取り戻す(高城剛)
これから「研究者」がマイノリティになっていく?(家入一真)
ライドシェアの本質をアメリカで見た(西田宗千佳)
9月は世界や各人の命運が分かれる特異月(高城剛)
素晴らしい東京の五月を楽しみつつ気候変動を考える(高城剛)
内閣支持率プラス20%の衝撃、総裁選後の電撃解散総選挙の可能性を読む(やまもといちろう)
中島みゆきしか聴きたくないときに聴きたいジャズアルバム(福島剛)
「リバーブ」という沼とブラックフライデー(高城剛)
21世紀型狩猟採集民というあたらしい都会の生き方(高城剛)
「分からなさ」が与えてくれる力(北川貴英)
世界を息苦しくしているのは「私たち自身」である(茂木健一郎)
茂木健一郎のメールマガジン
「樹下の微睡み」

[料金(税込)] 550円(税込)/ 月
[発行周期] 月2回発行(第1,第3月曜日配信予定) 「英語塾」を原則毎日発行

ページのトップへ