「好き嫌いがわからない」のはアイデンティティ障害の兆候
自分のやりたいこと、あるいはやりたくないことがわからない、というのは端的に言えば「好き嫌い」がわからない、ということです。そして「好き嫌い」がわからなくなるということに、僕は「アイデンティティ障害の兆候」を感じます。
コウモリが明るい場所を嫌い、暗い場所へと逃げ込むように、あらゆる生命は、「好き嫌い」を軸に行動し、その命をつないでいます。つまり、「好き嫌いがわからなくなる」というのは、生命としてのアイデンティティが壊れつつあるといってもいいぐらい、危機的な兆候だということです。
アイデンティティ障害に陥っている人間は「やってもいいこと」だけをやり、「やらなくてもいいこと」や「推奨されないこと」には手を出しません。社会もひとつの「生命」です。もし、社会そのものがある種のアイデンティティ障害に陥っているとすれば、その結果として、個々の組織や人々からも創造性が失われることになります。
「言われたことはやるけれど、自分から新しいことに取り組むことを嫌う」新入社員が毎年のように現れるのは、社会全体がアイデンティティ障害に陥っていることの「結果」に過ぎないのかもしれません。
子育てや教育はもちろんのこと、それこそ社会人となった後の新入社員教育の場面においてすら、僕らは「言われたことを素直にやる」ということを手放しに評価しがちです。でも、「これをやりなさい」と言われたことをそのまま素直にやる、ということは「病み」の兆候といっても過言ではないと僕は捉えています。
なぜなら、「言われたことを素直にやる」というのは、別にそれを「やりたい」からではないからです。他人から言われた事を素直にやるのは、「やりたくないこと」が明確でないことの結果に過ぎません。人間というのは、元気であればあるほど人から言われたことに反発するし、病気になって元気をなくすと、人から言われたことに素直に従う。そういう生き物です。
その他の記事
|
アーユルヴェーダのドーシャで自分が知らない本当の自分と対面する(高城剛) |
|
コロナはない国、タンザニアのいま(高城剛) |
|
これから10年で大きく変わる「街」という概念(高城剛) |
|
新型コロナウイルスが浮き上がらせる様々な物事の本質(高城剛) |
|
世界百周しても人生観はなにも変わりませんが、知見は広がります(高城剛) |
|
僕が今大学生(就活生)だったら何を勉強するか(茂木健一郎) |
|
人工知能の時代、働く人が考えるべきこと(やまもといちろう) |
|
生まれてはじめて「ジャックポット」が出た(西田宗千佳) |
|
観光業の未来を考える(高城剛) |
|
ナイジェリア政府による誤情報発表とJICA外交政策への影響について(やまもといちろう) |
|
最新テクノロジーで身体制御するバイオ・ハッキングの可能性(高城剛) |
|
自己セラピーダイエットのすすめ:酒好き、食いしん坊のスーパーメタボなアラフィフでも健康と若さを取り戻せた理由(本田雅一) |
|
【対談】名越康文×平岩国泰 ほめればほめるほどやる気を失う子どもたち〜「放課後」だから気づけた、子どもの自己肯定感を伸ばす秘訣(名越康文) |
|
TikTok(ByteDance)やTencentなどからの共同研究提案はどこまでどうであるか(やまもといちろう) |
|
国民民主党を中心に動いていた政局が終わり始めているのかどうか(やまもといちろう) |











