ネットと性教育
“10. ポルノ禁止。私とシェアできるような情報をウェブで検索してください。質問などがあれば誰かに聞きなさい。なるべく私かお父さんに聞いてね。”
ここまで明確にポルノへのアクセスを禁止した例は、日本ではあまり例を見ないが、米国ならではの感覚かもしれない。もちろん日本でも、成長期に入った男子がポルノを見たがるのは承知の上で指導していくわけだが、あまり言葉に出すことはない。家庭内では性をタブー視する慣習が根強いからだろう。
ネットと性の問題を取り上げている教育教材はあまり多くないが、MIAUで制作した「保護者のためのあたらしいインターネットの教科書」では、「子どもの性情報へのアクセスをどう考えるか」という項目を立てて、解説している。フィルタリングなどに頼るだけでなく、先回りして正しい知識を伝えることを重視しており、それに関する書籍なども紹介している。
・保護者のためのあたらしいインターネットの教科書 (中央経済社)
http://j.mp/UY6VaI
ネットとセクスティング、児童ポルノとの関連性
“12.他の人にあなたの大事な所の写真を送ったり、もらったりしてはいけません。笑わないで。あなたの高知能でもそういうことがしたくなる時期がやってきます。とてもリスキーなことだし、あなたの青春時代・大学時代・社会人時代を壊してしまう可能性だってあるのよ。よくない考えです。インターネットはあなたより巨大で強いのよ。これほどの規模のものを消すのは難しいし、風評を消すのも尚更難しい。”
モバイル機器を使って個人的な性情報をやり取りすることを、セクスティング(sexting)と呼んでいる。米国の調査によれば、女子の95%はこれまで少なくとも1回以上、セクティングを要求されたことがあり、ティーンエイジャーの28%が自分の全裸写真を誰かに送ったことがあるという。
・ティーンのセクスティングが日常化普遍化しつつある (TechCrunch)
http://jp.techcrunch.com/archives/20120706teenage-sexting-is-becoming-the-norm/
日本ではまだこのような調査はないと思うが、以前はメール添付、現在はSNSやチャットサービスで写真の交換が行なわれている。これらの写真は、送る時は相手のみに見せたつもりだろうが、喧嘩別れしたあとなどに、腹いせで写真をばらまかれるケースがあとを絶たない。そしてそれらの写真は、児童ポルノサイトへ収集され、転載されて、半永久的にネット上を回遊し続ける。
未成年時代の裸の写真がいつまでも流通することは、本人にとっても社会にとっても好ましいとは言えない。だがこれらの行為を、フィルタリングなどのテクノロジーを使って制御するだけでは、人としての成長がない。単に制限されたという結果が残るだけだ。
セクスティングのような行為を、よくないものであるとして自重できる人間になってほしいという願いが、この項目に込められている。
その他の記事
世界はバカになっているか(石田衣良) | |
急成長SHEINを巡る微妙で不思議な中華商売の悩み(やまもといちろう) | |
PCがいらなくなる世界(小寺信良) | |
気候変動に適応したポストコロナ時代の働き方を考える(高城剛) | |
コロナはない国、タンザニアのいま(高城剛) | |
古代から続くと言われるハロウィンの起源から人類の行く末を考える(高城剛) | |
意外に簡単に見られる新4K放送。だが課題も…(小寺信良) | |
腸のためにも脳のためにも、もっと咀嚼を!(高城剛) | |
武術研究者の視点—アメフト違法タックル問題とは? そこから何かを学ぶか(甲野善紀) | |
ネットメディア激変の構図とサブスクリプション問題(やまもといちろう) | |
観光客依存に陥りつつある日本各地の地方都市の行き着く先(高城剛) | |
ゲームを通じて知る「本当の自分」(山中教子) | |
オリンピックという機会を上手に活かせたロンドンは何が違ったのか(高城剛) | |
努力することの本当の意味(岩崎夏海) | |
DLNAは「なくなるがなくならない」(西田宗千佳) |