40代男性のアイデンティティは危機に瀕している
日本の40代男性のアイデンティティはいま崩壊の危機に瀕している……という話をしても、女性読者の方や、年代が違う方はあまり関心を持たないかもしれません。でも、40代男性の社会的影響力は、社会のどこにおいても決して小さいとは言えません。
「社会の屋台骨」と表現されることもあるこの世代の人たちがそれなりに明るく過ごすことができない社会というのは、必然的に不安定になります。
職場でのパワーハラスメント、鬱病、あるいは暴力や犯罪といったさまざまな問題の背景には、この世代のアイデンティティ問題がある。
ここでいう「アイデンティティ」とは、「自分はこういう人間だ」という自己規定、あるいはその「核」になるようなもののことです。それが特に40代男性を中心として不安定になってきている。そのことに、僕はちょっと危機感を覚えています。
なぜ「女性」ではなく、「男性」なのかというと、女性のほうが友人とのコミュニティや趣味でのつながりといった、社会での基本的な役割「プラスα」の部分を持っているからです。
特に40代ぐらいになると明らかに女性よりも男性において、文化的な時間は貧弱になっていきます。車文化も、ゴルフ文化も、景気が悪くなるとともに、急速に衰退しました。仕事すら、終身雇用というストーリーが崩れるなかで、人としてアイデンティティを託すには危ういものになりつつある。あるひとつの「レール」を外れただけでも、人格が崩壊してしまいそうな不安を抱えて生きている40代男性が増えている、というのが僕の見立てなんです。

その他の記事
![]() |
「言論の自由」と「暴力反対」にみる、論理に対するかまえの浅さ(岩崎夏海) |
![]() |
南国滞在を引き延ばすもっともらしい言い訳(高城剛) |
![]() |
心身を整えながら幸福のあり方を追求する新年(高城剛) |
![]() |
急成長女性向け風俗の蹉跌とホスト規制(やまもといちろう) |
![]() |
暴風雨となるライドシェア全面解禁論議(やまもといちろう) |
![]() |
揺れる「全人代」が見せるコロナと香港、そして対外投資の是非(やまもといちろう) |
![]() |
人間にとって自然な感情としての「差別」(甲野善紀) |
![]() |
「10年の出会い、積み重ねの先」〜日本唯一のホースクリニシャン宮田朋典氏による特別寄稿(甲野善紀) |
![]() |
生成AIの台頭と「情報密度の薄いコンテンツ」の危機(やまもといちろう) |
![]() |
闇が深い国際ボクシング協会(AIBA)の問題点(本田雅一) |
![]() |
百田尚樹騒動に見る「言論の自由」が迎えた本当の危機(岩崎夏海) |
![]() |
本当の知性を育む「問いへの感度を高める読書」(岩崎夏海) |
![]() |
お盆とスターウォーズ(高城剛) |
![]() |
ダイエットが必ず失敗する理由(名越康文) |
![]() |
週刊金融日記 第267号<クラミジア・パズルとビジネスでの統計の使い方他>(藤沢数希) |